その初回授業で、コミ部学生のウェブサービスとアプリの利用状況を大雑把に把握するためにとったアンケート結果の抜粋が下の表になります。
尋ね方は「今日/昨日/一昨日の間に利用したウェブサイト、ウェブサービスやアプリの名前を利用する端末とともに書いてください。合計10書いてくれれば助かります」でしたので、「ためになる」や「お気に入り」のサービスよりも普段使いのそれが上位に挙がっています。
39サンプルから90以上のサービスやアプリが挙がりましたが、気づいたことを少々。なお表はスマホでの利用が多い順になっています。
- LINEは全員がスマホで利用、ツイッターもスマホでかなりの利用率
- PCで最も利用されているのがYouTubeで、この傾向はニコニコ動画にも当てはまる。動画を見る時はPCも利用されているよう。
- ゲームアプリではパズドラ一番人気
- 写真投稿(共有)のInstagramもけっこう利用されている。
- ECではアマゾン、楽天というなんでも屋に加えて、ZOZOTOWNも登場。
ちなみにTKUポータルというのは東経大の学生向けの連絡ツールで学生ひとりひとりが自分のページにアクセスし、教員からの連絡やレポート課題の情報などを得ることができるサイトです。
またこの表からはわかりませんが、利用端末が「スマホのみ」という学生は39名中5名でした。ただし動画の時のみPC利用という人を入れると8名が「ほぼスマホ」でした。
「ネットワーク・コミュニケーション論」の授業では、ネットやスマホといった人工的な環境によって、私たちのコミュニケーションの有り様が強く制約されていることを考えます。たとえばスマホの特徴は「小画面」と「携帯性」ですが、この特徴は「私たちを知った気にさせる断片的情報をいつでもすぐに受信する」のに向いています。「知った気にさせる」というのは少々皮肉で、そんな生半可な知識はあてにならないのに、ということを言っています。私はスマホのこの特徴が、インターネットを、共有を通じた創造の道具ではなく単なる情報消費の道具にしてしまう可能性を持っていると危惧しています。
もちろん人は環境に適応しますので、それは「90年代前半からPCでネットを使ってきた40代男の想像にすぎない」ということもありえます。つまりいずれ多くの人がスマホを創造的な道具としてもふんだんに活用することは考えられます。しかし現状はそうではありません。
Every Second on the Internet というサイトがあります。アクセスして中央にある下向き矢印を押すと、上にも登場したInstagramでの写真投稿、ツイッターでのツイート、Googleでの検索などが、あなたがEvery Second on the Internetのサイトに訪れてから何回なされたかがグラフィカルに表示されます。これを見ると世界の各所で多くの人がネットコミュニケーションを行っていることが実感できます。
そんな当たり前になったインターネットでのコミュニケーションですが、小学生からウェブを、高校からスマホを空気のように利用してきた若い人たちにとってこそ、ネットを介したコミュニケーションが持つ利点や制約について落ち着いて考えることは大事なことだと思います。ワードで文章を上手に書くとか、エクセルできれいにグラフを作るといった次元とは違う、そういう授業もコミ部にはあります。
佐々木裕一のブログ