2013年7月30日火曜日

「表現と批評2013」受講生が選ぶベスト映画

桜井哲夫先生の「表現と批評2013:傑作映画を発掘する」という授業が先日(2013年7月22日)終わりました。

【授業内容】
膨大な数の映画が毎年公開されているが、ビッグヒットした映画は、多くの人に記憶されるものの、派手な作品ではなく、莫大な資金もかけていない映画は、短期間上映されたあと、国際映画祭などで受賞しても忘れ去られていく。しかし、そのなかに映像文化史に残るべき名作、傑作は数多くある。日本映画、アニメーション映画、外国映画などから、これはと思う映画を発掘して上映していきたい。特に昨年、本数の関係から上映できなかったアニメーション映画の名作なども上映したい。

最終回で、受講生に各自ベストスリーを投票してもらいました。その結果を紹介しましょう(投票総数177票)。

 1位 46票「おおかみこどもの雨と雪」
 2位 35票「最強のふたり」
 3位 30票「言の葉の庭」
 4位 13票「ロック・ユー!」
 4位 13票「桐島、部活やめるってよ」
 6位 10票「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」
 7位  8票「鉄コン筋クリート」
 7位  8票「アマデウス」
 9位  3票「天然コケッコー」
 9位  3票「ゴーストライター」
11位   2票「どこまでもいこう」
11位   2票「トト・ザ・ヒーロー」
11位   2票「人狼」
11位   2票「東京物語」

【作品解説】

1. 塩田明彦「どこまでもいこう」(1999) 

10歳の春、自分が自分になる季節。10歳というふた桁の年齢にさしかかる小学校5年生のアキラと光一。彼らは他人との関わりのなかで、自分を意識し始め、「子ども」から「少年」へと成長していく。    

2. 吉田大八「桐島、部活やめるってよ」(2012) スピンオフ短編「宮部実果」

朝井リョウの直木賞受賞作。バレー部のキャプテンで成績優秀、誰もがスターとして一目置いていた桐島が突然部活を辞めたというニュースが学校内を駆け巡る。日本アカデミー賞最優秀作品、最優秀監督賞。

3. 庵野秀明「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(2012) 「巨神兵、東京に現わる」

新劇場版第3作。前作から14年後の世界におけるNERVと反NERV組織「ヴィレ」の戦いなど 。   

4. 細田守「おおかみこどもの雨と雪」(2012)

日本アカデミー賞「最優秀アニメーション作品賞」、第45回シッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門(Gertie Award)最優秀長編作品賞など国際映画賞も多数受賞。19歳の少女が「おおかみおとこ」と出会い、その間に生まれた「おおかみこども」の姉弟の成長から自立するまでの13年間の物語。

5. ブライアン・ヘルゲランド「ロック・ユー!」(2001) 米国         

兜(かぶと)と鎧(よろい)を着けた騎士が一対一で向かい合い、すれ違いざまの一瞬の攻防で勝敗を決する馬上槍試合。時代は中世だが、ここでは、民衆がQUEENの“We Will Rock You”を歌い、DAVID BOWIEの曲にあわせて踊る。   

6. ジャコ・ヴァン・ドルマル「トト・ザ・ヒーロー」(1991)ベルギー・仏・独合作

自分が向かいの家の子供と産院で取り違えられたと信じる男の悲痛な一生と、人生の幸福を取り戻すための旅

7. 山下敦弘「天然コケッコー」(2007)     

島根県西部の石見(いわみ)地方、田舎の美しい里山の風景をバックに、少女(右田そよ)がのんびりした日常の中で東京から来た男の子(大沢広海)に淡い初恋に心ときめかせ、ゆっくり成長していく姿をほのぼのとしたタッチで綴る。

8. マイケル・アリアス「鉄コン筋クリート」(2006) 原作:松本大洋

ARTFORUM誌2006年度最優秀作品「Best Film」選出(日本映画史上初)。第80回米国アカデミー賞長編アニメーション映画賞部門候補。日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞。アメリカ出身の監督・脚本家と日本のマンガ家・アニメーターとの異文化混合により生み出された従来の日本アニメにはない特異な映像ファンタジー。

9. エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ「最強のふたり」(2011)フランス

東京国際映画祭コンペティション部門・最高賞東京サクラグランプリ、最優秀男優賞ダブル受賞。実在の人物である フィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴ(Philippe Pozzo di Borgo)とその介護人アブデル・ヤスミン・セロー(Abdel Yasmin Sellou)をモデルした映画。

10. ロマン・ポランスキー「ゴーストライター」(2010) 仏・独・英合作

ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)、ヨーロッパ映画賞:作品賞 ・監督賞 ・男優賞(ユアン・マクレガー)・脚本賞 ・音楽賞。自叙伝を発表する元英国首相にゴーストライターとして雇われた主人公が、国家を揺るがす危険な秘密に迫ったばかりに、恐るべき陰謀に巻き込まれていく。

11. 新海誠「言の葉の庭」(2013)       

5月31日より3週間限定公開され、満席が続いて『秒速5センチメートル』の観客動員を10日で突破。靴職人を目指す高校生のタカオ(秋月孝雄)は、雨の日の1限は授業をサボって庭園(モデルは新宿御苑)で靴のデザインを考えていた。ある日、タカオはそこで昼間からビールを飲んでいる女性、ユキノ(雪野百香里)に出会う。エンディングテーマ「Rain」(大江千里のカバー曲)作詞・作曲:大江千里/編曲:皆川真人/歌:秦基博

12. 沖浦啓之「人狼」(2000) 原作・脚本:押井守

押井守の架空の戦後日本を舞台とする「ケルベロス・サーガ」三部作のひとつ。第二次世界大戦後、ドイツ占領下(第二次ワイマール体制)におけるもう一つの「戦後日本」の世界。本作品の舞台はその世界の昭和37年(1962年)にあたる。獣としての宿命を背負った男と、愛を夢見た女の物語。CGを用いない20世紀最後のセル画アニメ。プロダクションIG。

13. 小津安二郎「東京物語ニューデジタルリマスター版、2013)」(1953)

10年ごとに映画50選を発表してきた英国映画協会発行の「サイト・アンド・サウンド」誌が2012年8月に発表した、世界の映画監督358人が投票で決める最も優れた映画(1位)に選出。1953年の夏、広島県尾道市に暮らす周吉とその妻のとみが東京に旅行に出掛ける。東京に暮らす子供たちの家を久方振りに訪ねるのだ。

14. ミロス・フォアマン「アマデウス」(1984、Blu-ray完全版/2013)

1823年11月、凍てつくウィーンの街で1人の老人が自殺をはかった。「許してくれモーツァルト、おまえを殺したのは私だ」、老人は浮わ言を吐きながら精神病院に運ばれた。