2019/09/30

ゼミ合宿でドローン講習


 夏のトケコム、ゼミ合宿レポート第二弾。
今回は、映像制作ゼミご担当の田村和人先生よりご紹介いただきます。
それでは田村先生、宜しくお願いします!

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 田村ゼミ(映像制作)では、9月8日から10日にかけてのゼミ合宿を利用してドローン講習を実施しました。河口湖にほど近い大学提携のホテルに宿泊し、飛行実習は山中湖村が運営する「交流プラザ きらら」という施設で行われました。

 初日はあいにくの台風の影響で荒天となり、予定していた河口湖畔での(ドローンではない)自由撮影は中止、そこで急遽、ホテルの会議室でドローンに関わるルールの座学に切り替えました。手軽に空撮や俯瞰の映像を撮影できるドローンに対するゼミ生の関心は高いのですが、ドローン飛行に関わるルールは、航空法や民法、さらには自治体の条例など多岐にわたっています。それを皆で学習する機会としました。

 さて、実際に野外でドローンを飛行させるとなると、すべてのルールをクリアできる場所を探さなければなりません。今回はまず山梨県のフィルム・コミッションに相談し、そこでアドバイスをいただいた「やまなかこフィルムコミッション」および山中湖村役場に連絡しました。(山梨県は県をあげてロケ地誘致に熱心なようです。今回は商業撮影ではありませんでしたが、とても親切に対応していただきました。)そうしたところ、利用料金を支払えば山中湖村が運営する「きらら」では飛行可能との回答をいただき、無事に撮影場所の確保に至りました。「きらら」は有名な夏フェスも催行される広大な野外施設で、その中の「原っぱ」という場所をお借りしました。約13,000平米という広さ、山中湖に接しながら富士を仰ぐという素晴らしいロケーションです。

 前日の座学を終えた99日、台風が未明に過ぎ去った富士五湖周辺はみごとに晴れ渡り、早朝には残っていたドローンの弱点である強風もほぼ終息、絶好の撮影日和となりました。富士山もきれいにそびえ立っています。


「原っぱ」上空から

 実習は本格的なドローン1台、機体重量200グラム未満のトイドローンと呼ばれる小型のもの2台、計3台で行われました。(本来、トイドローンはどのルールにも拘束されない、まさに玩具の部類なのですが、市街地などで無許可に撮影することはトラブルのもとですので学生たちには勧めていません。)ただ、どのドローンであっても、基本的な操縦方法は同じですので、まずはトイドローンで感触を得てもらってから本格的なドローンの操縦をしてもらいました。(実際は、本格的なドローンの方が、GPS制御などもあって操縦は容易です。)

 航空法で地上や水上150メートル以上の空域は飛行が禁止されていますが、それでも地上100メートルを超えたあたりからの視界はまさに別物、普段撮影できるものとははっきりと異なる映像を撮ることができました。参加者もそれを体感することができたと思います。




 ドローンの操縦には国家資格などは不要なのですが、実際のところ、撮影許可のスムーズな取得やトラブル回避のためには、JUIDADPAといった無人航空機に関する民間機関の発行する「認定資格」が必要とされているように感じられます。その資格を取得するにはスクールに通うなどの費用も発生しますので、なかなか学生にはむずかしいかも知れません。実際に撮影するには、資格をもった人と共同で実施するなどの方策をとることが必要でしょう。その意味で、今回のドローン講習は、まずはドローン撮影を体験し、その魅力と可能性を知ってもらう機会とし、各自のスキルアップの方向性を探るきっかけにしてもらえたならと考えています。
(了)

2019/09/27

【トケコム生 必見!!】イベントの秋

新学期が始まり、一週間が経ちました。
教室には、学生たちの語る楽しげな夏の思い出にあふれる一方
学祭をはじめとした秋のイベントの計画でも盛り上がりつつあります。

トケコム教員が主催、登壇する秋のイベントについてお知らせします。
学生のみなさん、どちらもおすすめです!!

◯学術シンポジウム「大学におけるウィキペディアの利活用と課題」
   2019年9月28日(土)11:00-17:30(開場10:40)
         東経大国分寺キャンパス 大倉喜八郎 進一層館(フォーワードホール)
            →プログラムの詳細はこちら
   【山田晴通 教授】が実行委員長。
     第一部「ウィキペディアと大学についての総論」で登壇されます。

     レポート作成にWikipediaを「正しく」活用するには?
     "Wikipedia"という仕掛けが生み出す「集団的知性」って?
     事前申込不要、無料のシンポジウムです。

◯就活イベント「東経大の教員と卒業生が語るマスコミ就活」
    2019年10月11日(金)17:30-21:00
           アルカディア市ヶ谷
     第一部 講演会「テレビと広告がわかる。ぶっちゃけトーク!!!」
                 電通・日本テレビに30年以上勤務した東経大教員が 広告業界・テレビ業界について語る
            【大岩直人 教授】(1984年 電通入社、クリエイティブディレクターとして国内外の各賞を受賞)
     【田村和人 教授】(1981年 日本テレビ放送網入社、制作局で番組制作・人事部等でも活躍)

    第二部 懇親会
                 報道・出版・広告広報業界で働く東経大卒業生や 
                     マスコミに内定した4年生との気軽な雰囲気の懇談会(立食形式)

             →対象は現役の東経大生。参加費500円。
      6号館1階の自動証明書発行機で「申込書」を出力し、キャリアセンターへ
      申込み締切2019年10月1日(火)締切間近!!
    
     「マスコミ」とありますが、実際には「コミュニケーション業界」で
      広告や広報の業界で働くOBも多数参加されます。
      直接お話できる貴重な機会です。ぜひご参加ください!

夏に訪ねた秘境の山小屋に、人知れず凛と咲くユリ。
わがトケコムブログも、かくありたい。

       
     




2019/09/13

海外研修のご報告 ~釜山、歴史のレイヤ(層)を訪ねて~【中村忠司ゼミ】


中村忠司先生より、海外ゼミ研修のレポートが届きました!
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「ツーリズムと社会」をテーマとする中村ゼミでは、9月5日から8日までの3泊4日、韓国の釜山でゼミ研修(2年生)を行ってきました。

釜山は成田から約2時間と近く、4日間の行程でもフルに時間を活かせるのが魅力です。研修の目的は3つあります。1つ目は現地で9月5日から4日間開催される釜山国際観光博(BITF)の調査です。日本からも日本政府観光局(JNTO)の他、九州を中心に自治体が出展しています。多くの国・地域が出展する観光展を調査し、実際にどのような観光プロモーションを行っているのかを確認しました。2つ目はニューツーリズム(アート、コンテンツ、フード、ダークツーリズム分野)の視察です。関連する地域や施設を巡りました。3つ目は観光地の発展段階とその背景にある歴史との関係性です。特に釜山では朝鮮戦争が大きく関係していました。アートの街として再生した甘川文化村や釜山映画体験博物館でその説明を受けました。

行程
1日目 成田から釜山へ、釜山現代美術館、ロッテJTB釜山事務所長のお話を聞く
2日目 釜山国際観光博調査、映画の殿堂、釜山映像体験館、釜山近代歴史館
3日目 甘川文化村、チャガルチ市場、自由行動
4日目 釜山から成田へ



1日目
【釜山現代美術館】


釜山現代美術館のエントランスで
               
作品でもあるカフェ
                
最初に2018年6月にオープンした釜山現代美術館を訪問しました。外観の垂直庭園にまず圧倒されます。館内には瀬戸内国際芸術祭でもカフェを設置していたトビアスの作品がありました。


【懇親会】


ロッテJTB釜山事務所の崔永善所長のお話を聞く
             
ロッテJTBはランドオペレーターとして日本人旅行者の様々なインバウンド旅行手配を行っている他、韓国からのアウトバウンド旅行も取り扱っています。5000人規模の韓流スターファンミーティングや2018年平昌オリンピックの話などを伺うことができました。


2日目
【第22回釜山国際観光展(BITF)調査】

 
会場のBEXCO展示場
                  
 
インドネシアのパフォーマンスに参加
               

日本政府観光局(JNTO)のブース
                
日本の出展者は日本政府観光局、札幌市、名古屋市、長崎県、佐賀県、鹿児島県、山口県でそれぞれ話をお聞きしました。日韓関係の悪化が航空路線の減便や旅館のキャンセルなど観光に大きな影響を与えていることがわかりました。


【映画の殿堂】

映画の殿堂
                    
レッドカーペットでポーズ
                 
10月に行われる釜山国際映画祭(BIFF)の会場を見学しました。外観もユニークです。


【釜山映画体験博物館】

 
 移動は地下鉄
                    
 戦前の釜山の街と映画館
                
館内のボランティアガイドさんから日本統治時代にどのようにして映画館ができ、朝鮮戦争以降ハリウッド映画が入ってくる過程の説明を受けました。


【釜山近代歴史館】

大阪商船の航路案内
                      
 
釜山近代歴史館には日本統治時代に遊興地となっていった東菜温泉開発の過程や満州・朝鮮半島への時刻表など戦前の植民地観光が理解できる資料が多く展示されています。



3日目
【甘川文化村(カンチョンムナマウル)】
 
マウルバスで甘川文化村へ移動
                 
釜山で1番のインスタ映えスポット
               
朝鮮戦争避難民のバラック模型 

魚のタイル画
                     
フォトスポットの星の王子さま
                
1950年代に朝鮮戦争の避難民と太極道教徒の街として山肌に沿って拡大していきました。2009年からのマチュピチュプロジェクトでアートの街甘川文化村として再生していく過程を学びました。最初にインフォメーションで2000₩(約200円)で地図を買います。その売上は街の中で有効に活用されます。


【フードツーリズム】

 
韓国最大の水産物市場チャガルチ市場

サムギョプサルではトングとハサミが大活躍
              
具沢山の海老キンパッ
                    
蟹や貝がたくさん入っている海鮮鍋
               
韓国では通りにデジ(豚)クッパ通りなど食べ物の名前のついたストリートが多くあります。これを食べるならここに行こうとなるそうです。わかりやすいフードツーリズムですね。


【最後に】

日韓関係が悪化して、連日のように韓国でのデモや抗議活動が報道されている中でのゼミ研修旅行でした。しかし、実際に行ってみると釜山の街は全く普段と変わらず、我々をもてなしてくれました。過激な報道から受けるイメージを鵜呑みにせず、自分の目で確かめることがいかに大切かを感じた4日間でした。

カラフルな街並みでインスタ映えする観光地も一気にできたものではありません。表面的に楽しむだけでなく、どのような歴史の変遷を経て今の姿になったのか。歴史のレイヤ(層)を11枚めくりながら眺めると、また新たなまなざしで対象と向き合えるでしょう。