ラベル 佐々木 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 佐々木 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2019/10/15

世界が見た旅先としての日本、そしてトケコム台湾研修

台風一過の東京。
Hagibis(台風19号)の襲来は秋の行楽シーズンとも重なり
多くの観光客が関連情報を求める姿も印象的でした。

今回は佐々木裕一教授より「世界(から/を)見る」をテーマに寄稿していただきました。
トケコム学生向け台湾研修情報も必見です!
*********************************************************************************************************
10月にアメリカの有名旅行雑誌が選ぶ世界の大都市ランキングが発表されました。米国以外の都市が対象ですが、その1位は4年連続で選ばれた東京でした。東京都の観光部はその結果を誇らしげにウェブに掲げています。都市間の世界規模の競争は激しいので、彼らがそうするのもうなずけます。
TOP 10 LARGE CITIES in the WORLD



東京の他に京都(2位)と大阪(5位)もランクイン。旅行と移動が趣味の1つである私はベスト10のうち8つを訪れたことがありますが、パリやロンドン、あるいはローマあたりは入っても良さそうなのにという感想を持ちます。

こちらのウェブページには写真つきで簡単な英語解説がありますが(小都市ランキング、大都市ランキングの順になっているのでご注意を)、日本の3都市はいずれも食における素晴らしさが書かれています。曰く「たこ焼きやお好み焼き」「日本酒の登場場面」「地球上のどの場所よりもミシュランガイドブックの★の数が多い」。

ミシュランには「安ウマ」カテゴリーもありますが高めの店が中心です。ただ東京の食はそればかりではないのはみなさんも知るところ。先日、恵比寿でラーメンを食べているとカウンターの隣は英語をしゃべる若い白人カップルで、入念に事前リサーチしたと思われる結果をまとめたエクセル表を紙で持ち、しかもカテゴリ別にカラー印刷されていた! そのカテゴリはJapanese TradやBarの他、 Izakaya、Ramen&Sobaもありました(話しかけようかと思ったのですが、あまりに二人が盛り上がっていたので断念)。

ちなみに外国人向けの日本観光情報サイトとしては、こちらが知られた存在です。日本語コンテンツもあるので、外国人に推奨される日本旅行を日本人が楽しむという使い方も可能です。
Matcha
https://matcha-jp.com/

話をベスト10に戻すと、アジアではシンガポールと台北がランクイン。台北は日本人にとって訪れやすい都市で私もこれまで2度訪問しています。近いし、親日だし、食で世界から賞賛される日本人からしてもご飯が美味しい。

実は、その台湾にある大学とトケコムは協定校の関係を持っています。相手は静宜大学(英語名はProveidence University)。台北ではなく台中にあり、台北からは新幹線で1時間。

このマス・コミュニケーション学科と日本語学科のある静宜大学との交流、今年は "Explore Taichung" と銘打ち、日本語も少し話す現地学生とともに台中の観光スポットや市民生活などを撮影し、同大学の施設を借りて編集。その動画を見ながら現地学生とあれこれしゃべるという企画も盛り込まれています。他に簡単な中国語と英語講座もあり。

英語ネイティブの国に行くのには腰が引けてしまうが、異文化理解、異文化交流には関心があるという1年生、2年生を想定した内容です。若い時期の海外渡航は、本当に色々なことが見えてきて、今後の人生のスタートポイントになったというケースもトケコム学生には多いのでちょっと考えてみてください。
(佐々木裕一)
*********************************************************************************************************
2020年2月(9日間)開催予定 
 トケコム台湾研修 "Explore Taichung, 2020"説明会

●10月16日(水)12時20-50分 6号館 F414教室
       (※中村(忠)ゼミの釜山研修報告会が5号館 E305にて開催中)

●10月24日(木)12時20-50分 6号館 F408教室 

トケコム生は学年を問わず参加することができます。
興味がある方は、ぜひ説明会にお越しください。

昨年度の研修の様子。
台湾の学生を始め、世界各地から集った静宜大学生と街歩き。

東経大の数倍広いという静宜大学のキャンパス。
ドラマ「お花畑から来た少年」のロケ地としても有名。

週末には古い街並みの残る名所・鹿港(ルーカン)の
ランタン祭りを観光。「最高に面白かった!」と参加者。

外食文化の台湾では、朝から晩まで
屋台や食堂で、安くて美味しい食事にありつける。
現地学生の案内による食べ歩きは忘れられない思い出とか。
********************************************************************************************************


2019/04/10

佐々木教授 テレコム社会科学賞贈呈式@帝国ホテル

佐々木裕一です。前回はテレコム社会科学賞受賞の報として取り上げてもらいましたが、「もう1回、贈呈式と記念講演で書け」と言われました。トケコム学生へのメッセージもありで、調子にのって書くことにしました。
 
贈呈式は東経大創設者である大倉喜八郎が作った帝国ホテルで3月20日に行われました。そこではじめて私も審査経緯を聞かされたのですが、このページにあるように、『ソーシャルメディア四半世紀』を書くにあたり私が意図していたことがいずれも高く評価されていて、大変嬉しい気持ちになりました。


その1つが大量のインタビューのコメント引用が「臨場感豊か」と良い意味で評価されたことです。これは読み物として飽きさせない工夫でしたが、学術的成果っぽくなく見えるという点を孕んでいました。本の表紙もド派手なピンクだったわけで。

けれどもそれは杞憂で、審査委員長からは「読み物としてもすごい引き込まれるんだけど、研究フレームと論理構成もしっかりしていて非常に優れていた」と褒めていただきました。

もう一点「インターネット空間の先を見通し、あえて立法や行政主導の規制の必要性にも触れているという点は類書にはない指摘」という評価があり、こちらは実は私には意外でした。

法学者の審査員の先生と話すと「役所の政策検討委員会では、市場に任せてイノベーション重視という考え方が圧倒的に強い。昨今は社会的リスクも踏まえ規制議論も高まっているが、その指摘を説得的に日本の書籍として盛り込んだものは少ない」とのことでした。

記念講演のようす

さて、トケコム学生へのメッセージ。

拙著の「あとがき」ではトケコムの教員5名が登場します。北山聡さん、柴内康文さん、北村智さん、光岡寿郎さん、そして昨年度末に退職された西垣通さんです。この他の先生も含めて、トケコムのメディアコミュニケーション研究は非常に高いレベルにあります。まずそこはよく知った方が良いですよ。

さらに言うと、変化するメディア環境とコミュニケーションに敏感で、それが行動で示されているのがトケコム。授業科目も積極的に変えて現代的な教員を採用していますし、ゼミもどの学部より重視されています。卒業研究も当たり前に必修です。

そういう文化に惹かれて集ってきた優れた研究者と日常的に話をしていたことが、私の今回の受賞にもつながったわけで、だから、学生もそういった教員との「おしゃべり」を大事にするべき。

「おしゃべり」としたのは、目的ありきの「議論」ではないということ。実はそういう一見他愛のないやりとりに学生にとっての研究のタネが転がっているし、そういうタネを引き出せることがハイレベルのトケコム教員の条件になっています。知らなかったでしょ、そんなこと。

ということで、学生のみなさん、とにもかくにもまずは教員との「おしゃべり」を。

私の電気通信普及財団賞に関するブログポストもさすがにこれで終わりです。2度もありがとうございました。新学期からまた張り切ってやるつもりです。

【追伸】光岡先生も学部教育について良いこと書いているのでこちらも読むと良いでしょう。
「コミュニケーション学」の海へ漕ぎだすために
https://comtku.blogspot.com/2019/03/blog-post.html

2019/03/19

佐々木教授がテレコム社会科学賞を受賞

 このたびコミュニケーション学部の佐々木裕一教授が電気通信普及財団のテレコム社会科学賞を受賞しました。おめでたいことです。今回は、この賞の概要と受賞のことばを寄稿してもらいました。

------------------
 『ソーシャルメディア四半世紀 情報資本主義に飲み込まれる時間とコンテンツ』(日本経済新聞出版社, 2018年)で第34回テレコム社会科学賞を受賞しました佐々木裕一です。

 この賞は電気通信普及財団という公益財団の設けた賞になります。社会科学部門とシステム技術部門があり、私が受賞したのは前者。テレコミュニケーションに関する研究で、経済学、経営学、社会学、政策学、法学のすべての中から選ばれるものですし、該当作品なしの年もあるので、絶対的水準で評価されるかつ伝統もあるなかなか重みのある賞です。

 ちなみに2年前に『ツイッターの心理学 情報環境と利用者行動』で同僚の北村智准教授と奨励賞をもらっていたのですが、その研究奨励を受けて、今回、最も良い賞に至ったという経緯があります。近々、帝国ホテルでの贈呈式と記念講演に臨みます。

 『ソーシャルメディア四半世紀』は、実務も踏まえた私の20年以上の多面的研究成果ですので、嬉しさもひとしお。実は、昨年6月の出版以来、ネット利用者からは「子どものスマホでのSNS利用に本気で目を配るようになった」、ネット実務家からは「この歴史を知っているのと知らないのとではとんでもない差」とか「気づきが多すぎるので線を引きながら2度読んだ」とか「編集機能のないメディアについて非常に考えさせられた」など、複数の観点からとても褒めてもらっていました。



 それに加えて今回、世のためになる優れた知見として学術界も唸らせることができ、してやったりという種類の嬉しさもあります。社会科学的な実務界と学術界の2つは読む本が違って分断されているため、両者のいずれにも読ませる作品に仕上げようというのは自分に課した課題の1つでもありましたので。日本でもエンジニアは工学の論文を読みますが、文系ビジネスマンは社会科学の学術的成果をあまり読まずに、いい加減な「成功事例」的な本を読んでいることが多いんですよね。

 さて、本書の内容に少しだけ触れると、情報技術によって作られる物理的環境が私たちのコミュニケーションのあり方や内容に少なからぬ影響をもたらすという仮説がこの研究の出発点でした。この物理的環境は「アーキテクチャ」と呼ばれますが、これを相手にする際、各ウェブサービスの持つ収益モデルも詳細に分析していく必要があるという着眼がこの本の特色になります。時代とともに変化していったアーキテクチャ/利用者/収益モデルの関係をインタビューデータをふんだんに引用し、マクロデータも参照しながら描き出しました。

 歴史を詳述した帰結は、「人間同士の、そして人間とコンピュータのコミュニケーションを今より低速化させ、ひとりひとりが内省の機会と深さを得られるような情報ネットワーク社会を設計すべき」というもの。つまり現状のアーキテクチャで展開されるコミュニケーションはかなりまずいという主張です。その「まずさ」に対処するためのいくつかのアイディアも本では素描しています。

『ソーシャルメディア四半世紀』(日本経済新聞出版社のページ)

 拙著の内容は、2019年度の「ソーシャルメディア論」で余すことなく話す予定ですので、関心のある学生はどうぞ履修して下さい。

 最後になりましたが、取材に応じて頂いたネットサービス経営者の方々、その他本書を世に出すにあたりご協力いただいた方々、そして日々よい刺激をもらっている学部の同僚にもこの場を借りまして御礼申し上げます。

2018/04/15

【私のブックマーク】デジタルメディア/本/イベント

「ソーシャルメディア論」「ウェブ・マーケティング論」などを担当している佐々木裕一です。こんにちは。

今回からのトケコミ教員によるリレー連載、「私のブックマーク」のトップバッターに起用されました。この連載では学生のためになるだろうウェブサイト(アプリ)を紹介します。何回続くかはわかりませんが、あまりマニアックなところに行かない範囲で、紹介していきますのでおつき合いください。


さて、私のネット利用は多くの場合、アップルのMacBook Proでなされ、ウェブブラウザはグーグルのChromeが標準となっています。そのChromeのブックマークバーのスクリーンショットが下のとおり(詮索されても困るから画像は小さめに)。


今の時代、ブックマークというのは非常に利用頻度が高くてわざわざ検索サイト経由で行くのが面倒というものと、ブックマークしておいてたまに目に入るようにしておかないと見なくなってしまうというものに分かれるのではないでしょうか。

というわけで左の方が全般的に私の利用頻度が高いもので、一番左はグーグルカレンダー。一番右はYahoo!のアイコンですが、これは同社が一般開放をしているYahoo! Lodgeという永田町(紀尾井町)にある施設のイベントカレンダーです。ちなみにホームページはThe New York Timesで世界の動きを眺めるようにしています。


では本題。デジタルメディア/本/イベントというキーワードでウェブサイト3つ+1つを紹介します。


ウェブ電通報
https://dentsu-ho.com/

マーケティング、広告、メディア利用、デジタルテクノロジーなどを扱うサイトです。日々の事実報道は少なめで、調査結果や論考、キャンペーンプランナーの狙いなど、それに関わった人たちの分析や印象が述べられているのが特色。

背景情報も含めた文章が多いので、学生にも理解可能です。扱い範囲が広く、掘り下げるべきテーマに出会えるだろうという読みから、佐々木ゼミ(2年)では、毎週1人がこのサイトの中で興味をもった記事を、なぜその記事が面白かったのかを含めて学生に解説することにしています。


藤村厚夫 Media Disruption
https://mediadisruption.net/

電通報の上級版。デジタルメディアによる破壊/混乱(Disruption)を扱った記事のリンク集で、1週間に一度更新されます。藤村厚夫さんはスマートニュース株式会社で執行役員を務めており、トケコミ20周年記念シンポジウム(内容はこちら)でも登壇頂いた方ですが、目利き力が高いので(こういうのを本当のキュレーションというのだよ)私も非常に助かっています。

私もこういうサイトを作りたいと思っていて、近々友人の情報アーキテクトにツール選びから相談しようと思っています。


HONZ
http://honz.jp/

大学生になったのだし、あるいは新しい年度を迎えたのだし、「本でも読もうかな」と思っている学生も多いでしょう。そんなあなたには「読みたい本が、きっと見つかる!」がコンセプトのこのサイトがぴったりです。

代表者は成毛真さん。かつてマイクロソフト日本の社長でしたが、『面白い本』(2013年)なんて本も書いている、とてつもない本読みとしても知られる人です。小説と自己啓発本以外について厳選された書評が載っているので、それを参考に自分の世界を広げていくのはどうでしょうか。


(番外編)Peatix
https://peatix.com/

ブログを書いていて思い出したのですが、本とは別に人の話を聞くのも学生が自分の世界を広げていくには大事。冒頭で紹介したYahoo! Lodgeのイベントカレンダーを私が時々眺めるのも、専門バカにならずに周辺の話を聞きに行くためです。

Peatixはイベント主催者向けのチケット発券/管理のスマートフォン向けアプリとした始まりました。チケットを購入(ないしは無料で予約)するとスマホに電子チケットが現れて、それを会場で提示する機能が主でしたが、利用するイベント主催者が増えて、その情報を集めるメディアになり、一覧性のあるパソコン版も生まれました。「おすすめイベント」を見ていると面白いイベント、あるいは社会や流行を知ることができます。



以上ですが、専門がら忠告しておくと、LINEでよく会う友だちとメッセージをやりとしりているだけの学生と、さまざまな経験を重ねた学生の差は天と地ほどつきます。ということで、娯楽以外の情報も時には得て、そこから実際に動いて、すこしずつ関心の範囲を広げて行くことの大事さを特に新入生には強く忠告しておきたいです。ではハッピー・スクールライフを。



2017/04/24

北村先生と佐々木先生がテレコム社会科学賞を受賞


コミュニケーション学部の北村智准教授と佐々木裕一教授が、その著書『ツイッターの心理学 情報環境と利用者行動』で電気通信普及財団の第32回テレコム社会科学賞 奨励賞を受賞しました。

表彰される北村先生(帝国ホテルにて)

『ツイッターの心理学』は2016年7月に出版された学術書で、ツイッター利用者へのアンケート調査とツイッター社のデータベースから取得した客観データ(利用者のフォロー数や発言数など)を組み合わせて分析した点に特徴があります。


まずは北村先生から受賞のことばです。
受賞の対象となった『ツイッターの心理学 情報環境と利用者行動』は、2013年から開始した共同研究の成果をまとめた書籍です。研究助成を獲得できたタイミングで佐々木裕一さんがサバティカル先の米国から帰国されたので、研究室のドアを叩いて挨拶もそこそこに共同研究に誘ったように記憶しています。同僚とのコミュニケーションによって出来上がった書籍で学術賞を受けられたことを大変うれしく思っています。

これを引き継いで、佐々木先生は次のとおりコメントしました。
私も同僚との共著での受賞を大変喜んでいます。共同研究に誘われたのは、米国滞在時に私がしばしばブログでツイッターのことを書いていたのを北村智さんが読んでいたからでした。北村さんは利用者行動、私はマーケティングの観点から主にソーシャルメディアを研究していますが、終章の「ソーシャルメディア時代のオンライン世界の今後」はそんな二人の合作感が出ています。ウェブの今後にまつわる大事な問題を論じているので、この章だけでも図書館でぱらぱらとめくってもらえると、さらに嬉しいです。
2人で記念撮影(トケコミブログ編集長撮影)


北村先生と佐々木先生、おめでとうございました!

2017/03/10

「マレーシアでビジネスするって、どんな感じ?」  (トケコミ4ゼミ合同海外研修報告その1)

「感受性豊かな時期に海外へ!」をかけ声に、2月末に、松永/中村/光岡/佐々木の4ゼミが合同でマレーシアとシンガポールへ研修に行ってきました(8日間)。

前半は、クアラルンプールにある Asia Pacific University of Technology and Innovationで午前に英語研修を受け、午後は研究テーマにしたがって街中を視察。5日目は、トケコミへのマレーシアからの留学生実家がある同国南端のジョホールバルへ移動し、ご両親からの大歓待を中華料理店で受けました。その後、陸路でシンガポールに入り、半日だけ観光をして帰国。

現代的なAPU新キャンパス

と、濃密なプログラムでしたが、学生によるマレーシアの感想は次回に譲り、今回は3日目午後に行われたクアラルンプール在住、鵜子(うのこ)幸久さんの講演、題して「マレーシアでビジネスするって、どんな感じ?」を通じて、アジアにおけるグローバル化の実態とみなさんのキャリアプラン策定へのヒントを紹介しましょう。

鵜子さんの経営する桜リクルート社はマレーシアに進出する日本企業を主な顧客とする人材紹介会社です。日本企業の進出が非常に活発になった今では、人材紹介以前のマレーシア進出のコンサルテーション業務も行っています。紹介する人材はマレーシア人。14年前の創業時にどのようにしてマレーシア人の人材データベースを構築したのかというと、それを持っている現地企業と提携し、鵜子さんは日本企業への営業機能を務めることから始めたのでした。今ではマレーシア人データベースは自社でお持ちです。

熱心に講演に耳を傾ける学生

京都出身でそれまで海外経験のなかった鵜子さんですが、いつかは海外で暮らしたいという夢は持っていました。ではなぜマレーシアなのかが疑問になりますが、ビジネスを開始するにあたり東南アジア数カ国を回った結果、マレーシアで起業するのが最も合理的と判断したからとのことでした。すなわち、親日国であり、治安も良く、物価も安い。そして英語が通じるからです。マレーシアは住んでからますます好きになった、と。

人口の減少する日本だけを相手にしていては衰退必至であるため、実に1600社もの日本企業がマレーシアに進出しています。鵜子さんの顧客には、伊勢丹、ユニクロ、無印良品、ヤマト運輸、ダイソーといった有名企業から、無名の中小企業までが名を連ねています。特に小売業では、マレーシア人大学生をリクルートして、日本店舗で研修を受けさせ、現地の店長候補として仕事に当たらせるケースも出始めているとのことでした。

クアラルンプールのユニクロ

東南アジアの人は、欧米のブランドと同様にあるいはそれ以上に日本のブランドをカッコいいと思ってくれているので日本企業にはチャンスが十分あるのです。鵜子さん曰く「名古屋に転勤するのと同じノリで、再来週からクアラルンプールに行ってくれ、と言われる時代」。

ちなみにマレーシアでの就労ビザを日本人が取得できる条件は、(1)27歳以上(IT関連だけは23歳以上)、(2)大学・短大・専門学校卒以上、(3)専門分野での5年以上の経験です。この条件を満たせば、5000リンギット以上の月給を得ることができます。

5000リンギットというのは15万円相当ですが、物価水準を考えると、日本で45万円程度をもらう暮らしはできます。6000リンギットもらえれば、さらに余裕が出てきます。つまり基礎的な英語力があれば、という条件はつきますが、日本企業からの派遣に限らず、30歳少し前から10年ほどマレーシアで働くという選択肢も日本人にはあるのです。東南アジアでの実務経験を買ってくれる日本企業もこれからは増えていくからという事情もあります。

シンガポールでは私は旧友に再会したのですが、彼も旅行ウェブメディア企業の経営者です。しかも現地から日本に住む2人のプログラマーと3人の編集スタッフ、それと60人のライターとコミュニケーションを取りながら仕事をしていました。インターネットを駆使すればこういう仕事の仕方も可能なわけです。そしてシンガポールで彼が仕事をする理由は、「子どもに英語と中国語を身につけさせたいから」でした。

マレーシアでの日々の暮らしには地元色は残ります。今回もクアラルンプールから少し郊外に出ると英語が通じなくなりました。その一方で、都市部でのビジネス面のグローバル化はいやおうなく進展しています。たとえばショッピングモールに行くと、それがクアラルンプールなのかシンガポールなのか東京なのかわからなくなります。

シンガポールのショッピングモール

そのような世の中ですから、自分のことあるいは子どものことを考えて、戦略的に生きている人は少なくはないのです。若い世代の日本人が、どうキャリアを作るか考える時には、長い時間のみならず、広い空間も意識したほうが良いよ、という時代にさしかかりつつあるのです。

そんなことを肌で感じた参加学生も少なからずいました。彼らの何人かがつぎなる行動を起こし、自分のキャリアを豊かなものにしてくれれば、研修の意義が本当に出てくるのですが、あとは諸君に期待です。

[佐々木裕一]

2017/02/20

教員の新近刊

トケコミ教員の今年度刊、近刊をご紹介しましょう。

▼2016年4月

本橋哲也ディズニー・プリンセスのゆくえ白雪姫からマレフィセントまで』ナカニシヤ出版
著者の一言 20世紀の古典的なディズニー・プリンセス映画の再検証から始めて、21世紀の革命的な諸作品を徹底的に解読しました。

▼2016年6月

柴内康文「ソーシャルキャピタル・メディア・格差」(佐藤卓己 デジタル情報社会の未来(岩波講座 現代 第9巻)pp.43-65. 岩波書店
著者の一言 岩波書店が出している『講座 現代』というシリーズの一冊の中の一つ、です。
 『講座 現代』が前回に出たのは1963-64年なのだそうで、50年ぶりの刊行です。50年とは言わないが、ある程度読み継がれるものを(すぐに古くならないものを)と要望されたのですが、「ネットと人間関係」で書くことになっていた私は、それで大変に悩むことになりました。少しはそういうものになっていればいいのですが。

▼2016年7月

西垣 通ビッグデータと人工知能-可能性と罠を見極める』中央公論新社(中公新書)
著者の一言「AI狂騒から離れて人間の知性を鍛えるために」と帯の惹句にありますが、ともかく老骨に鞭打って一生懸命書きました。どなたにも読めるやさしい本です。

北村 智・佐々木裕一・河井大介『ツイッターの心理学情報環境と利用者行動』
 誠信書房
 日本でいまツイッターとどう向き合うべきかが分かりやすく解説されている初の専門書。

▼2016年8月

北村 智「情報行動における年齢・時代・世代効果の検討」ほか『日本人の情報行動 2015(橋元良明編)東京大学出版会
 日本人のメディア利用行動やコミュニケーション行動について、厳密な社会統計学的な方法論に基づいた調査により、メディア環境の大変動を詳細な数値として明快に示す。2015年版では、新たにLINE、facebook、twitterなどのソーシャルメディアや動画サイトの利用実態の貴重な統計を多数収録。

▼2017年3月(予定)

◎ロバート・D・パットナム柴内康文訳)われらの子ども』創元社
著者の一言 同じ著者の『孤独なボウリング』を以前翻訳したことがあり、その続編的意味合いも持つ本をもう一度手がけました。「格差社会」と言われますが、本書は特にアメリカの若者に焦点を当て、彼らの生きる世界にどのような格差が発生しているのかをインタビューとデータ分析で追います。アメリカの若者のさまざまな暮らしぶりを垣間見ることもできるでしょう。例えば大学受験の激しさから、時間を削って試験の点数競争に追われている、それもあまり知られていないアメリカの若者の(一つの)姿です。

▼2017年4, 5月

松永智子(共著)『いのちのふるさと海といきる』(田中 克・下村奈津子 編)昭和堂
著者の一言 学生時代、農学部開講の授業であった気仙沼・舞根湾合宿に参加し、漁師さんの植林活動「森は海の恋人」に魅せられました。そのときのご縁で、里山と川、海の「つながり」について考えたり、ときどき書いたりしています。多様な執筆者10名の集うこの本に、ハワイの日本人移民と海とのつながりに光をあてた「行き交う人のふるさと」という文章を寄せました。


2016/06/19

【学問のミカタ】「乗り物」をデザインする力

こんにちは、佐々木裕一です。どういうわけか今月2度目の登場です。

「乗り物」と言われると、友人と一緒に紙の時刻表片手に国鉄で旅していた少年時代を思い出します。列車を写真に収める趣味はなく、いかに列車をうまく乗り継いで複数の場所を回るかというパズルを解く感覚で計画を立てるのが好きでした。宿泊するのがたいてい安ユースホステルだったので、この日はここまで行かないといけないという制約がそういう趣味を育んだのかもしれません。 

さて、そんな私が「乗り物」という言葉を改めて意識したのは、広告会社の1年生社員としてキャンペーン計画を立てるようになった時のことでした。自分なりに全体予算をテレビや雑誌に振り分けて考えている時に先輩にこう言われたのです。「ビークルは?」。

告白すると、私はこの時「ビークル」の意味がわからなかったのですが、それは雑誌名を意味していました。つまり、ビークル=Vehicle=乗り物だったのです。情報を乗せる「乗り物」というわけです。広告やマーケティングの世界では、テレビや雑誌やインターネットといった次元での分類は「メディア」、それよりも具体的な「Seventeen」「non-no」あるいは「週刊文春」という次元での分類を「ビークル」と言います。

コミュニケーション学でも、「乗り物」であるメディアとそれに乗るメッセージを別に考えます。と同時に、マーシャル・マクルーハンというメディア学者は「メディアはメッセージである」と言いました。つまりメディア自身が何らかの意味を持つメッセージを発しているという考え方です。テレビというメディアで発信すること自体が意味を持つということです。

デザインを勉強する人は必ずお目にかかかるジェームズ・ギブソンという心理学者は「アフォーダンス」という考え方を唱えました。彼は、私たちが椅子に座る時には、椅子という形を持ったものが私たちに座ることを促している面があると考えました。環境が行動を促すという考え方です。みなさんが普段使っているスマホにアフォーダンスの考え方を当てはめれば、その小さい画面によって私たちは長い文章を書かないように、あるいはスタンプを使うように促されていると考えることができます。

この椅子は座ることを促して(アフォードして)いますか?


話を国鉄に戻すと、その時代、駅にむやみに広告を表示するのは御法度で、乗客に対するわかりやすい案内が何よりも優先されていました。1987年に民営化された後、駅の階段や電車の側面がメッセージの「乗り物」になるのは1990年代半ば以降からですし、ホーム上にしゃれたお店ができるのは2000年代から、「乗り物の中の乗り物」であるドア上広告に電子スクリーンが使われるようになるのは2010年代からです。

スマホアプリの画面にも様々なデザインがありますが、デザイナーは、どのようにすればユーザーが使いやすいかと、いかに脇に表示される広告も目にしてもらえるかの狭間で悩んでいます。最近驚かされたのはパナソニックが自社ウェブサイトで他社向けに広告の販売を始めるというニュースです。広告主と言われる人たちが「乗り物」をデザインして広告を売る側にも回る時代となったわけです。 

このように新しい「乗り物」をデザインする活動は、ここ10年ほどで驚くほど領域を広げています。これは「乗り物」が多様化しているからに他なりません。そして、であるからこそ、私たち利用者も「乗り物」がどのような考えでデザインされ、提供されているのかを意識しないといけません。なぜならば、デザインした側の思惑通りに、そこにひたすら長居して時間を無駄にするわけにもいかないからです。

「乗り物」を少し拡大解釈すれば、SNSで誰とつながり誰からのメッセージを受け取るかという環境を作っていくことも、身近な「乗り物」のデザイン作業と言えるでしょう。これは豊かにそして知的に生きるための基本スキルになりつつあります。

つまり、誰にも「乗り物」のデザインする力が求められるのが今という時代なのです。

【学問のミカタ】
 今月の共通テーマは「乗り物」です。



2016/06/02

スマホ向け動画広告のお話(ウェブ・マーケティング論ゲスト講義)

企業のマーケティング活動で、「ウェブを用いるのは当たり前」という感覚は若い人ほど強く持っているはずです。

NHK放送文化研究所による「日本人とテレビ・2015」調査(対象は16歳以上の男女)では、テレビを見る時間について「ほとんど、まったく見ない」「30分ぐらい」「1時間」と回答した人の合計が全体では24%。これに対して、16〜19歳では41%でした。逆にインターネット(メールを除く)を毎日利用する人は全体では38%。16〜19歳では65%でした。

テレビと言えば動画ですが、インターネットでの動画視聴も若い人の間では当たり前になってきていて、16〜19歳で「毎日のように」が35%、「週に3〜4日」が22%、「週に1〜2日」が28%でした。つまりこの層の85%が週に1回はインターネットで動画を見ていることになります。しかもこの数字は2010年の59%からも伸びていて、そこにはスマートフォンの普及が影響しています。

その一方で、2015年のスマートフォン広告の市場規模は3717億円で(サイバーエージェントとシード・プランニングの共同調査)、これは日本の広告費の6兆1710億円(電通調査)の6%にしか相当しません。そのうちスマートフォン向け動画広告は200億円なので、さらにその1/19近くというまだまだ小さい規模です。

このスマートフォン利用時間(頻度)と広告配分比のギャップについて、株式会社オープンエイトの代表取締役社長である高松雄康さんにゲスト講師として話してもらったのが、6月1日の「ウェブ・マーケティング論」でした。

授業風景(オープンエイト吉田さん撮影)

スマホ動画広告に予算が割かれない広告主側の理由として、ちょっと笑ってしまうようなものには、同じ人が見ているにもかかわらず「PCでの広告は大きいけど、(画面の小さい)スマホの広告は小さいから」といったものがありました。また、PCにしろスマホにしろ存在する「本当に広告が見られているのか問題」も解説してもらい、そこを保証するための閲覧時間という新しい指標の話も伺いました。

さらに「パソコンの場合はウェブブラウザでのサイト訪問履歴がわかるが、スマホの場合はそれがわかりにくい」という問題もあります。だからパソコンで旅先の宿を予約したら、その後しばらくホテルの広告が訪問先サイトの多くで表示されますが、スマホではこのようなことはほとんどありません。けれども、逆に言うと、今その人が訪れているサイト/アプリの内容に見合った広告しかスマホでは出せないことになります。

これはデメリットのように思えます。けれども面白かったのは、「動画という形式になると、人は面白いものあるいはコンテンツと関連の深いものを求めるようになる」という話でした。これは驚くべきことに、冒頭で紹介した若い人が遠ざかりつつあるテレビのCMの考え方に回帰しているわけです。テレビCMはあなたの番組視聴履歴に合わせて一人ずつに別のものが放送されているのではありませんから。

授業内レポートの課題は「どういう形または中身であればあなたはスマートフォン向け動画広告を見るか述べてください」というものでしたが、その回答内容に「おもしろさ」「流行り」を指摘するものが多く私も少しびっくりしました。

本日の授業内レポートのお題
(オープンエイト吉田さん撮影)

ウェブ・マーケティング論では、日々変わっているマーケティング業界の構造についても良く話すのですが、こういった新しい形や中身の広告を作ってみたい、売ってみたいという人は、「会社」ではなく「業界」に就職すると思って、オープンエイトのような新しい会社に入るという選択肢もあると思います。少し慎重さは必要ですが、十分検討に値する選択肢だと思います。

オープンエイト(ツイッターアカウント)

2015/01/22

高校生・大学生はなぜツイッターを使うのか【トケコミのメディア研究】

ツイッターを使う高校生は67%(総務省:都立高校生15,191サンプル、2014年1月実施)。また大学生の利用率が73%というデータもあります。ではなぜツイッターを使う高校生や大学生が多いのでしょうか。

それを読み解くキーワードが「場の解体された」ソーシャルメディアです。要はユーザーひとりひとりが別々の画面を見ていることを指します。みな別の人をフォローしているからタイムラインはそうなりますね。

2ちゃんねるなどの掲示板システムではみな同じ画面を見て、そこに書き込みます。ソーシャルメディアでもミクシィにはコミュニティページがあり、皆が同じページ内容を見ています。つまり「場」がある。フェイスブックもニュースフィードは各人別々ですが、自分の友人は相互承認による固定的なもので、ある程度誰に向けて書いているかを意識します。けれどもツイッターは見ている画面が別々な上に、フォロワーも変わる。

トケコミ教員チームによる調査(いずれ本にします)では、20以上のツイート内容によって想定される読者にほとんど変化がありませんでした。しかも「フォロワー全員を読み手と想定してツイートする」よりも「フォロワーの一部を読み手と想定しツイートする」よりも「読み手を特に想定することなくツイートする」という回答が一番大きな割合を占めました。

このような読み手を想定せずに、まさに「つぶやく」タイプのコミュニケーションを「エゴコンテクスト・コミュニケーション」と呼ぶ人がいます。「コンテクスト」とはそれぞれが持つ事情、状況。「エゴ」は自分本位のと考えればよいでしょう。自分本位の事情でつぶやいて、あわよくば反応してもらうタイプのコミュニケーションです。

なるほどツイッターはこのタイプのコミュニケーションに親和的です。私の周りにいる学生の言葉を借りれば、
伝えたいことがあれば、特定の相手よりもたくさんの人に伝わるほうがいい。知り合いじゃなくても、誰か趣味やノリが合う人が反応してくれれば単純にうれしい。
となります。

そんな「エゴコンテクスト・コミュニケーション」をめぐって、1月14日の「トケコミトーク」では議論が行われました。

私(佐々木)や西垣教授はウェブサービスやスマホの影響力を重視し、「相手に対して踏み込まないタイプのコミュニケーションが増えた」「若者は友人からの評価、つまり横からの評価を気にしすぎる。それが特にネットでのエゴコンテクスト・コミュニケーションを生んでいるのでは」と語りました。


一方、柴内教授は95年に出版された『やさしさの精神病理』を引きながら「『ホットなやさしさ』『ウォームなやさしさ』というのがあって、後者はあまり深く詰め寄らずに放っておく優しさ。つまりそういうコミュニケーションはポケベル時代からあったのでは」とコメントしました。

ここではその後のやりとりは書きませんが、若者のソーシャルメディア利用は、メディア・コミュニケーション研究の一領域ですし、実際このようなテーマで卒論を書く学生も多いです。テレビやネットなどのメディア研究がさかんなトケコミでは、メディア接触するうえで私たちが気をつけるべきエッセンスを学べます。

というわけで、こんな話に興味のある学生をトケコミではお待ちしております。

関連:学生記者による「トケコミトーク」取材記事(リンク):
http://www.tku.ac.jp/news/014833.html

2014/12/16

第1回トケコミ・トーク:22年目のウェブ - 商業化・コミュニケーション様式・デバイス

2015年1月14日(水)12:15~13:00
6号館2階 学習センター

2015年に入り、ウェブは22年目を迎えます。
その間、商業化が進み、コミュニケーション様式も変わり、さらにデバイスがその様式変化に影響を与えています。
今回は、『デジタルの際』第1章を担当した佐々木裕一先生、そして西垣通先生、柴内康文先生がウェブの過去と現在をざっくばらんに語ります。
(進行:川浦康至)
※参加自由です。

発売日翌日の12/26にはこんな企画もあります。
『デジタルの際』刊行記念トークショー&販売会


今後、トケコミ・トーク(コミュニケーション学部教員による座談会)を随時開催して行く予定です。

2014/12/01

美しく心地良いキャンパス

写真は先週のキャンパスです。

 ちょうど銀杏並木の下に落ち葉のカーペットができていたのでiPhoneでパシャリ。キャンパスの美しさや心地よさというのは、頻繁に通う場所であるがゆえに、とても大事な要素です。季節感が感じられ、なによりも美しい東経大のキャンパスが私はとても好きです。


2014/10/05

ネットでのコミュニケーションを考える授業

コミ部で「ネットワーク・コミュニケーション論」を担当している佐々木裕一です。

その初回授業で、コミ部学生のウェブサービスとアプリの利用状況を大雑把に把握するためにとったアンケート結果の抜粋が下の表になります。

尋ね方は「今日/昨日/一昨日の間に利用したウェブサイト、ウェブサービスやアプリの名前を利用する端末とともに書いてください。合計10書いてくれれば助かります」でしたので、「ためになる」や「お気に入り」のサービスよりも普段使いのそれが上位に挙がっています。

39サンプルから90以上のサービスやアプリが挙がりましたが、気づいたことを少々。なお表はスマホでの利用が多い順になっています。

  • LINEは全員がスマホで利用、ツイッターもスマホでかなりの利用率
  • PCで最も利用されているのがYouTubeで、この傾向はニコニコ動画にも当てはまる。動画を見る時はPCも利用されているよう。
  • ゲームアプリではパズドラ一番人気
  • 写真投稿(共有)のInstagramもけっこう利用されている。
  • ECではアマゾン、楽天というなんでも屋に加えて、ZOZOTOWNも登場。


ちなみにTKUポータルというのは東経大の学生向けの連絡ツールで学生ひとりひとりが自分のページにアクセスし、教員からの連絡やレポート課題の情報などを得ることができるサイトです。

またこの表からはわかりませんが、利用端末が「スマホのみ」という学生は39名中5名でした。ただし動画の時のみPC利用という人を入れると8名が「ほぼスマホ」でした。


「ネットワーク・コミュニケーション論」の授業では、ネットやスマホといった人工的な環境によって、私たちのコミュニケーションの有り様が強く制約されていることを考えます。たとえばスマホの特徴は「小画面」と「携帯性」ですが、この特徴は「私たちを知った気にさせる断片的情報をいつでもすぐに受信する」のに向いています。「知った気にさせる」というのは少々皮肉で、そんな生半可な知識はあてにならないのに、ということを言っています。私はスマホのこの特徴が、インターネットを、共有を通じた創造の道具ではなく単なる情報消費の道具にしてしまう可能性を持っていると危惧しています。


もちろん人は環境に適応しますので、それは「90年代前半からPCでネットを使ってきた40代男の想像にすぎない」ということもありえます。つまりいずれ多くの人がスマホを創造的な道具としてもふんだんに活用することは考えられます。しかし現状はそうではありません。


Every Second on the Internet というサイトがあります。アクセスして中央にある下向き矢印を押すと、上にも登場したInstagramでの写真投稿、ツイッターでのツイート、Googleでの検索などが、あなたがEvery Second on the Internetのサイトに訪れてから何回なされたかがグラフィカルに表示されます。これを見ると世界の各所で多くの人がネットコミュニケーションを行っていることが実感できます。


そんな当たり前になったインターネットでのコミュニケーションですが、小学生からウェブを、高校からスマホを空気のように利用してきた若い人たちにとってこそ、ネットを介したコミュニケーションが持つ利点や制約について落ち着いて考えることは大事なことだと思います。ワードで文章を上手に書くとか、エクセルできれいにグラフを作るといった次元とは違う、そういう授業もコミ部にはあります。


佐々木裕一のブログ