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2020/01/25

観光のプロと「働くを考える」【中村忠司ゼミ】


「どの会社に就職したいかを考える前に、自分がどんな風に働いていきたいかを想像することが大事な気がしてきました」。先日、就職活動真っ只中の新4年生がそんなことをつぶやいていました。「働くを考える」。中村忠司先生より、タイムリーな記事を寄稿いただきましたので、お届けします。

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中村ゼミではユニークなゲスト講師をお招きして授業を行っています。今回ご紹介するのは、日本のインバウンド旅館の代表ともいえる澤の屋旅館の館主 澤功さん。そして広島から上海、東京と20代の間に国・地域を越えて職場を異動され、現在はJTBコミュニケーションデザインで訪日プロモーションを主に担当する田丸裕子さんの講義についてです。

澤さんには昨年12月17日に2,3年合同のゼミで、『誰でもできるインバウンド経営』というタイトルでお話しいただきました。澤さんは1937年新潟県生まれ。1965年に銀行を退職し、東京都台東区谷中の澤の屋旅館館主になられます。修学旅行など日本人中心でやっていましたが、予約0人を契機に1982年から積極的に外国人旅行客を受け入れることで旅館の立て直しに成功しました。外国人観光客中心にシフトし、今や年間の部屋稼働率94%という日本中で最も外国人観光客に人気のある宿に成長させたことで、観光カリスマにも任命されています。私とは日本全国でインバウンド研修巡業をさせていただいたという仲になります。


谷中の澤の屋旅館

澤さんにお願いしたのは、観光のゼミということもありますが、82歳という年齢でありながら現役を維持するということを学生に見せたかったからです。お聞きするとこれまでに約500回の講演をされたそうです。私も58歳になりますが、とても80代になって自分が働いている姿は想像できません。澤さんは毎日フロントに立ち、外国人旅行者のお世話をし、そして全国を講演で回っておられる。話を聞いてみると家族旅館ということもありますが、1つは無理をせず、なるべく自然に働くということと思いました。また講演については、日本のインバウンド振興に貢献したいという気持ちが原動力ということがわかりました。来期は、ゼミ生を連れて澤の屋旅館を見学し、谷中のまち歩きを行う予定です。


館主の澤功さん


 田丸さんには19日に2年ゼミで『世界を舞台に働くこと~交流創造事業を通して~』という内容でお話を伺いました。田丸さんは2012年株式会社JTBに入社。広島支店で3年間法人営業をしたのち、社内研修制度でJTB佳途国際旅行社(JTB上海)に赴任。主に中国人の訪日旅行・海外旅行などの旅行営業を担当されました。2018年にJTBコミュニケーションデザインに転籍して、東京にてインバウンドプロモーション業務に従事。国全体の訪日プロモーションを行うJNTOを顧客として、海外に向けた日本全体の訪日プロモーション事業をされています。昨年の釜山への海外ゼミ研修旅行では、田丸さんの手掛けた釜山国際観光博の日本ブースも見学させていただきました。


国際観光博の日本政府観光局ブース


 今回学生に感じて欲しかったのは、「地方で働く。東京で働く。海外で働く。」という意義です。1つの会社の中でも様々な環境で働くことで、人は成長します。田丸さんは大学時代に地域と関わるゼミに所属し、地域に人を誘客していくという地域活性化を通して地域を元気にすることを学び、それができるJTBを目指したそうです。研修先の中国では現地の社員が自身の能力を高め、他社へ移り、より高収入にしていくことが当たり前な職場を経験したこと。また東京で感じた同じような仕事をしても、地方と扱う金額の桁が違うということに驚いたというお話も印象に残りました。


学生に語りかける田丸裕子さん

 お二人に共通するのは、一つの信念を持っていることです。澤さんには、「日本のインバウンドを発展させたい」という強い気持ちがあります。田丸さんは、「地域活性化を行い、地域でも長く住むことが出来る社会にしていきたい」という夢があり、そのことは一貫して変わらないと話していました。今後、社会に出ていく学生にも何かブレない信念を持ち続けてほしいと思います。【中村忠司】

2019/12/16

カリスマ旅館館主と噺家になった卒業生

今週のトケコム。
「コミュニケーション」を生業とする個性豊かなゲスト講師をお招きし、
特別セミナーを開講します。

○2019年12月17日(火)16:20〜17:50
「誰でもできるインバウンド経営」
 講師:澤の屋旅館 館主 澤 功 氏  http://www.sawanoya.com/nihonngho.html
 企画:中村忠司ゼミ

    トリップアドバイザーで常に上位の宿。なぜ澤の屋旅館は外国人から人気があるのか?
 観光カリスマとして著名な澤氏の体験談から学びます。
 
○2019年12月19日(木)17:00〜18:00 6号館4階 F416
  「立川幸平 年忘れ独演会」
 講師:立川幸平 氏(立川談幸門下、2017年度トケコム卒業生)
 企画:松永智子ゼミ

 落研に所属し、学生落語の世界でも活躍していた立川氏。
 卒業研究のタイトルも「学生落語大全」でした。
 今回は初心者にも配慮したプログラムで、
 落語の芸を披露し、噺家という職業の魅力について語っていただきます。
 年忘れにひと笑い、いかがでしょう。


2019/12/10

聖地巡礼って何?ーコンテンツツーリズム学会@TKU


 いよいよ師走になりました。我がトケコムでは、先週無事に卒業論文を提出した学生たちの、卒業旅行計画の楽しい話題を耳にします。「旅行」といえば…

 先週末、本学にてコンテンツツーリズム学会 論文発表大会が開催されました。同学会の常務理事を務めるトケコム教員の中村忠司先生よりご報告いただきましたので、以下お届けします。

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 1130日(土)2号館にてコンテンツツーリズム学会 第7回 論文発表大会が開催されました。
コンテンツツーリズム学会 論文発表大会

コンテンツツーリズムとは、地域に「コンテンツを通じて醸成された地域固有のイメージ」としての「物語性」「テーマ性」を付加し、その物語性を観光資源として活用することとされます。対象となるコンテンツは映画・アニメ・ゲーム・テレビドラマ・文学・音楽などで、その物語の舞台となった土地を訪れます。アニメの舞台地訪問は「アニメ聖地巡礼」と呼ばれ、その場所には世界中から若い日本アニメのファンが訪れます。『君の名は。』の舞台地となった岐阜県・飛騨古川や『ガールズ&パンツァー』の茨城県・大洗町、『SLUM DUNK』の神奈川県・江ノ電鎌倉高校前踏切は有名ですね。海外ではドラマ『冬のソナタ』で韓国旅行ブームが起きて、たくさんの日本人女性旅行者がソウルだけでなく春川(チュンチョン)など地方都市を訪れました。このようにコンテンツツーリズムには舞台地となることで、今まで観光地として認識されていなかった場所に多くの観光客を集めるという特徴があります。
コンテンツツーリズム学会ホームページ http://contentstourism.com/index.html


アニメ映画『君の名は。』の舞台地。
四谷 須賀神社の階段(筆者撮影)

映画『Love Letter』の舞台地。
韓国でブームになった冬の小樽(筆者撮影)

今回の発表大会は7回目で、大阪・福岡・静岡と地方での大会に続き、20193月に学会が学術研究団体の指定を受けてから最初の大会となりました。大会では最初に柴内学部長が開催校挨拶として、大学の紹介とメディアや文化を研究対象とするコミュニケーション学部とコンテンツツーリズムの親和性について話しました。続いて学会会長の法政大学大学院増淵敏之教授が開会挨拶をされました。
 
開催校挨拶をする柴内学部長


開会挨拶をする増淵敏之会長

 特別講演は立教大学観光学部石橋正孝准教授が「地霊(ゲニウス・ロキ)としてのシャーロック・ホームズ」というタイトルで講演されました。シャーロック・ホームズはイギリスのコナン・ドイルによって書かれたシリーズ作品の主人公で、作品は1887年の『緋色の研究』から1927年の『シャーロック・ホームズの事件簿』まで長篇4篇と短篇56篇があります。世界で最も有名な架空の探偵として知られ、2010年にはBBC放送が『SHERLOCK』としてスマートフォンやインターネットを駆使して事件を解決に導く現代版キャラクターとして復活させました。2012年にはCBC放送が『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』としてニューヨークを舞台にドラマで活躍させています。またフジテレビでは2019年秋から放送の『シャーロック』で東京を舞台にディーン・フジオカが犯罪コンサルタントとして活躍するドラマのタイトルに象徴的に使われています。講演は、作者論として「モデル作者」から「キャラクター」へと論を展開され、作品的受容とコンテンツ的受容の違い、作者と読者の戦いと非常に興味深い内容でした。個人的には、コナン・ドイルとディケンズの対比がなるほどと思い面白かったです。

 
論文発表の様子

 休憩を挟み2会場で12本の発表が行われました。タイトルは以下の通りです。
・「アニメ聖地巡礼者の特徴」
・「スポーツのコンテンツ化によるコンテンツツーリズムへの接近 地域資源活用イベントの活用事例から」
・「アキバのコンテンツツーリズムとマーケティング3.0
・「聖地巡礼による中国観光客の動向に関する一考察 SLAM DUNK』の分析を通して」
・「アニメの聖地巡礼を活用した地方自治体のディスティネーション・マーケティングに関する一考察 埼玉県の事例から」
・「日本映画を活用した地域資源創出プロセスにおける地域組織の役割」
・「地域創生とコンテンツツーリズム」
・「コンテンツ『温泉むすめ』の展開とその可能性 再話化とツーリズム」
・「コンテンツツーリズムの新たな可能性 オリジナル・ビデオによる誘発した朝里観光を事例に」
・「アニメ『ゆるキャン』が 地域に与えた影響について」
・「アニメファンの聖地巡礼における意識と行動特徴に関する研究」
・「コンテンツツーリズムと婚活ツーリズムの相乗的展開可能性に関する考察」
 発表内容は、論文や研究ノートとして『コンテンツツーリズム学会論文集』に掲載予定です。

 本校の過去の卒業論文タイトルを見るとコンテンツツーリズムをテーマとした論文がいくつもあります。中村忠司ゼミ(観光学)ではニューツーリズムの中でも「フードツーリズム」や「コンテンツツーリズム」に力を入れています。この分野に興味を持つ人は、どうぞ話を聞きに来てください。
(中村忠司)