2020/06/09

TOKECOM新任紹介/大橋香奈:人々の〈移動〉の経験、映像で表現

※2020年6月8日付ブログ記事からの転載です。

41日付けでコミュニケーション学部の専任講師に着任した大橋香奈です。新型コロナウイルスが世界各地で猛威をふるい、百年に一度と言われるような社会的混乱が起きているなかで、新しい仕事が始まりました。この数ヶ月、想定外の事態を経験する度に、不安や落ち込みを感じてきました。一方で研究者としての私は、この事態をどのようにとらえることができるだろうかと、日々刺激され知的興奮を感じてもいます。今起きていることは、私の研究テーマである「人びとの〈移動〉の経験」と密接に関係しているからです。私が研究で注目している〈移動〉には、身体の移動だけでなく、物の移動、想像による移動、メッセージやイメージの移動など、多種多様な移動が含まれます。このような多種多様な移動、そしてそれらの組み合わせに着目するおもしろさを教えてくれたのは、社会学者のジョン・アーリが書いた『モビリティーズ 移動の社会学』という本です。アーリがこの本(原著)を書いたのは2007年ですが、この本に出てくる「移動にはどのような効用と歓び、さらには痛みがあるのだろうか」という問いは、今あらためて考えるべき問いだと感じています。

4月から始まった大橋ゼミ(演習)では、Zoomを使ったオンライン授業で、アーリの本をみんなで読み解くディスカッションをしています。辞書のように分厚く難しい本ですが、ゼミのメンバーは授業前にチームに分かれて予習して、自分たちなりの理解のいとぐちを見つけてきます。それを授業で発表するのですが、お互いの読み解き方から学ぶことがたくさんあります。私たちの身の回りの世界を、顕微鏡あるいは望遠鏡を使って見るとまったく違って見えるように、〈移動〉というレンズを使って世界を見ると、今までとはまったく違って見えることを、ゼミのメンバーと一緒に体験しています。2期(秋から)のゼミでは、「人びとの〈移動〉の経験」について、今度はメンバー自身がリサーチをする予定です。その際には、「ビジュアル・エスノグラフィー」というアプローチを使います。これは、写真や映像を使って、調査対象の人びとの経験を協働的に理解し表現することを目指す方法です。調査の最後には、完成した研究作品(research-creation)を上映/展示することによって、研究内容を広く共有し対話する場づくりを行い、その実践自体も研究対象にします。

私は博士課程の頃から、そのようなアプローチで研究に取り組んでいます。博士課程では、日本で暮らしながら他国にいる「家族」と国境をまたがるトランスナショナルな交流を続けている5人の調査協力者を、1年ずつ調査しました。その成果は、5人の語りを映像化した『移動する「家族」』という研究作品です。本作を持って各地に出かけ、上映会を49箇所で実施して参加者と対話しました。上映の実践については、日本生活学会の論文誌に掲載された論文にまとめました。学会誌「生活学論叢」



最新の研究作品は、私の博士研究を副査として指導してくださった水野大二郎先生(現・京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab 特任教授)との共同監督作品『Transition』です。この作品は、妻みえさんが妊娠中に病気と診断されたことをきっかけに、水野先生がスマートフォンで2年間撮影し続けた生活記録をもとに制作したものです。水野先生と家族の過酷な人生移行の経験、そのなかで強いられたさまざまな〈移動〉の経験を理解し、表現することを試みました。『Transition』は、昨年オランダで開催された「アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭(IDFA 2019)」のコンペティション部門(ショートドキュメンタリー)に入選し、現地でワールドプレミア上映されました。また、本作は第20回「Nippon Connection(ニッポン・コネクション)」日本映画祭のNippon Docs(ニッポン・ドックス)部門に入選したため、来週69日から14日の会期中オンラインで上映されます。詳しいプログラムは、映画祭のウェブサイトに掲載されています。


この映画祭は、例年ドイツのフランクフルトで開催されているのですが、今年は新型コロナウイルスの影響でオンラインで開催されます。ぜひ、この機会にご覧ください。


これからトケコムの一員として、世界で最も流動的な都市の一つである東京で、学生のみなさんとともに「人びとの〈移動〉の経験」を理解し表現する、新たな研究作品を生み出すことを楽しみにしています!

【ここまでコミするオンライン授業】第3回   C型:広告論 ~リアルタイム鴉声篇~

※2020年6月5日付ブログ記事からの転載です。

「ここまでコミするオンライン授業」、第三回目は「広告論」の授業のご紹介です。コミュニケーション学部の大岩直人(オオイワナオト)がお送りします。

「広告論」は授業参加点(つまりは出席点)重視の授業です。火曜日1限、朝9時スタート。……キビしいですね。私もみなさんと同じ学生の頃(はるか昔ですが)、1限の授業に遅刻せず出席するというのは、これはもう修行の域でございました。だいたいが前の晩はバイト疲れ恋愛疲れ(?)で夜中の2時頃の就寝です(今は加齢のため2時頃途中覚醒しています)。それからぐっすり寝入って(今は加齢のため眠りはかなり浅いです)朝の8時頃は深いノンレム睡眠のまっただ中。それをどうやって9時までに大学のキャンパスまで身体を空間移動しろと言うのだ? でも、その問題、オンライン授業が解決するかも。あなたは855分に目覚ましをセットし、9時に寝ぼけ眼でとりあえずPCを立ち上げ、zoom の招待アドレスをクリックすればいいのです(これでまずは出席点クリア?)。

やがて担当教員の声(つまりワタクシの声)が沸々と聞こえてくる(お聞き苦しい点につきましては何卒ご容赦のほどを)。内容は前回の授業の復習から始まるみたいで、事前にオンラインで送られてきた資料は読んだし(3分で読めた)課題もググって調べておいたので、寝ぼけたアタマでもなに言っているかはわかる。耳を傾けるのは苦じゃない。でも、やっぱり声が良くないね、鴉声ってヤツだ。(現在脳の稼働率15%程度)。
15分経過。オオイワさんが突然なにやら妙なことを言い出した。「広告を疑え」と。広告論の授業なのに広告を疑うの? おかしなコトをいうひとだ。それにバーチャル背景につかっている画像が反転している。ワザとやってるのかな?


(注)zoom のバーチャル背景をあれこれ考案している教員のみなさん。ミラーリングのチェックボタンをオンにする時はくれぐれもお気を付けください。ホスト側できちんと見れるようにと敢えて水平反転させると、視聴者側(ゲスト側)ではまんま裏返しに見えていますので。

でも、よくよく話を聞いてみると「広告という訳語が今の時代にそぐわない」、そんなことが言いたいみたい(このあたりで脳の稼働率40%程度にアップ)。「これは現代広告論の授業です。まずは従来の広告の定義を疑うことから始めましょう」とのこと。
30分経過。いっしょにいくつかの実際の広告作品を見ていきましょうと、zoom の画面共有で YouTube の動画が流れ出す。海外の広告作品だ。今まで見たことがないものばかり。日本語字幕も付いてないからわかんないよね、と思っていたらそうでもなかった。けっこう面白い! 言葉がわからなくても通じるんだなぁ。それにしてもちょっと音声デカすぎ。チャットで「コンピュータ音声、すこし下げてください」とタイプする。が、オオイワさん、講義に夢中で気付かないようだ。ま、いいか。イヤホン外す。部屋中にコンピュータの音声とオオイワさんの鴉声が聞こえる(このあたりで脳の稼働率、否応なく80%程度にアップ)。「チャーミングな広告表現というのはノン・ヴァーバルで伝わるものなんですよ」なんて言っている。ノン・ヴァーバルってなんだ? これもあとでググっておこう。
気が付けば、すでに時計の針は10時。「今日はここまでにしましょう」とのこと。ラップアップに前回の課題レポートのフィードバックが画面共有される。他の人のいろんな回答。みんな、ナカナカうまいこと言うなあ。視点が斬新っていうヤツだね。ふむふむ。で最後に、ええっ? 自分の書いたレポートの一部も紹介されてるぞ。「○○さんの書いたこのレポート、徹底的に具体的なところがいいのです。うまくまとめよう、そつなくまとめようとしないところがいい。素敵なノイズがいっぱい。ディテールの解像度が高いところがいいのです」だって。褒められたらさすがに悪い気はしないよね(脳の稼働率ここで100%達成)。ということで本日のzoomミーティング授業終了。退室する。
10時半。1限終わったらまた寝ようと思っていたのに、眠気が完全に失せてしまっている。このまま授業中に出された最後の課題もやっちゃおう。

オンライン授業を開始して、早や1ヶ月以上が経過しました。現在、こんな感じでみなさんに私のオンライン授業を受けていただけているとしたら嬉しい限りなんですが。……


さて、私がリアルタイム型のオンライン授業にこだわる理由はいくつかあります。ひとつは、同じタイミングでみんなで共通のテーマについて思考したり作品を鑑賞したりすること、そのシズル感こそが大切だと考えているからです。コンテンツは同じでもその場の共鳴の仕方次第で印象の残り方は大きく異なるものです。だから、毎回の授業は一期一会。ちょっと大げさに言えば、授業とは学生と教員との間のその場その場のアート行為なのではないでしょうか。畑山博さんが書かれた『教師 宮沢賢治のしごと』という本の中に以下のような文章があります。「学校の教師という仕事は、それをほんとうに誠実に心を賭けてやったら、音楽とか絵とかいうような芸術より、もっとすばらしい芸術行為になるのだと、私は思っています」と。
あとは意地みたいなものもあると思います。黎明期からデジタルコミュニケーションを牽引してきた(つもり)の自分が授業形態においても常に新しい試みにチャレンジしなくてどうする? という気概めいたものが私の中にあるようです。だからと言って、学生のみなさんに余分な負担(wifi 環境とか使用デバイスの問題とか、あるいは電波を通すと鴉声がさらにヒドくなるとか)を強いることのないよう常にチェックし、新しいオンライン授業の形態を進化させていければと思っています。

対面授業が復活する日がほんとうに待ち遠しいです。でも、オンラインにはオンラインの良さもあります。これからの時代はリアルとバーチャルのハイブリッドが当たり前になっていくと思います。今こそ、その実験の場を集中的に与えられているのだと解釈し、オンライン授業のあり方を徹底的に「考え抜く。」時なのではないでしょうか。我々教員が今、教育の現場でなにが出来るのか、そのベストを尽くすために状況の変化に応じて常にスピーディに挑戦していきたいと決意を新たにしています。

「じっくり考えるから、すばやく変われる。」


でも、対面授業に戻った時のために、普段より1時間早めにベッドにつく練習もそろそろ始めておいてくださいね。でないと、9時に間に合いませんよ!


さて、大岩の「広告論」は「現代広告論」の授業です。インターネット四半世紀。インターネットの普及以降、広告コミュニケーションは大きく変化し、それも既にひとつの「歴史」となったのではないでしょうか。520日より10日間、日本経済新聞の電子版、文化面の「美の十選」にて、杉山恒太郎氏の「世界を変えたネット広告 10選」の連載に合わせて作品解説を担当しました。取り上げた10作品は、現代広告を代表する日本の名作ばかりです。是非ご覧になってみてください。(電子版ですのでいつでも読めます。有料記事ですが、会員登録をすれば月10本までは無料で閲覧可能)第一回目の記事は以下のURLにて。それ以降連続して合計10作品掲載してあります。



最後に、新型コロナウイルスでお亡くなりになった方々に心から哀悼の意を表すとともに、体調を崩されている方々の一日も早い回復を祈りつつ。

【ここまでコミするオンライン授業】第2回   B型:コンテンツ産業論

※2020年6月1日付ブログ記事の転載です。

 こんにちは、コミュニケーション学部の田村和人です。連載企画「ここまでコミするオンライン授業」の2回目は、B型「あらかじめ授業内容を録画した動画によるもの」の事例紹介です。

 わたしは「映像制作」ゼミを担当していることもあって、撮影機材はイロイロと持っています。「しばらく授業はオンラインで」と聞いた瞬間から、機材をどう構成しようかと考え始めました。いくつかの機材を買い足し、研究室のレイアウトも多少変更して、やっとイメージ通りに完成したのが下の写真にある“撮影セット”です。



カメラは2台構成として、スィッチャーで画面を切り換えるようにしました。1台は講師の私とスライド画面の広めの画(下の写真はそのカメラで撮ったものです)、もう1台はスライド画面のアップです。



音声はとても重要なのでmacの内蔵マイクではなくテーブルマイクを利用しています。また、小さな照明も設置しました。こうしてみると、なんだかテレビスタジオの機能をテーブルの上に持ち込んだようで、われながら楽しくなってきました。

狙いとしては、私のことをみたこともない受講生もいるでしょうから、話している人の姿をきちんとした映像でみせたいということと、スライドがアップになった時に講師の生の指で画面をポイントしたいという二点です。つまり、とてもアナログな映像にしたかったということですね。通信講座のような授業ではない、オンラインでもなるべく身体性をともなうものにと考えたわけです。

 さて、動画は受講生が使い慣れているYouTubeにおく場合とgoogleドライブにおいて共有する場合とがあります。今のところ、再生でトラブルが発生したことはないようです。撮影で使ったスライド資料は、前回紹介のあったmanaba経由でPDF資料として配布して理解の促進に役立ててもらっています。また、毎週必ずアンケートを、おなじmanabaの機能を利用して実施しています。アンケートの結果はいつも興味深いものです。例えば、スマホの画面を毎日平均5時間もみている(!)とか、ラジオをインターネット経由で聴けるアプリであるradikoを半数もの学生が使っているとか、実はけっこう映画館に通っているとか、私の予想とはかなり違う結果が出てきています。アンケートの結果はもちろん受講生にフィードバックしています。

本来の授業は木曜4限ですので、その前日、水曜中には動画、PDF資料を公開しています。

 B型の利点としては、受講生にとっては授業時間にしばられずに好きな時間に受講できること(繰り返し視聴することも可能)、教師にとっては授業動画をじっくりと作れることが挙げられるでしょう。一方、C型と比較すると、受講生が同時に授業参加している感覚はありません。Zoom 等でライブ講義にすれば、他の受講生の顔も画面でみられますから、それもC型の利点でしょう。

われわれ教員も、多くの人が今、初めての経験をしています。今後は受講生からの声も蓄積され、よりよいオンライン授業の型ができてくることと思います。近い将来、高速低遅延の5Gを利用したVR授業も可能になるかもしれませんね。

●編集後記●
本格的な機材を使った映像制作が人気の田村ゼミ。
昨年、夏合宿の様子を当ブログでも紹介してくださいました。
この春は、国分寺キャンパスの満開の桜をドローン撮影。その映像が、本学HP上で公開されています。

「東京経済大学 2020年春〜桜〜」→映像はこちら

以下、田村先生からのコメントです。
在校生のみなさん、そして来年本学への入学を希望されているみなさん、現在は構内に入れず本当に残念ですね。さて、今年はいつもより早く桜が咲き、正門から校舎へのアプローチは、例年通りピンク色に染まりました。4Kドローン映像で春のキャンパスをお楽しみください。 
※ドローンはさまざまな規制の対象となっていますが、“人口集中地区にある学校”での飛行ということで、国交省を含め各所からの許可をいただいての撮影となりました。(撮影日:2020年3月25日)
一日も早く、キャンパスに学生の賑わいが戻りますように。

2020/05/31

「きょうもトケコム」から「TOKECOM note」へ

いつも東京経済大学コミュニケーション学部ブログ「きょうもトケコム」を見ていただいてありがとうございます。開設は2012年7月5日、それ以来およそ8年間にこの記事を入れて442記事を投稿し、学部の現在をお伝えしてきました。

明日、2020年6月1日からこのブログは、コンテンツ配信サイト note 上で、


として続きます。引き続き、学部の中の講義・ゼミの様子、学生と教員、そして卒業生の動きを積極的にお伝えしていきたいと思います。6月1日には早速、「ここまでコミするオンライン授業」シリーズの第2回、録画配信型(B型)の授業の裏側をお伝えする予定です。

これからもどうぞよろしくお願いします。

(追記)TOKECOMは2022年度からメディア社会学科と国際コミュニケーション学科の2学科体制となる予定です。詳しくはこちらの特設Webページをご覧ください。


※このブログも記録用として残し、またTOKECOM noteの更新記事をしばらく転載する予定です。

2020/05/21

トケコム就職状況 その2...「質」の話

前回はトケコムの就職「率」について書き、最後に就職「質」ということは考えられないのでしょうか? という問題提起をしました。約束通り書きましょう。

「質」であっても人は数字で測りたがります。だから「優良企業400社への就職率」(大きくて古い会社が400社には多い)というように率で質を測ろうとする試みもあります。これについては東経大は10%に届きません。

ガッカリしました? いえ、大丈夫です。この数字が25%を超える大学は数えるほどしかありませんし、そういう大学でもこの10年で率は下がってきています。なにしろ会社の数は多く、しかも増えているからです。さらに成長性のある、あるいは社会的に意義を持つ新しい小さな会社に優秀な学生が就職するようになっているからです。優秀な学生は時代の変化を感じているのでしょう。



私が学生によく話す「質」にかかわる要素は以下のようなもの。もちろん、絶対というわけではないですよ。

マクロ的な要素
・業界として成長する可能性が高いか
企業やビジネスから「金儲け」を想像する人は多いですが、企業が存在しているのは彼らが提供する価値が社会的に認められているからです。だとすれば成長する業界というのはこの先、提供価値がさらに社会的に認められていくということになります。さらに、仮に自分の入った会社がつぶれても転職できる会社が多くあることにもなります。

ミクロ的な要素
・その会社に技術的、あるいは他の強みがあるか
・経営者がしっかりしているか
・自分の得意なことが活かせるか
メーカーであれば独自技術は大事です。利益率が高くなり、給与も概して高くなり、落ち着いて仕事ができます。経営が火の車という会社では、あわてて転職して失敗することもあります。また「得意」と「好き」は違います。好きなことでも苦手なことを仕事にするのは一考を要します。でもこのミクロ的な要素は実際に入社してみないとわからないことも多いです。

自分と会社の相性/働く意味
・会社のミッション(使命)に共感できるか
これは小さな会社、若い会社であればことさら重要です。多少ツライことがあっても自分と会社のやっていることに誇りが持てれば人は頑張れます。

こういうことを学生時代から考えて準備する人が増えていけば、トケコムの就職「質」は今以上に高まっていくでしょう。

と、書いてきましたが、学生には実感がもてないでしょうから、具体例を。

我がゼミを2年前に卒業して3年目に入った竹野谷淳さんからの寄稿です。彼が入社したのは株式会社ウェイブ。マンガコンテンツをデジタルで作っている会社です。
http://wwwave.jp

彼から「ここに行こうと思っている」と言われたときに、話して、少しだけ調べたのですが、私は次のようなことを言いました。「マンガのデジタル版はアジア市場を中心に伸びる可能性が高い」「創業から8年たっていて取引先もちゃんとしているし、経営者が良さそうだ」「マンガやアニメが好きで、書くことが得意なあなたには合っているのではないか」。そしてこれは質の高い就職だと思ったことを覚えています。当時は50人に満たない会社だったのですが、彼が会社のミッションに共感していたこともわかります。

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 新型コロナウィルスの影響が広まる今日この頃、私は社会人3年目に突入して初めての在宅勤務を経験してます。そんな中、私は新卒から勤め続けている株式会社ウェイブで編集者をしています。
 
 なぜ多くの企業からウェイブを選んだのかと言うと、企業理念「社員が定年まで成長し続ける会社」に象徴されるように、何よりも社員の成長を促進する環境作りを大事にしているからです。社員の成長は、ウェイブを2年ほどで社員数50人弱から100人を越える企業へ成長させた一因だと思います。就職先の将来性を考える際、その会社が社員の成長をどのように考えているかは、企業選びにおいて大事な要因の1つになります。
 
 では、ウェイブに就職するまでに何をしていたのかと言うと、まずはひたすら説明会や座談会に足を運びました。事前に得られる情報は限られているので、現場で働いている人の声を聞くために大手を含め幾つもの企業を回りました。この期間までに~をする!と目標を立て、達成するためにスケジュールを調整し就職する業界の比較材料を集めます。
 
 とはいえ、当時は売り手市場。そこまでしなくとも、『とりあえずの就職』は何とかなりました。目標無く惰性で就職先を決めたり、他社との比較無しに決めたりする学生も多く見ました。ただ、私個人としては本当にそれでいいのか、と思うところがありました。

 就職をするにあたって、「就職先で自分が得られるものはあるか」「得たスキルは、キャリアアップに生かせるか」「そもそも働き続ける上で、会社の方針が自分にあっているのか」など、先々を見越していく必要があると、私は強く思います。
 
 今は新型コロナウィルスの影響で就活自体も本当に大変な時期ではありますが、だからこそより就職した後のことを見据え、数年後自分は何をしているか?を問いながら、選んでもらえればと思います。

 卒業生として、皆様のご活躍を心より応援しています。
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世の中は複雑になり、変化も速い。だからこそ『業界地図』をペラペラめくりながら「こんな仕事や業界があるのかぁ」という準備はとても良いと思います。授業にだって『職業選択とキャリア形成』『企業・業界分析』『雇用の変化とキャリア形成』などがキャリア科目(進一層科目)として準備されています。

それとここまで一言も書いていないですけど「考える訓練」もとてつもなく大事です。会社は言われたことができるだけの人よりも、新しいアイディアを出せる人の方が欲しいのですから。そこが抜けてもダメ。トケコムの場合、そこはほとんどの学生が所属するゼミで鍛えることができ、それをやった人は結果的に良質な就職をすることが多いです。

まとめると就職「質」というのは学生個々で持つ基準によって違う。だから測るのは難しい。けれども準備によって、また大人と話すことで上げることはできます。考えながら少しずつ準備を始める学生が増えれば、トケコム全体の就職「質」はまだまだ上がるでしょう。これが私の考えですし、希望です。

2020/05/15

トケコム就職状況 その1...「率」の話

コロナ禍終息にはまだ少し時間がかかりそうです。それでも大学では授業が始まり、みなさんは学生としての生活感覚が少し戻ってきたかもしれません。だったらもう少し先の話をしてみましょう。そう、学生の多くが近い将来に直面する就職の話。就職委員という立場で今回は佐々木が書きますね。

2019年度のデータが揃いました。大学全体での「卒業生」就職率は87.4%。これは就職決定者数を卒業生数で割った数字です。昨年と0.3ポイント減少とほとんどかわりません。これとは別に就職を希望した学生数で割った「希望者」就職率は96.7%でした。こちらは前年から0.8ポイント増。

ではトケコムはというと、
・卒業生就職率:86.4%
・希望者就職率:98.5%
大きな差はありませんが、希望者就職率は4学部で見ると最も高いのは事実。

男女で見ると、それぞれの就職率は
・男子 86.9%、98.9%
・女子 86.0%、98.0%
となりました。



では、この数字をどう解釈したら良いのでしょうか。ある人は「希望すれば100%近く就職できるのだな」と思うでしょう。それは正しい。

でも一言言いたいです。100%近く入れるのは「選り好みしなければ」ということです。

仮に希望者就職率が100%であっても一定数は「大して行きたくもない会社」に入ります。また本人の満足度が高かったとしても、すぐれたビジネス感覚のある大人がみれば「冴えない会社」に入る学生がいるのも事実です。そしてこれはトケコムや東経大に限った話ではありません。どんな大学に通っていても、無知で準備不足の学生はそのような良くない選択をするのです。

さてちょっと話題を変えてみましょう。

毎年発表される「東大合格者数ランキング」なるものがあります。このランキング、実は10年でけっこうな変化があります。なぜでしょうか。それは「東大合格者数ランキング」がわかりやすくてけっこう多くの人が関心を寄せる指標だからです。だから多くの高校は東大に合格させるためにあの手この手を考えます。そうして受験者と入学者を確保します。

わかりやすいのは「文武分担」と時に揶揄されるもの。スポーツで全国大会を目指す生徒と、東大合格をひたすら手伝う「特進クラス」の生徒を別にしてそれぞれで学校の知名度を上げようというケースです。

東大なんて関係ないよ、という読者もいるかもしれません。でも人びとのランキング好きという性質から、このようなランキングは東大以外にも、早慶、MARCH...と次々と増えていき、高校の先生たちの一定数はそれを意識せざるをえないわけです。

こういう非常にわかりやすい指標があると、10年でけっこうな変化が起きます。なぜならば人びとが対策をとり、行動レベルで変化するからです。でも高校のランクほど、大学のランクは短時間で変わらないですよね。それは「東大合格者数ランキング」と似たわかりやすい決定的なランキングが大学と就職の世界にはないからです。偏差値? それは大学に入る時点でのランキングです。東大入学は高校を出たあとの話ですから。

大学の出口である就職への強さに「××会社への就職数」という個別の会社への就職数はほとんど関係ない。出しても大して意味がないから話題にもなりません。会社はあまりに多様ですし、新陳代謝も激しいので。日本の大学数は700強しかありませんが、会社の数は400万!!以上あり、会社の寿命は平均24年ほどですから。だからどこの大学も「卒業生就職率」と「希望者就職率」しか出しようがないのです。

では就職「率」だけではなく就職「質」ということは考えられないのでしょうか? これはトケコムがどのくらい就職に強いのかを考えることでもあります。

次の記事ではそのことについて考えてみたいと思います。

2020/05/09

【ここまでコミするオンライン授業】第1回   A型:メディアコミュニケーション基礎


 こんにちは。コミュニケーション学部の山下玲子です。「ここまでコミするオンライン授業」シリーズの記念すべき(?)第1回を務めさせていただきます。

 私が担当しているコース必修の「メディアコミュニケーション基礎」は、A型で授業を進めています。A型の授業って、毎週資料を読んで課題を提出するだけなの?それって、手抜きじゃないの?と思われるかもしれません。いえ、そんなことはありません。毎回の授業は、文章が書かれた資料をmanaba(大学の学習支援システム)上にアップして、学生から課題が提出されるのを待っている、そんなのんきなものではないのです。

<読んでも聞いてもわかる資料をマルチデバイス対応で配信>
 私の授業の場合、本来の授業の時間割は金曜の1限です。学生にできる限り金曜日にしっかり勉強してもらえるよう、毎回の学習に使う資料は、水曜日にアップしています。資料は、もともと対面式の授業で使っていたパワーポイントに、音声を追加しています。パワーポイントは、かつて聴覚障害の学生が履修する中で授業を行った経験から、できる限り、読めばある程度わかるように作ってあります。さらに、学生に「生」の授業での学習を体験してもらいたい、という気持ちを込めて、音声はパワーポイントを操作しながら、パソコンに向かって「授業」をしたものを録音しています。

 資料は確実に学生に届くように、3つの形式で用意しています。1つは、パワーポイントを映像化しYouTubeにアップ。これは、授業をリアルタイム感覚で聞きたい学生用です。もう1つは、音声入りパワーポイントそのものをアップ。これは、Googleドライブを利用しており、じっくり見直ししながら勉強したい学生向けです。最後は、パワーポイントのPDFmanabaにアップです。これは、通信環境に困難のある学生、時間的余裕のない学生用。いずれかの形式を、自分の学習スタイルに合わせて、学生は選ぶことができます。

配布している資料の例。いつもよりやや文字は多めにしています。

<毎週、定時に授業をしている感覚で臨む>
 さらに、毎回の授業に時間割の感覚を持たせるために、課題の提出時間を金曜日の9時開始に設定しています。課題は、「重すぎず、軽すぎず」、「授業時間と同程度の学習時間内でほぼ完結する」ことを心がけています。これまでも、学生の集中力を持続させるために、授業内で1,2回、授業に関するアンケートをしたり、コメントを書いてもらったりする時間を作っていました。そして、回答は、まとめて必ず翌週の授業でコメントをしていました。それとほぼ同等のことができるよう、パワーポイントのスライドの途中に、2回程度、manabaのアンケートの形で回答する課題を入れ込んでいます。多くの学生が、金曜日の朝9時から作業を開始するので、私も同じく、金曜の9時からmanabaのコースをあけて、待機しています。アンケートの回答数を確認しつつ、学生からの質問が掲示板や個別指導コレクションにあがってこないか確認します。

 質問には、気づいたら、とにかくすぐに返事をします。複数から同じ質問が来た時には、その後、より多くの同じ質問が来ることを見越して、コースニュースに投稿をします。全体にかかわるような問題が指摘された場合にも、問題への対応についてコースニュースで告知します。学生の中には、抱えている問題を言語化するのが苦手な人もいますが、そういう学生ともやりとりを重ねることで何に躓いているか発見していきます。この時間帯に学生の動きを確認することで、たいていの問題を拾い上げることができています。

授業中はこんな感じ。パソコン、iPad、スマホを使って掲示板、メール、LINEと質問に回答しています。

 出席カードもアンケート機能を付与したうえで利用しています。たいてい、動画や別の資料へのリンクを貼り、それを閲覧したうえでの感想を書いてもらっています。授業への「出席」は、授業回の翌週の月曜日の夜までに、授業資料の閲覧、アンケート課題の提出、出席カードの提出、この3点セットがそろって認められる、と告知しています。「これだけやれば出席になる」と理解しているので、本来ならば、1限に起きられずに諦めてしまうような学生も、みな授業に「出席」してくれています。この授業の履修者は約150名ですが、初回の「出席」率は100%、2回目の授業も99%の出席率です。課題への回答も、例年の対面型の授業の時よりも、量、質ともに充実したものが多数提出されています。

<提出課題へのフィードバックで学生とコミュニケーション>
 課題に対するフィードバックも、翌週の木曜日までに、全体をまとめたものをアップしています。この一連のサイクルの間に、毎日、何度もmanabaのコースをチェックしています。課題アンケートに入力データがあるのに未提出のままの学生を見つけたら、提出ミスを疑い、メールで連絡をします。個別指導コレクションや掲示板に質問があがってないか確認したり、メールでの問い合わせに答えたり、出席カードの回答の中に質問や疑問の声がないか探して、共有すべきと思ったことは、コースニュースで告知しています。このような学生の不安に素早く対処することで、学生たちも、何か問題が生じたら、すぐに掲示板に書き込んだり、何等かの形で情報を提供してくれたりするようになっています。

 このように、コミュニケーション学部のA型の授業は、非同期型ではあるものの、学生とのコミュニケーションをオンライン上で密に取りながら授業を行っています。配信された資料に基づいて学習する「オンライン授業」のイメージ、少しは変わりましたでしょうか?




東京経済大学コミュニケーション学部
「ここまでコミするオンライン授業」シリーズ
TOKECOM note でもご覧ください)

  • 取り組みを紹介していきます
  • 第1回 A型 「メディアコミュニケーション基礎」(本記事)
  • 第2回 B型 「コンテンツ産業論」<近日公開予定>
  • 第3回 C型 「広告論」<近日公開予定>

【ここまでコミするオンライン授業】取り組みを紹介していきます

新学期の授業が始まって2週間。世の中では、「オンライン授業」が話題になっていますが、オンライン授業って、どんなことをしているのか、よくわからない、という人も多いと思います。東経大のオンライン授業は

A型:配信された講義資料などに基づいて学習するもの
B型:あらかじめ授業内容を録画した動画によるもの
C型:リアルタイム配信される授業に参加するもの

の3つに分かれています。

コミュニケーション学部の最大の特徴の一つ、1年〜4年まで行われる少人数教育の「ゼミ」においてはほとんどが、Zoomなどを用いた上記でいうC型の授業が行われており、教員と学生が週に一度は画面越しですが顔を合わせています。また1年生全員の履修必修「アカデミック・コンパス」においては、B型のオンデマンド授業に加えて授業時間を使ったイベントとしてZoom内で大規模な「お茶会」が先日行われ、新入生がお互いに交流を深めました。楽しかった、いろいろな人と話せたという声が聞こえてきてよろこんでいます。

学生の受講環境に配慮し、一方で日本初のコミュニケーション学部として取り組んでいこうと、各教員が工夫をし、またお互いに情報交換をしながら努力を続けているところです。ここからはA型〜C型それぞれの3回シリーズで、オンラインの「中の人」たちの様子を紹介していきたいと思います。

教員も、はじめての事態に試行錯誤中です。学生の声にできるだけ耳を傾け、軌道修正しながらやっています。そもそもオンラインに限らず、授業は学生と教員がともにつくるもの。「よりよい授業」にするため、学生の皆さんもどうぞ積極的に「コミ」してください。 



東京経済大学コミュニケーション学部
「ここまでコミするオンライン授業」シリーズ



  • 第1回 A型 「メディアコミュニケーション基礎」 (公開中)
  • 第2回 B型 「コンテンツ産業論」<近日公開予定>
  • 第3回 C型 「広告論」<近日公開予定>

    2020/04/08

    学部長メッセージ:政府の緊急事態宣言を受けて


     今日は本来であれば、オリエンテーション期間が終わって1期の授業が始まる日でした。しかし、既にご存知のように、政府が非常事態宣言を出し、都知事が大学にも休業を要請する事態となっております。大学としても開講を422日からに先送りする決定を既にしていましたが、さらに、開講からしばらくの間は、授業を通常の対面形式ではなく、オンライン形式で行うことが決定されました。

     新型コロナ・ウィルスには、ウィルスに感染しても症状が出ず、本人も周囲も気づかない状態で、他人に感染させてしまうことがある、という極めて厄介な特徴があります。特に皆さんのように若い人は、感染しても顕著な症状が出ない場合が多いとされています。潜在的に「感染する」「感染させる」リスクを減らすためにも、大変残念ですが、集まって、接触、交流することは極力避けなければならない状況に至っているのです。

     緊急事態宣言を受けて、大学は、当面の間、学生のキャンパスへの立ち入りを禁止するとともに、教職員と学生との接触を禁止しました。現時点では、場を共有して話すといったことは、大学のキャンパス内外を問わず禁止されています。これを補う形で、大学は、あるいは電話での問い合わせに応じ、またあるいは、ネット環境を活用して、皆さんへ情報の提供をおこない、また、皆さんの声を聞くことができるよう努めていきます。

     なかなか慣れるのが難しい面もあるかとは思いますが、大学の学修情報のやり取りに用いられる TKU-portal manaba のシステムの操作方法を自習し、できるだけ頻繁に(目安は毎日1回以上)情報をチェックしてください。このブログも、同じようにチェックしてもらえると助かります。

     また、皆さんの中にも、既に Skype Zoom といったオンラインで顔の見えるコミュニケーションがとれるアプリケーションを使ったことがある方も少なくないと思います。今後、授業や日常的な学習指導の中で、こうしたオンラインでのやりとりをするアプリケーションを使う局面も増えていくことが見込まれます。もし、まだ使ったことがないようでしたら、どんな機能があるのか調べるだけでも良いので、情報を検索しておいてください。もちろん、まだ使っていない皆さんが、これらのツールを使えるようになれば、大変ありがたいと思います。

     また、何かわからないことがあれば、躊躇しないで大学の担当部局に電話で問い合わせてください。特に、科目の選択、履修相談など、学修に関する事柄は学務課へ、学生生活上の問題、特に、一人暮らしなどの場合であれば、大学に関係がないようにも見える私的と思われる問題も含め、学生課へ、それぞれ電話で相談してください。各部局の電話番号は大学のサイトで公開されています。
         https://www.tku.ac.jp/contact/

     最後に、改めて、コミュニケーション学部の皆さんに、学部長としてお願いしておきます。緊急事態宣言の趣旨を踏まえ、不要不急の外出は控えてください。大学が上で述べたような、学生のキャンパスへの入構禁止や、教職員との接触禁止を決定したのは、文字通り苦渋の決断です。それを補うために、いま大学は様々な努力を重ねています。

     可能な範囲で、授業関連の情報をネット上で収集し、上記のアプリケーションの操作法を自習しておくといった自主的な取り組みが、皆さんに期待されています。授業がオンラインで始まるまでの期間にも「学び」の姿勢を忘れないでください。

     2020年4月8日 
    コミュニケーション学部長 山田晴通

    コミュニケーション学部生のみなさんへ(4月8日)

    新型コロナウィルス感染拡大、また緊急事態宣言の発出にともない、講義開始、大学行事また施設の利用等に大きな影響が起こっています。コミュニケーション学部はみなさんの健康・安全を第一に、しかしコミュニケーションの学びを志したみなさんの期待に添えるように努めていきます。

    大学が発信する最新の情報について、よく確認するようにしてください。


    以上を定期的によく確認してください。ブックマークもおすすめです。

    学部からの情報、またみなさんに知っていただきたいニュースや記事は、このブログでも発信しますので、なるべく見ていただけたらと思います。やはりブックマークを推奨します。

    教員および事務からの連絡が、大学から与えられている「学籍番号@tku.ac.jp」あての電子メール「TKUメール」で届くこともありますので、あわせてチェックしてください。これはみなさんも使うことの多いGmailのシステムを使っています。スマートフォンのGmaiアプリでID(「@tku.ac.jp」まで)とパスワードを設定すれば簡単に使うことができます。

    なお、情報は以下のコミュニケーション学部専任教員のTwitterアカウントでも流れることがありますので、フォローすると気づきやすいと思います。
    北村智 @satkit 小山健太 @koyamaknt 佐々木裕一 @sameokun 
    柴内 康文 @yasu_shibanai 光岡寿郎 @tsrmtok 山下玲子 @yukitsunamama


    【全学年向けの連絡】
    • 開講日は 4月22日(水) ですが、当面の間オンライン授業の形で行います。
      • TKUポータルの「新型コロナウイルス感染症感染拡大防止対策」という4月8日付配信のお知らせを確認してください
    • オンライン授業を受講するための環境を整えてください。ポイントは以下の3点です(より詳細は、TKUポータルの「2020 年度第1学期のオンライン授業の受講準備」という4月8日付配信のお知らせを確認してください)
      • 受講に必要な機器をそろえる
        • PC やタブレット、スマートフォン等、インターネットを使用できる端末を用意してください。語学や演習等を中心に、リアルタイム配信による双方向の授業が行われることがあり、その場合は、カメラやマイクが必要となります。多くのノートパソコンやタブレット、スマートフォンはカメラやマイクを内蔵しています。イヤホンもあった方が聞き取りやすいと思います。
      • インターネット環境を整える
        • オンライン授業にはデータ通信量がかなり必要になる可能性があります
        • 光回線などの常時接続ができる定額制のインターネット環境(+Wi-Fi)を推奨します
      • manabaの使い方に慣れる
        • それぞれの授業の情報はmanabaから発信されます 
        • 履修登録期間であっても、履修が確定している授業(履修必修授業および演習・卒業研究など)はmanabaからコースの情報が確認できます。すでにmanabaを通じて情報発信が行われている可能性があります
        • manaba学生マニュアルを参照して、manabaが使えるように準備してください
    • 科目登録してください
    • 緊急事態宣言の発出に伴い、大学は4月9日(木)以降当面の間、以下の特別な体制となります。したがって大学ウェブサイトTKUポータル等の情報がこれまで以上に重要となりますので、よろしくお願いします。
      • 国分寺・武蔵村山キャンパスの教職員を除く入構制限
      • 学生の施設利用禁止(図書館、PC自習室等を含みます)
      • 大学の全ての窓口業務を中止
    • TKUメールに届いたメールをすぐに確認できるような準備をしてください

    【重要な連絡:1年生】
    • manabaでの科目「アカデミック・コンパス」のアンケートに答えてください


    【重要な連絡:2年生〜】
    • 特に、履修している演習・卒業研究の担当教員からの連絡には反応してください
    • 個別の教員からの連絡は指定されているものか、manaba、TKUメールが中心です

    このページの情報は、URLアドレス https://comtku.blogspot.com/2020/04/47.html とともに、周囲にいるコミュニケーション学部の友人・知人にも教えてあげてください。この困難を乗りきるため、協力していただけると助かります。

    2020/04/01

    学部長メッセージ:2020年度の開始にあたって

     この4月から柴内康文さんの後を引き継いで、新しく学部長を務めることになりました、山田晴通です。在学生の皆さんのほとんどは、私の授業を受けたことがあると思いますが、新1年生の皆さんは、2分の1強の確率で私の授業を履修必修で受けることになるはずです。これまでに授業でご縁のあった皆さんも、これからご縁のある新1年生の皆さんも、そうではない皆さんも、どうぞよろしくお願いいたします。

     新学部長として、新学年度の開始にあたってのメッセージを、皆さんに送ります。ちょっと長めになりますが、最後まで読んでもらえるとありがたいと思います。4月1日付で公開しますが、もちろんジョークではありませんよ。



     コミュニケーション学部は、今年2020年で開設から25年、四半世紀の歴史を重ねたことになります。この春は、新型コロナ・ウィルスの問題で、学校の一斉休校があったり、様々な行事が影響を受けて中止・延期されたりと、私たちの社会が感染症という危機にさらされ「国難」と呼ばれるような状況が生じています。残念ながらこの春は、卒業式、入学式をはじめ、様々な行事が中止されたり、変則的な形態での実施を余儀なくされています。学生の皆さんにとっても、例えば2011年の東日本大震災のときに匹敵するような非常事態、平穏な日常生活が何かに脅かされ、萎縮することを強いられる窮屈な状況が、生々しく感じられているのではないかと思います。

     実は、コミュニケーション学部が開設された1995年の春も、やはり重苦しい雰囲気が日本の社会を覆っていました。この年、1月17日に兵庫県南部地震が発生し、5千人以上の犠牲者を出した阪神・淡路大震災が引き起こされました。そして3月20日には、地下鉄サリン事件が起き、世間の注目が当時のオウム真理教に集まって、メディアは連日その動静を取り上げ続けました。5月16日には教祖・麻原彰晃の逮捕に至り、その後も長くこの事件に関する報道は続き、また、このような集団を生み出した社会の在り方を巡って重々しい議論が様々な形で交わされました。当時は、その少し前から「1999年に世界が破滅する」という「ノストラダムスの予言」という形に象徴される世紀末思想、ある種の末法思想も広まっており、「(第二次)オカルト・ブーム」とも称される時代の雰囲気もありました。最初のうちはあくまでも冗談として、半信半疑で楽しむという余裕があったはずが、1995年春には、シャレにならない形で「終末」が現実の中に噴出してきたという感覚が広まったのです。

     そんな時代の中で、コミュニケーション学部は開設されました。人と人を結ぶコミュニケーションが、社会の結びつき、紐帯を生み出す原点です。コミュニケーションは、社会を作り、文明を生み、文化を育んで豊かな生活を送るべく努力する人間の営みの出発点にあるのです。その本質は、身の回りの身近な人々との接触におけるコミュニケーションから、メディアを通した社会の広がりにおける大規模な情報交流までを、連続性のあるひとつながりの過程なのです。コミュニケーションを学ぶ目的は、あらゆる規模や形態におけるコミュニケーションの本質を理解し、適切に情報交流をおこなうことで、様々な社会のつながりをより円滑に機能させられる能力を身につけるところにあります。

     1995年は、一方では、「インターネット」という言葉が日本語で一般化し始めた最初の一歩の年でもありました。この言葉自体はそれ以前にもあったのですが、新聞や雑誌など一般的なメディアに「インターネット」という言葉が多数登場するようになったのは、1995年からでした。当時は、すでに携帯電話は存在していましたが、今とは機能も、料金なども全く別物で、学生は到底持てないものでした。それが、10年ほどで、学生がみんな携帯電話を持っている状況となり、さらに電話でなくもっぱら通信機器、情報処理端末としてのケータイが活用されるようになってきたわけです。

     いくら技術が変化しても、人間の心は変わらない、というのは一面では真実ですが、ケータイがある現代と、例えば皆さんのご両親や、さらに上の世代の先輩たちが、いまの皆さんのような若者だった時代に、どうやって友人や恋人と連絡を取り合っていたのか考えてみてください。技術が変化すれば、人と人の接し方は変わっていきます。接し方が変われば、人間の心も変わるかもしれませんね。

     コミュニケーション学部は、デジタル化の爆発的な展開という技術的変化の荒波の中で、メディア・リテラシー教育を通して情報の本質を見極め、コミュニケーションについて自らの力で考えられる卒業生たちを、社会に送り出してきました。学部開設から四半世紀を経て、教育の具体的な内容は技術の変化や社会の変化を反映して常に更新を重ね、変化してきましたが、コミュニケーションを原点に、社会の絆のあり方の本質から考え、より深く社会を理解し、その先で自ら実践するという方向性は、コミュニケーション学部における学びを貫いています。

     私たち教職員は、学生の皆さんの学びの努力、前進への意欲、「進一層」の精神を、全力でサポートします。窮屈な「空気」が広がろうとするときこそ、身近なところから本質を捉え直し、しっかりと視線を上げて、前に進んでいきましょう。

    2020年4月1日
    コミュニケーション学部 学部長 山田晴通

    2020/03/31

    コミュニケーション学部 2020年度新入生および在学生のみなさんへ(3月31日)

    コミュニケーション学部所属学生の2020年度の予定について、大学からの情報をあらためてまとめました。最新の情報については大学ホームページTKUポータルなどによる連絡をよく確認してください。各ゼミに所属している場合、担当教員からの連絡・指示がある場合もあります。

    ※3月31日(火)午前9時 時点の情報です。

    【共通】
    • 1期の開講予定は 4月22日(水) です。
    • 健康診断は全学年について7月に延期予定です。

    【新入生】
    • 新入生サイトにまとまっている情報、また出願時登録の電子メールによる連絡を確認してください。
    • 4月1日(水)のオリエンテーションは中止されました。学生証等の交付情報は別途お知らせになります。
    • 4月7日(火)までのオリエンテーション等もすべて中止となっています。
    • 3月31日(火)の英語プレイスメントテストの学内PC受験は中止されています。

    【在学生】
    • TKUポータル(およびmanaba) を確認してください。
    • 4月2日(木)、3日(金)の学習相談は中止されています。個別の呼び出しについてはお知らせを確認してください。
    • 第2回演習選考結果は4月2日(木)にポータルで発表されます。
    • 履修登録期間が始まっています。一次登録は4月14日(火)まで行われます。発表は17日(金)です。

    2020/03/23

    2019年度卒業生へ 教務主任祝辞:変化し続ける日常を生き抜く力を


    本日(2020年3月23日)13時より、LIVE配信のかたちで変則実施されることになった2019年度「卒業式」。https://www.tku.ac.jp/2020graduate.html

    光岡寿郎コミュニケーション学部教務主任の祝辞をお届けします。

    みなさんのトケコムでの「学び」の骨格を、この二年間、先頭に立ってサポートされてきた光岡先生。カリキュラム変更や海外派遣プログラム充実化に取り組んできた思いについても触れられています。

     「国境を越えた移動」の時代を生きる、トケコムのあなたへ。


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     2019年度卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、本来であれば23日に直接お祝いの言葉を伝えられなかったこと、少し寂しく思います。

     皆さんへの餞の言葉は、学部長からのメッセージに凝縮されていますが、繰り返しになるのは承知で僕も一言添えておきます。これまでの報道から皆さんもご存知の通り、今回卒業式にも影響を与えたコロナ禍は、私たちが生きる社会の骨格を鮮やかに浮かびあがらせました。つまり、東京で、日本で何気なく過ごす日常が、モノ、ヒト、そしてコトの国境を越えた移動に支えられているということです。

     今回は、グローバルな移動の影響はウイルスの蔓延という「コト」として顕在化しましたが、このような事例は今後日常的な変化として陳腐化していくはずです。例えば、この数年「異常気象」が叫ばれ続けていますが、こちらもグローバル化に伴う温暖化の影響が頻度を高めながら日常へと着床しつつあるわけで、今後も変化は数年、数十年に一度起きるものではなく、日常的に起きる社会へと皆さんは飛び出そうとしています。

     一方で前任の佐々木先生、そして僕が教務主任を務めている間、コミュニケーション学部ではこのような「変化」に対応するカリキュラムの変更、海外派遣プログラムの充実に取り組んできました。その意味では、皆さんはすでに、このグローバルな移動を支えるコミュニケ―ション、そしてその産業化の知識を得ていると同時に、そんな同じ技術環境を生きる世界の人々と、短期間ではあれ肌感覚で付き合ったうえで卒業するのです。 

     従って、皆さんは来るべき「変化し続けることが日常となっていく社会」を生き抜く力の下地を整えています。今後も、その力を堅実に、かつしたたかに育んで下さい。今後のご活躍を確信して、卒業の言葉とします。

    2020年3月23日

    コミュニケーション学部教務主任 光岡寿郎
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    ※卒業生の皆さんへ:進路報告(3月27日〆切:https://www.tku.ac.jp/graduate_info2.html)、卒業時アンケート(3月31日〆切:https://www.tku.ac.jp/graduate_info3.html)への回答も忘れずに宜しくお願いします!

    2019年度卒業生へ 学部長祝辞:学びを、さらに前に進む力に

    本日(2020年3月23日)13時より、LIVE配信のかたちで変則実施されることになった2019年度「卒業式」。 https://www.tku.ac.jp/2020graduate.html

     従来手渡しで授与していた学位記も、今年は全学部、郵送で卒業生のもとへお届けすることになりました。 https://www.tku.ac.jp/graduate_info1.html

    ん?上の案内をよく読むと、次のような文言が。

          「※コミュニケーション学部のみ他に追加文書が1枚あります。」

     追加文書って何?
    それはもも色の紙、一枚。
    桜前線のごとく、じわじわとトケコム卒業生のもとに届いていることでしょう。

    柴内康文コミュニケーション学部長より改めて、卒業生への祝辞をご寄稿いただきました。
    紙一枚の舞台裏についても触れられています。
    スピーチに代わる餞のことばを、ここにお届けします。




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    みなさん、卒業おめでとうございます。私も卒業式特設サイトなど何度か(今年は、述べて、ではなく)書いていますが、うれしいことは何度打ち込んでもよいものです。

    ただ、そういう場ではあまり書かなかったことにも少し触れたいと思います。卒業式、また学部の学位記授与を行うことができなかったことについてです。それについて触れると、どうしても「残念」や「申し訳ない」などの言葉がついてきてしまいます。しかし今回の出来事もこんな言葉も、みなさんが成し遂げた成果や、この晴れがましい門出に本質的には関係のないことでしょう。そのような表現を、みなさんに向けられたメッセージに載せる気にどうにもなれなかったのです。

    振り返ると、みなさんの多くは中学1〜2年生のころに、2011年3月11日を経験しています。年度末・年度初の締めくくりそしてスタートである時期に、再びこのような社会的動揺に遭遇したみなさんのことを思います。前回のときも、これから世の中はどうなるのだろうか、自分たちの未来は、などといろいろと不安に感じたかもしれません。しかし、それをたくましく乗り越えてみなさんはいまここにいます。そして今回は、みなさんがこれまで、そして大学の勉学を通じて身につけた能力があるはずです。いま社会で起こっていること、例えば買いだめの行列はなぜ起こるのか、活動を続けるのか中止するのか議論するときに起こる集団心理現象、効果的なリスクコミュニケーションのあり方、このような事態でのマスメディアやソーシャルメディアの役割、あらためて浮かび上がる文化や芸術の意味、世界規模で起こっている人々の移動およびその喪失がもたらすもの…。

    みなさんには、このような事象を冷静に見つめ、自分が、社会がどうすればよいのかを考える能力がいまでは備わっているのではないでしょうか。少なくとも私は、みなさんにその能力があることの証明として、手元に届けられた学位記に自分の名前を記したのだと思っています。ちなみに「コミュニケーション」という単語には、(人々のつながりによって起こる)「伝染」という意味もあるのです。コミュニケーションの特性をよく知るみなさんには、このことも何よりも腑に落ちることでしょう。

    今回のことも、みなさんがさらにたくましく成長するための学びと実践の場にもしてもらえたらと思います。一人一人の人生には、これからもさまざまなことが起こります。なぜ自分にこのタイミングにこんなことが、ということが、何度も、です。しかしみなさんの経験が、ほかのどの世代にもまして、困難を乗り越える力を与えてくれていると信じます

    最後に余談を。学位記をお送りした封筒には、ピンクの紙が一枚入っているはずです。コミュニケーション学部の学位記授与の会場では、優秀卒業制作・卒業論文賞、および最優秀賞の表彰を行っています。今回、それができなくなってしまったので、発表と表彰の場を設けなければ、と思いました。学部長と教務主任で相談し、学位記を送付することになるのでそこに紙を一枚挟み込ませてもらって発表の場とすることにしました(受賞のみなさん、あらためておめでとうございます)。そしてそれを挟み込むなら、きっと紙面のスペースが余ります。先生方に急いで声をかけ、寄せてもらえたメッセージもそこには掲載できるかな、と考えたのでした。学位記授与の会場では例年、立ち会った教員がマイクを回して一言ずつ(まあ、たいていはそれ以上)スピーチする慣習も学部にはあるのです。しかし大学はいつにもまして閑散としています。そこでオンライン上に先生方の名前を入れたスプレッドシートを作って共有モードにし、学位記の発送準備まで日がありませんが間に合う方は書き込んでください、とメールでお願いしました。いわば話題のリモートワーク・テレワークのミニ版でしょうか、ほかの人のものもきっと眺めながらのバラエティに富んだメッセージ入力はスムーズに進み(スピーチだって、前にしゃべった人の内容で話を変えるものです)、発送前のわずかな時間で学部からお送りする手紙が仕上がりました。メールに添付された素っ気ない白黒のPDFを見て、桜の季節ですからと色つきの用紙を選んで印刷し、また封入作業をしてくださったのは事務室の方々です。なお共有ファイルの更新履歴からは、一度書いても何度か推敲された先生も多いようですよ。みなさんを思い、その門出を祝っている人々のことも心に留め、落ち着いたときにはキャンパスにも顔を出してもらえたら、と願っています。

    どうか胸を張り、力強くまたしなやかに前に進んでください。本学のモットーは「進一層」(Forward Forever)です。いまこそそれが問われる時代です。本日、みなさんを社会に送り出せることを誇りに思います。

    2020年3月23日

    コミュニケーション学部長 柴内康文
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