中村忠司先生より、海外ゼミ研修のレポートが届きました!
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「ツーリズムと社会」をテーマとする中村ゼミでは、9月5日から8日までの3泊4日、韓国の釜山でゼミ研修(2年生)を行ってきました。
釜山は成田から約2時間と近く、4日間の行程でもフルに時間を活かせるのが魅力です。研修の目的は3つあります。1つ目は現地で9月5日から4日間開催される釜山国際観光博(BITF)の調査です。日本からも日本政府観光局(JNTO)の他、九州を中心に自治体が出展しています。多くの国・地域が出展する観光展を調査し、実際にどのような観光プロモーションを行っているのかを確認しました。2つ目はニューツーリズム(アート、コンテンツ、フード、ダークツーリズム分野)の視察です。関連する地域や施設を巡りました。3つ目は観光地の発展段階とその背景にある歴史との関係性です。特に釜山では朝鮮戦争が大きく関係していました。アートの街として再生した甘川文化村や釜山映画体験博物館でその説明を受けました。
行程
1日目 成田から釜山へ、釜山現代美術館、ロッテJTB釜山事務所長のお話を聞く
2日目 釜山国際観光博調査、映画の殿堂、釜山映像体験館、釜山近代歴史館
3日目 甘川文化村、チャガルチ市場、自由行動
4日目 釜山から成田へ
1日目
【釜山現代美術館】
釜山現代美術館のエントランスで |
作品でもあるカフェ |
最初に2018年6月にオープンした釜山現代美術館を訪問しました。外観の垂直庭園にまず圧倒されます。館内には瀬戸内国際芸術祭でもカフェを設置していたトビアスの作品がありました。
【懇親会】
ロッテJTB釜山事務所の崔永善所長のお話を聞く |
ロッテJTBはランドオペレーターとして日本人旅行者の様々なインバウンド旅行手配を行っている他、韓国からのアウトバウンド旅行も取り扱っています。5000人規模の韓流スターファンミーティングや2018年平昌オリンピックの話などを伺うことができました。
2日目
【第22回釜山国際観光展(BITF)調査】
日本政府観光局(JNTO)のブース |
日本の出展者は日本政府観光局、札幌市、名古屋市、長崎県、佐賀県、鹿児島県、山口県でそれぞれ話をお聞きしました。日韓関係の悪化が航空路線の減便や旅館のキャンセルなど観光に大きな影響を与えていることがわかりました。
【映画の殿堂】
レッドカーペットでポーズ |
10月に行われる釜山国際映画祭(BIFF)の会場を見学しました。外観もユニークです。
【釜山映画体験博物館】
館内のボランティアガイドさんから日本統治時代にどのようにして映画館ができ、朝鮮戦争以降ハリウッド映画が入ってくる過程の説明を受けました。
【釜山近代歴史館】
釜山近代歴史館には日本統治時代に遊興地となっていった東菜温泉開発の過程や満州・朝鮮半島への時刻表など戦前の植民地観光が理解できる資料が多く展示されています。
3日目
【甘川文化村(カンチョンムナマウル)】
朝鮮戦争避難民のバラック模型 |
1950年代に朝鮮戦争の避難民と太極道教徒の街として山肌に沿って拡大していきました。2009年からのマチュピチュプロジェクトでアートの街甘川文化村として再生していく過程を学びました。最初にインフォメーションで2000₩(約200円)で地図を買います。その売上は街の中で有効に活用されます。
【フードツーリズム】
韓国では通りにデジ(豚)クッパ通りなど食べ物の名前のついたストリートが多くあります。これを食べるならここに行こうとなるそうです。わかりやすいフードツーリズムですね。
【最後に】
日韓関係が悪化して、連日のように韓国でのデモや抗議活動が報道されている中でのゼミ研修旅行でした。しかし、実際に行ってみると釜山の街は全く普段と変わらず、我々をもてなしてくれました。過激な報道から受けるイメージを鵜呑みにせず、自分の目で確かめることがいかに大切かを感じた4日間でした。
カラフルな街並みでインスタ映えする観光地も一気にできたものではありません。表面的に楽しむだけでなく、どのような歴史の変遷を経て今の姿になったのか。歴史のレイヤ(層)を1枚1枚めくりながら眺めると、また新たなまなざしで対象と向き合えるでしょう。
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