2015年4月11日土曜日

【学問のミカタ】選挙では現職有利

4月の学部コラボテーマは「選挙」。

今月、12日と26日に統一地方選挙があります。

選挙期間中は、候補者のポスターが張り出され、選挙カーが走り回ります。これらの選挙運動には、実は広告や宣伝と同じ心理学の法則がはたらいています。

その法則は現職にとっての追い風です。もちろん、それ以外の要因も関係していますが、その前に、現職は実際どのくらい有利なのか、見てみましょう。

下の表は、総務省「地方選挙結果調」にもとづいて、新人候補者と現職候補者の当選率をくらべたものです。作成者は渡部秀成さん(LLCつくばリスクマネジメント)。ただし、もとの表に一部、転記ミスがありましたので、修正しました(グラフは合っています)。

数値は、過去3年(2003年、2007年、2014年)の統一地方選挙における当選率(最小値-最大値)です。ご覧のように、「現職」の当選率は「新人」(<の左側数値)をすべて上回っています。

県議選 41-42%<86-88%
知事選 10-15%<100%

指定市議選 41-44%<87-90%
指定市長選 0-20%0-100%

市議選 65-69%87-93%
市長選 24-25%82-86%

特別区議選 45-53%90-91%
特別区長選 3-14%100%

町村議選 80-83%88-94%
町村長選 33-40%84-90%

なぜなのでしょう。

日本の選挙運動は期間が短く、そのことが現職を有利にしています。ここでは、それを宣伝・広告テクニックに絞って考えてみます。

現職の首長や議員は、ふだんからテレビや新聞に名前や顔が出たり、市報や区報に挨拶文が載ったりします。行事や会合に出席する機会も多く、多くの人が接します。これらの活動はすべて選挙運動としての働きをもっています。こうした機会は、新人にはほとんどなく、知名度も低いままだからです。

同じ顔や名前に何度も接することは、一般に好意度を高める傾向があります。これを「単純接触効果」といいます。心理学の有名な法則です。

最初は好きでも嫌いでもなかったのに、それに何回もふれているうちに、好意度が増すというものです。選挙カーで名前を連呼するのも、この効果を期待しているからです。

この法則は、宣伝や広告の世界で頻繁に利用されています。商品CMを繰り返し流すとか、ポスターを長期間張っておくとか。それに何回も接することで、知名度が高まり、人は、お店の棚で、それを見かけると、つい手に取ってしまうのです。

「単純接触効果」は人間関係でも起きています。学校で毎日会っている人を好きになるとき、この法則が作用している可能性が十分あります。

いかがですか。このしくみを知ると、公約を確認することの大事さもわかっていただけると思います。

トケコミでは、広告や宣伝の心理学も学べます。
(川浦康至)

1 件のコメント:

Yasuyuki Kawaura さんのコメント...

渡辺さんから転記ミスを修正された旨の連絡がとどきました。
http://www.katsuseijika.com/blog/details.php?p=1170