2017年4月10日月曜日

「盛りだくさんのマレーシア研修、どうだった?」(前編)



(トケコミ4ゼミ合同海外研修報告その2)

「感受性豊かな時期に海外へ!」をかけ声に、2月末に、松永/中村/光岡/佐々木の4ゼミが合同でマレーシアとシンガポールへ研修に行ってきました(8日間)。

前半は、クアラルンプールにある Asia Pacific University of Technology and Innovationで午前に英語研修を受け、午後は研究テーマにしたがって街中を視察。5日目は、トケコミへのマレーシアからの留学生実家がある同国南端のジョホールバルへ移動し、ご両親からの大歓待を中華料理店で受けました。その後、陸路でシンガポールに入り、半日だけ観光をして帰国という濃密なプログラム。今回そして次回は、日本で留守番をしていた教員・松永が、参加学生らの生々しい声をもとにレポートします。

  ※その1「マレーシアでビジネスするって、どんな感じ?」はこちら

 

【写真1 2017219日@成田空港:いざ!常夏のマレーシアへ!

◆初海外の衝撃!
 まずはショッキングな話から。研修に参加した学生の多くが海外初体験。今まで特に不自由なく生きてきた日本という島を出た瞬間、様々なカルチャーショックに遭遇したようです。

紙のないトイレ
 マレーシアのお手洗いには、一般的にトイレットペーパーが設置されていません。用をたしたあとは、便器の横に付設されたホースの水を使い、不浄の手とされる左手で洗うのです。そのため、床が水浸しになっていることもしばしば。事前情報として学んでいても、実際に目の当たりにすると困惑を隠せなかったとか。「手で洗うなんてありえない!」。
 しかし、マレーシア出身の学生から「紙でふく方が不潔でしょ」と一蹴され、「あたり前の習慣の違いって面白い」と感じた学生もいました。そうそうその調子。違いを楽しむことが大事です。
 そもそも日本ではいつ、どのようにしてトイレットペーパーが普及したのか? 電動ウォシュレットは、来日外国人にどのように受け入れられているのか? 「あたり前」のルーツや背景について調べてみるのもおもしろいでしょう。

客に媚びない店員
 「あたり前の崩壊」は、公共交通の利用や買物、食事の場面でも多発しました。アルバイト先で、「お客様は神様」と教え込まれていたT.Sさん(1年)は、ファストフード店での店員さんの接客に面食らったといいます。

これは、自分のつたない英語力にも問題があったのだが、マレーシアのケンタッキーフライドチキンに入り注文した時のこと。私が何を言っているのか、カウンターの彼女には伝わらなかったのであろう。大きな声で「ハア!?」と言い返されてしまった

 客だろうが店員だろうが、対等な立場でコミュニケーションをとる。驚いたけれど、むしろ、やたら下手に出て客に媚びる方が異常なのかもしれない。C.Mさん(3年)は、マレーシアで働く人々のeasygoingな姿に日本の接客文化との違いを感じ、好感さえ持ったといいます。

クアラルンプール2日目、水を買うためにセブンイレブンに入ったが、一瞬だけ停電した。その後レジが上手く機能しなくなったらしく、ずっと店員の人がレジの設定を直していたが、焦った様子もなく作業していた。レジが直った後も何事もなかったように接客していた。恐らく日本のセブンイレブンだったら、「申し訳ございません」の嵐だろうと思った

 我々の常識は彼らの非常識。日本社会の合理的なシステムを便利で快適だと感じる一方、A.Fさん(2年)は、自分たちが普段、いかに余裕のない、受身的でマニュアル通りの会話でやり過ごしているかに気付かされたといいます。海外での異文化体験は、自分自身の固定観念を見直し、コミュニケーションのあり方を考える契機にもなるのです。

◆友好的で、開放的なマレーシア
 最初は衝撃でもあったマレーシアの「ゆるさ」に、徐々にハマっていった学生たち。多くが、その魅力を“friendly”や“open”というキーワードで語りました。

フレンドリーに生きられたなら
 切符の買い方がわからず立ち往生していたところを助けてくれたり、身につけていたものについて「それ素敵ね!」と笑顔で話しかけてくれたり。マレーシアの人々の優しさに感激した、という体験談が多数寄せられました。Y.Sさん(2年)は、滞在していた大学寮でのコミュニケーションが特に印象的だったといいます。

エレベーターを待っている時や、エレベーターで2人きりになった時など、日本であれば普通「気まずい」という雰囲気になりますが、寮で自分が出会った人は初対面の私に笑顔で話しかけてくれました。そこで次の日、自分も初対面の親子に話しかけてみると、何度か会話のキャッチボールが成立して、笑顔で別れることができました。日本では滅多にみない光景だったと思いますが、日本もこれくらいフレンドリーでラフな人間でいられるような暮らしだったら、もっと幸せな気分になれる人が増えるのにと感じました。

同感です。とはいえ、10代までを九州、20代を関西で過ごした私からすれば、みんなが比較対象としている「日本=首都圏」なのでは?と突っ込みたくもなります。「日本」の多様性を知るべく、学生時代にぜひ、いろんな場所を旅してほしいと思います。

「壁」を作らない人々と街
 マレーシアは、言わずと知れた多民族国家。人口の約半数を占めるマレー人に加え、中国系、インド(タミル)系、先住諸民族や外国人労働者が暮らし、多様な宗教、言語が混在しています。
 イスラム教のモスク@プトラジャヤ、仏教寺院@マラッカ、ヒンドゥー教のバトゥ洞窟@KL郊外を訪ねたり、街でお祈りのシーンに遭遇したりして、「生活の一部になっている宗教」(2S.Yさん)、「個性を表すものとしての宗教」(3N.Kさん)を感じた学生たち。みなが堂々と自分のアイデンティティを示せるのは、異質なものに寛容でオープンな人々の姿勢、街の作りに鍵があるのではと考察したのはA.Nさん(2年)です。

一歩外に出て屋台に向かえば、多民族国家の片鱗を見ることができる。屋台の作りも特徴的で、道路に面している部分に壁や入口はなく、開放的に作られている。また実際に飲食するテーブルは道路にはみ出し、日本でいうテラス席のような形になっている。常夏のマレーシアでは冷房の効いていない屋台は涼しい夜になってから混雑し、みな各々で料理を注文しては、屋台にあるモニターでサッカー中継を観戦する。多くの屋台にはイスラム圏出身の水タバコ「シーシャ」が並び、多くの人が嗜む姿を目にする。私はこの屋台の開放的な作りに、マレーシアで暮らす人々の特徴を感じる。それは、民族間に壁がなく、どこ出身の人々とも分け隔てなくコミュニケーションをとるという点だ

食事という社交の場が、道路という公共の場に開かれていることに着目した視点が面白いですね。そしてAさんは、研修の意義をこうまとめました。

私は本研修で、日本では学ぶことの難しい多文化の混在を目の当たりにし、今過ごしている日本の文化以外に対する寛容性・柔軟性、各文化を尊重する姿勢が、今後我々の人生を彩るのだろうと感じた。その点で、マレーシアという多民族国家、現地の人々との交流は、日本にとって新たな風になるのではないか

(後編へつづく)

※参加学生による報告会を、下記二回に分けて実施します。関心のある東経大生はぜひ!
412日(水)E3065号館3階)12:3512:50
418日(火)E2015号館2階)12:2012:35

 

【写真2 マラッカでの集合写真:服装も表情も、徐々に現地化

0 件のコメント: