2020/05/21

トケコム就職状況 その2...「質」の話

前回はトケコムの就職「率」について書き、最後に就職「質」ということは考えられないのでしょうか? という問題提起をしました。約束通り書きましょう。

「質」であっても人は数字で測りたがります。だから「優良企業400社への就職率」(大きくて古い会社が400社には多い)というように率で質を測ろうとする試みもあります。これについては東経大は10%に届きません。

ガッカリしました? いえ、大丈夫です。この数字が25%を超える大学は数えるほどしかありませんし、そういう大学でもこの10年で率は下がってきています。なにしろ会社の数は多く、しかも増えているからです。さらに成長性のある、あるいは社会的に意義を持つ新しい小さな会社に優秀な学生が就職するようになっているからです。優秀な学生は時代の変化を感じているのでしょう。



私が学生によく話す「質」にかかわる要素は以下のようなもの。もちろん、絶対というわけではないですよ。

マクロ的な要素
・業界として成長する可能性が高いか
企業やビジネスから「金儲け」を想像する人は多いですが、企業が存在しているのは彼らが提供する価値が社会的に認められているからです。だとすれば成長する業界というのはこの先、提供価値がさらに社会的に認められていくということになります。さらに、仮に自分の入った会社がつぶれても転職できる会社が多くあることにもなります。

ミクロ的な要素
・その会社に技術的、あるいは他の強みがあるか
・経営者がしっかりしているか
・自分の得意なことが活かせるか
メーカーであれば独自技術は大事です。利益率が高くなり、給与も概して高くなり、落ち着いて仕事ができます。経営が火の車という会社では、あわてて転職して失敗することもあります。また「得意」と「好き」は違います。好きなことでも苦手なことを仕事にするのは一考を要します。でもこのミクロ的な要素は実際に入社してみないとわからないことも多いです。

自分と会社の相性/働く意味
・会社のミッション(使命)に共感できるか
これは小さな会社、若い会社であればことさら重要です。多少ツライことがあっても自分と会社のやっていることに誇りが持てれば人は頑張れます。

こういうことを学生時代から考えて準備する人が増えていけば、トケコムの就職「質」は今以上に高まっていくでしょう。

と、書いてきましたが、学生には実感がもてないでしょうから、具体例を。

我がゼミを2年前に卒業して3年目に入った竹野谷淳さんからの寄稿です。彼が入社したのは株式会社ウェイブ。マンガコンテンツをデジタルで作っている会社です。
http://wwwave.jp

彼から「ここに行こうと思っている」と言われたときに、話して、少しだけ調べたのですが、私は次のようなことを言いました。「マンガのデジタル版はアジア市場を中心に伸びる可能性が高い」「創業から8年たっていて取引先もちゃんとしているし、経営者が良さそうだ」「マンガやアニメが好きで、書くことが得意なあなたには合っているのではないか」。そしてこれは質の高い就職だと思ったことを覚えています。当時は50人に満たない会社だったのですが、彼が会社のミッションに共感していたこともわかります。

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 新型コロナウィルスの影響が広まる今日この頃、私は社会人3年目に突入して初めての在宅勤務を経験してます。そんな中、私は新卒から勤め続けている株式会社ウェイブで編集者をしています。
 
 なぜ多くの企業からウェイブを選んだのかと言うと、企業理念「社員が定年まで成長し続ける会社」に象徴されるように、何よりも社員の成長を促進する環境作りを大事にしているからです。社員の成長は、ウェイブを2年ほどで社員数50人弱から100人を越える企業へ成長させた一因だと思います。就職先の将来性を考える際、その会社が社員の成長をどのように考えているかは、企業選びにおいて大事な要因の1つになります。
 
 では、ウェイブに就職するまでに何をしていたのかと言うと、まずはひたすら説明会や座談会に足を運びました。事前に得られる情報は限られているので、現場で働いている人の声を聞くために大手を含め幾つもの企業を回りました。この期間までに~をする!と目標を立て、達成するためにスケジュールを調整し就職する業界の比較材料を集めます。
 
 とはいえ、当時は売り手市場。そこまでしなくとも、『とりあえずの就職』は何とかなりました。目標無く惰性で就職先を決めたり、他社との比較無しに決めたりする学生も多く見ました。ただ、私個人としては本当にそれでいいのか、と思うところがありました。

 就職をするにあたって、「就職先で自分が得られるものはあるか」「得たスキルは、キャリアアップに生かせるか」「そもそも働き続ける上で、会社の方針が自分にあっているのか」など、先々を見越していく必要があると、私は強く思います。
 
 今は新型コロナウィルスの影響で就活自体も本当に大変な時期ではありますが、だからこそより就職した後のことを見据え、数年後自分は何をしているか?を問いながら、選んでもらえればと思います。

 卒業生として、皆様のご活躍を心より応援しています。
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世の中は複雑になり、変化も速い。だからこそ『業界地図』をペラペラめくりながら「こんな仕事や業界があるのかぁ」という準備はとても良いと思います。授業にだって『職業選択とキャリア形成』『企業・業界分析』『雇用の変化とキャリア形成』などがキャリア科目(進一層科目)として準備されています。

それとここまで一言も書いていないですけど「考える訓練」もとてつもなく大事です。会社は言われたことができるだけの人よりも、新しいアイディアを出せる人の方が欲しいのですから。そこが抜けてもダメ。トケコムの場合、そこはほとんどの学生が所属するゼミで鍛えることができ、それをやった人は結果的に良質な就職をすることが多いです。

まとめると就職「質」というのは学生個々で持つ基準によって違う。だから測るのは難しい。けれども準備によって、また大人と話すことで上げることはできます。考えながら少しずつ準備を始める学生が増えれば、トケコム全体の就職「質」はまだまだ上がるでしょう。これが私の考えですし、希望です。

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