2017/08/13

【名物講義紹介:表現と批評】vol.2



先に紹介した「表現と批評」の投票結果の補足として、桜井さんから各映画作品のデータが届きました。

2017年度上映作品一覧

1. バンテージポイント(2008、米国)
監督    ピート・トラヴィス。
タイトルのバンテージ・ポイントとは「眺望のいい有利な地点」の意味で、登場人物8名それぞれの立場の「視点」を集めるこの映画の趣旨を表す。それぞれの視点は、必ず重要な場面の直前で終わる形式をとり、スペインでの米国大統領暗殺事件の真相を徐々に明かしていく。

2. じゃりン子チエ(1981
監督 高畑勲。  はるき悦巳の人気連載マンガのアニメ化。中山千夏がチエを吹き替え、声優としては、西川のりおを始めとして関西お笑い界総出演。

3. シン・ゴジラ(2016)   
総監督・脚本  庵野秀明。  興収80億円を超えた大ヒット作。第40回日本アカデミー賞最優秀作品・最優秀監督・最優秀撮影・最優秀照明・最優秀美術・最優秀録音賞・最優秀編集賞、毎日映画コンクール日本映画大賞        

4. 帰ってきたヒトラー(2015、ドイツ)
監督・脚本 デヴィット・ヴェント(David Wnendt)。大ベストセラー小説を原作とする政治風刺映画。タイムスリップして、1945年から2014年のベルリンに蘇ったヒトラーを、テレビ会社「My TV」をクビになったザヴァツキは、そっくりさんと思い込む。復職するためにヒトラーと共にドイツ中を旅して自主動画を制作。ヒトラーはトーク番組「クラス・アルター」へのゲスト出演が決定し、ヒトラーの政治トークは視聴者の人気を集め、一躍人気者となる・・・

5. ラブソングができるまで2007、米国
脚本・監督  マーク・ローレンス。 ヒュー・グラントのラブコメディ。1980年代に一世を風靡したバンド、PoPの元ボーカル・アレックス(ヒュー・グラント)の元に人気歌手のコーラ(ヘイリー・ベネット)から新曲の提供の依頼がきた。曲を作りあぐねている時にたまたま水やりに来たソフィー(ドリュー・バリモア)が口ずさんだ歌を聴き、その才能を直感し作詞を依頼。

6. 永い言い訳(2016)
原作・脚本・監督:西川美和 自身の直木賞候補作を映画化。元木雅弘主演。第71回毎日映画コンクール:主演男優賞(本木雅弘)・監督賞(西川美和) 
テレビにも出演する人気作家の衣笠幸夫は、妻(美容室経営)の夏子(深津絵里)が友人とともに旅行に出かけるのを見送ったその日に、彼女が事故死したことを知らされる。

7. たそがれ清兵衛(2002    
 藤沢周平原作。監督 山田洋次。山田監督初の時代劇。真田広之主演。
第26回日本アカデミー賞:最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀脚本賞・最優秀主演男優賞・最優秀主演女優賞・最優秀助演男優賞・最優秀音楽賞(冨田勲)・最優秀照明賞・最優秀美術賞・最優秀録音賞・最優秀編集賞

8. ショーシャンクの空に(1994、米国)
原作 スティーヴン・キング 監督・脚本:フランク・ダラボン 米国アカデミー賞7部門ノミネート。日本アカデミー賞最優秀外国映画賞。キネマ旬報ベストテン外国映画1位。1947 年、銀行員として成功していたアンディ・デュフレーンは、妻とその愛人を射殺したという身に覚えのない罪で終身刑の判決を受け、ショーシャンク刑務所に投獄される。

9.雨に唄えば(1952、米国)      
監督 ジーン・ケリー。スタンリー・ドーネン。  サイレント映画からトーキー映画に移る時代を描いたコメディあふれるバックステージ(舞台裏)・ミュージカル。ハリウッドを代表する名作のひとつ。      

10. Shall we ダンス?(1996)
監督・脚本 周防正行 第20回日本アカデミー賞全賞独占(最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞・最優秀主演女優賞・最優秀助演男優賞(竹中直人)・最優秀助演女優賞(渡辺えり)・最優秀脚本賞・最優秀音楽賞・最優秀編集賞・最優秀録音賞・最優秀照明賞・最優秀美術賞)
仕事や家庭に何の不満もない杉山正平。しかし、彼には満ち足りない何かがあった。正平は、ある日の会社の帰り、電車の中から見えるダンス教室の窓に、物憂げに佇むひとりの女性・岸川舞を見つける。

11. ボーン・アイデンティティ(2002、米国)
監督  ダグ・リーマン。記憶を失った男ジェイソン・ボーン(マット・デイモン)を巡るサスペンス・アクション映画。原作はロバート・ラドラムのベストセラー・サスペンス小説『暗殺者』。

12.舟を編む(2013)
原作 三浦しをん。辞書を作る編集者たちの物語。本屋大賞受賞のベストセラーの映画化。監督 :石井裕也。第37回日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀監督賞(石井裕也)・最優秀主演男優賞(松田龍平)・最優秀脚本賞(渡辺謙作)・最優秀録音賞(加藤大和)・最優秀編集賞(普嶋信一)。

13. 時をかける少女(2006)    
 監督 細田守。第10回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞、第30回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品。一躍、細田監督を内外共に有名にした大ヒットアニメ。 筒井康隆のジュヴナイル小説を原作とするが、時代設定や内容を変えてある。

14. 言の葉の庭(2013)
監督 新海誠。「iTunes Best of 2013今年のベストアニメーション」選出。「君の名は。」の新海誠の46分の中編アニメ。その自然描写(8割が雨のシーン)の凄さが内外で驚きを与えた。

15. タイタニック(1997、米国)
監督:ジェームズ・キャメロン。第20回米国アカデミー賞11部門最優秀賞受賞。1912年のタイタニック沈没事件をテーマにしたサスペンス・ラブロマンス。

2017/08/12

【名物講義紹介:表現と批評】




「メディア好き」の集まるコミュニケーション学部には、実際に作品を制作するワークショップに加え、映画をはじめとした様々なコンテンツを鑑賞し議論する講義が豊富で、毎年多くの学生が受講しています。

その一つ「表現と批評」は、学部創設の1995年以来開講され続けてきた名物講義です。入場料の高さゆえ映画館を敬遠しがちな学生たちに、大きなスクリーンで名画を観る機会を提供したい。そんな思いで設置されたのだと、同講義を20年以上担当されてきた桜井哲夫先生は振り返ります。


2015年度「表現と批評」の紹介記事はこちら。)

毎回一本の映画を観て、批評文を書く。積み重ねによって文章表現力が鍛えられるだけでなく、心を動かされる映画との出会いは、生涯の財産となるでしょう。

さらに同講義では、受講生による投票ランキングも公表されています。以下、桜井先生のレポートをみてみましょう。じゃじゃん!

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 7月17日に無事、講義を締めくくり、20年にわたる講義が終了となった「表現と批評」(桜井哲夫担当)ですが、そのベスト3投票の結果がまとまりましたので、ご報告します。

表現と批評 2017−3      My BEST 3   
上映作品
1位得票数
2位得票数
3位得票数
タイタニック(1997
58

19
18
ショーシャンクの空に(1994) 
28
25
9
時をかける少女(2006)
17
21
23
バンテージポイント(2008
11
13
17
言の葉の庭(2013)
 8
10
15
ボーン・アイデンティティ(2002)
 8
 4
14
シン・ゴジラ(2016)
 7
21
16
雨に唄えば(1952)
 7
 7
 4
舟を編む(2013)
 5
10
 9
ラブソングができるまで2007
 4
 6
 5
じゃりン子チエ(1981
 4
 4
 5
帰ってきたヒトラー(2015)
 3
 8
11
永い言い訳(2016)
 3
 8
 8
Shall we ダンス?(1996)
 2
 5
 8
たそがれ清兵衛(2002
 0
 4
 4

 純粋に1位投票数だけで決めると、以上のような結果となりますが、ボルダ・ルールという決定方法では違ってきます。ボルダ方式では、この場合1位の得点を3、2位の得点を2、3位の得点を1、とします。その上で得点合計によって順位を決めるのです(参照:坂井豊貴『多数決を疑う』、岩波新書、2015年)。
 すると、どうなるか。以下のように変化します。
「シン・ゴジラ」は、1位投票数だけでは、7位でしたが、2位、3位の投票数が多かったので、その点数を加えると4位に躍進しています。

1、タイタニック(1997230
2、ショーシャンクの空に(1994)  143
3、時をかける少女(2006) 116    
4、シン・ゴジラ(2016)  79
5、バンテージポイント(200876  
6、言の葉の庭(2013) 59
7、ボーン・アイデンティティ(2002) 46   
8、舟を編む(2013) 44
9、雨に唄えば(1952) 39         
10、帰ってきたヒトラー(2015) 36
11、永い言い訳(2016) 33   
12、ラブソングができるまで200729
13、じゃりン子チエ(198125   
14Shall we ダンス?(1996) 24
15、たそがれ清兵衛(200212

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60年以上前のミュージカルから、昨夏話題になったばかりのSFまで!
この中に皆さんが知っている作品はいくつありますか。
ランキングにどんな感想を抱かれますか。

投票結果の講評とともに、この15本をラインナップされた観点について桜井先生に伺いたいところですが、もとより作品を評価するということは、コミュニケーションの始まりですね。
「私はこれが好き。君は?」
「なぜ?」
直接問いかけはしなくても、批評とは、人とかかわり、つながる手段なのだと思います。映画を観れば、誰かと話したくなってくる。

ビデオやPCだけでなく、スマホやタブレットの登場で、映画をいつどこでも「一人で」観ることが一般化しつつある時代。講義という固定された時間・空間において「集団で」映画を鑑賞すること自体、受講生にとって普段とは異なるメディア経験となり、記憶に残る名画との出会いをもたらしてきたことでしょう。

桜井先生、長年のご担当お疲れ様でした。コミ部の名物講義「表現と批評」はこれにて一旦閉幕ですが、その精神と蓄積は今後も様々な講義、ワークショップで受け継がれていくはず(受け継ぎたい!)です。

さあ、いざ夏休み。皆さんが一つでも良い映画に巡り会い、心豊かに過ごされますように。

(松永智子)

2017/08/02

コミ部 2年 山田真樹さん,デフリンピックで金メダル獲得!


大学ニュース(http://www.tku.ac.jp/news/019743.html)でも紹介されていますが、トルコ・サムスンで行われた第23回デフリンピック夏季大会で、コミュニケーション学部2年に在籍する山田真樹さんが陸上男子で金メダル2つと銀メダル1つを獲得しました!

2017
731日付けの朝日新聞では「つないだ心のバトン」というタイトルで「耳が聞こえない仲間同士のバトンパス。『歩測』(前の走者がどこまで来たら次が走り出すか、各走者の走り出す地点から逆方向にシューズ一足分ずつ距離を測る)と影を頼りに」と記事が始まり、さらに山田真樹さんについては、「授業でコミュニケーションの大切さを学び,心のバトンをつなぎたいとリレーに強い思い入れがあった」と紹介されています。

所属ゼミの大榎先生のコメントです。

『おめでとうございます!レースで勝って、ノリノリで喜びを表している山田くんの姿をYouTubeていました。山田くんは、ヴィデオ作品を制作したいと、このゼミを希望したのですが、ちょうど夏季休暇前の作品表の期に、このデフリンピックとなり、未だ、きちんと彼の作品をことができないままです。休暇明けには、このいで制作にも励んでくれるものと期待します。』

帰国した彼には、たくさんの祝福とともに課題も待っているということでしょうか、、。

彼が帰国したらもう一つ聞いてみましょう。

 「山田くん、世界ってどんなところでしたか?」