「どの会社に就職したいかを考える前に、自分がどんな風に働いていきたいかを想像することが大事な気がしてきました」。先日、就職活動真っ只中の新4年生がそんなことをつぶやいていました。「働くを考える」。中村忠司先生より、タイムリーな記事を寄稿いただきましたので、お届けします。
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中村ゼミではユニークなゲスト講師をお招きして授業を行っています。今回ご紹介するのは、日本のインバウンド旅館の代表ともいえる澤の屋旅館の館主
澤功さん。そして広島から上海、東京と20代の間に国・地域を越えて職場を異動され、現在はJTBコミュニケーションデザインで訪日プロモーションを主に担当する田丸裕子さんの講義についてです。
澤さんには昨年12月17日に2,3年合同のゼミで、『誰でもできるインバウンド経営』というタイトルでお話しいただきました。澤さんは1937年新潟県生まれ。1965年に銀行を退職し、東京都台東区谷中の澤の屋旅館館主になられます。修学旅行など日本人中心でやっていましたが、予約0人を契機に1982年から積極的に外国人旅行客を受け入れることで旅館の立て直しに成功しました。外国人観光客中心にシフトし、今や年間の部屋稼働率94%という日本中で最も外国人観光客に人気のある宿に成長させたことで、観光カリスマにも任命されています。私とは日本全国でインバウンド研修巡業をさせていただいたという仲になります。
谷中の澤の屋旅館 |
澤さんにお願いしたのは、観光のゼミということもありますが、82歳という年齢でありながら現役を維持するということを学生に見せたかったからです。お聞きするとこれまでに約500回の講演をされたそうです。私も58歳になりますが、とても80代になって自分が働いている姿は想像できません。澤さんは毎日フロントに立ち、外国人旅行者のお世話をし、そして全国を講演で回っておられる。話を聞いてみると家族旅館ということもありますが、1つは無理をせず、なるべく自然に働くということと思いました。また講演については、日本のインバウンド振興に貢献したいという気持ちが原動力ということがわかりました。来期は、ゼミ生を連れて澤の屋旅館を見学し、谷中のまち歩きを行う予定です。
館主の澤功さん |
田丸さんには1月9日に2年ゼミで『世界を舞台に働くこと~交流創造事業を通して~』という内容でお話を伺いました。田丸さんは2012年株式会社JTBに入社。広島支店で3年間法人営業をしたのち、社内研修制度でJTB佳途国際旅行社(JTB上海)に赴任。主に中国人の訪日旅行・海外旅行などの旅行営業を担当されました。2018年にJTBコミュニケーションデザインに転籍して、東京にてインバウンドプロモーション業務に従事。国全体の訪日プロモーションを行うJNTOを顧客として、海外に向けた日本全体の訪日プロモーション事業をされています。昨年の釜山への海外ゼミ研修旅行では、田丸さんの手掛けた釜山国際観光博の日本ブースも見学させていただきました。
国際観光博の日本政府観光局ブース |
今回学生に感じて欲しかったのは、「地方で働く。東京で働く。海外で働く。」という意義です。1つの会社の中でも様々な環境で働くことで、人は成長します。田丸さんは大学時代に地域と関わるゼミに所属し、地域に人を誘客していくという地域活性化を通して地域を元気にすることを学び、それができるJTBを目指したそうです。研修先の中国では現地の社員が自身の能力を高め、他社へ移り、より高収入にしていくことが当たり前な職場を経験したこと。また東京で感じた同じような仕事をしても、地方と扱う金額の桁が違うということに驚いたというお話も印象に残りました。
学生に語りかける田丸裕子さん |
お二人に共通するのは、一つの信念を持っていることです。澤さんには、「日本のインバウンドを発展させたい」という強い気持ちがあります。田丸さんは、「地域活性化を行い、地域でも長く住むことが出来る社会にしていきたい」という夢があり、そのことは一貫して変わらないと話していました。今後、社会に出ていく学生にも何かブレない信念を持ち続けてほしいと思います。【中村忠司】
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