2014/07/29

身体表現ワークショップ いざ「勝負」!

 中村理恵子です。

 あるときは古(いにしえ)の形武道を稽古し、あるときはスタジオにオートクチュールのウェディングドレスが持ち込まれ、またあるときはキッチンスタジオに出向いて包丁をふるう。「杖道とアート・作動する賢い身体」は、まるで関係ないようなワークショップをつぎつぎと繰り出していますが、「アートの原点は、世界とマジ(本気!)で向き合う身体と、身体の外との作用の痕跡です(シラバスより)」というコンセプトは一貫しています。
 どんな生き方をしてもどんな職業を選んでも、そこには、愛すべき日常と節目節目の勝負時ってもんがあります。日常と非日常が交差する現実の中で、本気!が起動する、本気!が宿る現場を、優れたゲスト講師たちに導かれて体験します。
 今回ご報告する『勝負食』と『勝負服』もまた、「本気のデザイン」をテーマにしています。

 ●勝負食を妄想するワークショップ2014

ゲスト講師:磯村みよ子先生(フードコンサルタント)
 講師目線で、超絶千切りキャベツ指導


 動画(うまく見られないとき)http://youtu.be/4Uo35rK7T20
 詳細ページ http://rieko.jp/lab/?p=3853
 
 明日就活、明日試験、あるいは大事なミーティングというとき、自らを調え、鼓舞して成功へ導く、そんな夢みたいな食事ってあるんでしょうか? ゲスト講師は、三道(居合、剣道、杖道)に通じた武女でもあり雑誌やテレビでご活躍の磯村みよ子さんにお願いしました。
 題して、「食べずに眠れるかい!明日のパワーと集中力を高めてぐっすり睡眠!」。先生のキッチンスタジオにおじゃまして、2014年度版【勝負食】に真っ向から挑みました。  ウェアラブルカメラでとらえた先生の手元映像「超絶技法キャベツの千切り」と、それを倣う受講生の手元映像「たんなるキャベツの千切り」、必見です。

 ●勝負服ワークショップ・ウェディングドレス編 杖道とウェディングドレス」

ゲスト講師:松居エリ先生(ウェディングドレスデザイナー)


 動画(うまく見られないとき)http://youtu.be/pIaHzgjGfmQ
 詳細ページ http://rieko.jp/lab/?p=4002

  「究極の勝負服ですよね、ウェディングドレスって……」と語り始める講師の松居エリさん。
 はじめてみるオートクチュール一点ものクォリティのドレスは、まるで精巧なタイムカプセル、あるいは一人乗りの宇宙船を思わせます。
 ふわっと置かれたドレスの真ん中に、花嫁さんがセットされハレの場に送り出す。そんな乗り物にも見えるのです。当日は、受講生の中からモデルを募り試着してリハーサルを経て舞台へ。

 ※これらのワークショップは、ゲスト講師や受講生みんなの奮闘を追体験できるように、ウェアラブルカメラを装着しての映像や、3時間あまりのワークショップをぎゅっと圧縮したタイプラプス(微速度撮影)映像、そのほか静止画、感想シート含めて全公開しています。

2014/07/28

第1回オープンキャンパスのご報告

好天のもとでの第1回オープンキャンパス。
おかげで大勢の方に参加いただきました。

コミュニケーション学部の学部説明会は満員御礼でした(何人はいる教室だったのでしょうか)。イマジンやイムジン河が流れた体験授業も好評でした。
大会議室での個別相談も、予定の15時をすぎても終わらないぐらいの活況。

メディア工房も開け、見学してもらいました。ここの自慢は機材はもちろんですが、充実したスタッフが最大の魅力です。いずれ、ご紹介しましょう。

昨日はうれしい悲鳴をあげた一日でした。
次回のために、悲鳴の練習をしますw

次回は8/23、24です。

2014/07/26

7/27はオープンキャンパス

7月27日(日)

 デジタルパンフレット→
 タイムスケジュール→

▼時間
9:30 受付開始
10:00~15:00

▼主なプログラム
1. 総合ガイダンス(10:00〜10:40)4号館
 各学部のセールスポイント、体験授業の見どころをお話しします。

2. 個別相談・資料配布(10:30〜15:00)6号館7階 大会議室

3. 学部説明会(11:00〜11:30)5号館2階 E202
 コミュニケーション学部の理念と特徴、来年度から始まる新しいカリキュラム、コミュニケーション学を学ぶ意義について、川浦康至(コミュニケーション学部長)が紹介します。

4. 体験授業(11:40〜12:20)5号館2階 E202
 本橋哲也「歴史をグローバルに見直すと、世界はこう見えてくる」
 私たちが生きている時代はよく「グローバリゼーションの時代」と言われますが、「全球化」は近年に始まったことではなく、15世紀末からの「ヨーロッパ的近代」にその淵源の一つがあります。近代史をその視点から辿ると今の世界のあり方も違って見えてくることでしょう。

5. 留学プログラム説明(12:30〜、13:20〜)5号館2階 E204
 各30分

教職員一同、ご来場をお待ちしています。

2014/07/25

2014年「表現と批評」私のベスト3

桜井哲夫です。

今年度の「表現と批評」、私のベスト3の投票結果がまとまりました。Blu-ray化されていない5位と11位以外はすべてBlu-ray版です。

1. 「ピンポン」(日本、2002年)29票
2. 「鍵泥棒のメソッド」(日本、2012年)27票
3. 「ダイ・ハード」(米国、1988年)22票
4. 「魔法少女まどか☆マギカ(前編)」(日本、2012年)21票
5. 「海の上のピアニスト」(イタリア、米国、1999年)16票
6. 「雨に唄えば」(60周年デジタルリマスター版、米国、1952年)15票
7. 「ミッドナイト・イン・パリ」(米国、2013)14票
8. 「魔法少女まどか☆マギカ(後編)」(日本、2012年)9票
9. 「魔法少女まどか☆マギカ 新編」(日本、2013年)7票
10. 「SHORT PEACE」(日本、大友克洋ほか、2013年)5票
11. 「イル・ポスティーノ」(イタリア、1994年)4票
12. 「ミラーズ・クロッシング」(米国、1990年)3票  

結果報告
 「ピンポン」は、今年春からアニメ放送が行われ、評判が高かったので見せたのですが、想像以上に実写版に反応が出ました。宮藤官九郎脚本で、本学出身のARATA(現・井浦 新)の映画デビュー作で、彼はこれでモデルから演技派俳優へと転身しました。 
 2位は、内田監督の脚本の凄さを知ってもらおうと見せました。映画には脚本がいかに重要かを知ってもらいたいと思い、上映しました。
 3位の「ダイ・ハード」は、大きいスクリーンで見たことがないだろうと思い、上映しましたが、さすがに反応が大きかった。30回以上もDVDで見ているというコアなファンもいましたが、大きなスクリーン(250インチ)で初めて見て、この映画の凄さを知ったという批評が多かったのが特徴です。
 4位の「まどか☆マギカ」は、大ヒットした割には、題名や絵柄で損をしていて、見ていない人が多いので、前編、後編、新編を3週連続で見せました。海外でも高い評価を得ている日本アニメ界が生み出した傑作です。3本にわかれましたのでトップでありませんが、合わせれば1位です。
 5位は、意外でした。上映作品のうち、Blu-rayになっていないのは、この映画と「イル・ポスティーノ」だけで、画質はよくないのですが、ティム・ロスの演技と映像と音楽の効果ですね。これなど学生で見たことのある者など皆無でした。
 6位の「雨に歌えば」は、公開60周年でデジタル・リマスターのBlu-rayが出たので見せたのですが、大スクリーンで見るとアメリカのリマスター技術がすごい。公開当時の画質を復元しているようで綺麗でした。往年のスターの身体芸と歌がどれほどすごかったかを堪能してもらいました。
  7位の「ミッドナイト・イン・パリ」は、ウッディ・アレン監督・脚本で、米国アカデミー賞脚本賞受賞作品です。タイムスリップもので、1920年代のパリにタイムスリップしたハリウッドの脚本家が、ヘミングウェイやフィッツジェラルド、ピカソなどに遭遇するファンタジーです。
 10位のアニメ短編連作4本のうち、「九十九」は米国アカデミー賞短編アニメ賞にノミネートされました。大友克洋の『火要鎮』(ひのようじん)は、第16回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞 第67回毎日映画コンクール大藤信郎です。現在最高レベルのアニメ技術の産物です。
 11位は、知られざる傑作でしょう。Blu-ray化されていないので、ネットではDVDが高額取引されてます。イタリアのカプリ島での亡命してきたチリのノーベル文学賞受賞の詩人パブロ・ネルーダと郵便配達夫の青年の交流を描きます。カプリの海の青さのなかでゆったりとした時間がながれます。
 12位、女子学生には不評でしたが、好きな人間にはたまらないマフィアものです。カンヌ映画祭の常連監督で現代アメリカを代表するジョエルとイーサンのコーエン兄弟の初期作品です。アイルランドマフィアの内部抗争を描くスタイリッシュな映画です。

   

「表現と批評」2004年-2014年 上映作品

桜井哲夫です。
「表現と批評」で、この10年で上映した作品をご紹介します。

 コミュニケーション学部の名物講義「表現と批評」は、学部創設時の1995年から続いてきた講義です。日本は不合理な映画興行システムのために入場料がバカ高い国です。欧米では1000円以下でロードショーを見ることができるのに、興行システムの歪みのため、学生が映画を見なくなってきた状況を憂えた教員たちが、大きなスクリーンで映画をみせよう、とこの講義を考えつきました。
 最初は、三人くらいの教員の分担でしたが、何年か後から桜井が、ずっと一貫して担当してきました。上映用のDVD、Blu−rayは、すべて桜井の私物です(1400本以上のDVD、Blu−ray所有)。この講義は、毎回、上映した映像の批評文を提出させて成績評価をする講義です。毎回きちんと批評文を書いていれば、知らず知らずのうちに、文章表現力が身につきます。
 さて、あなたがたは、この10年間の映画(2006年度は、研究休暇のためお休み)をどのくらい知っていますか?過去に見たことのある映画はありますか?また2回上映している映画もいくつかあります。さてどれでしょうか?

2004年
1. ギャラクシー・クエスト(アメリカ合衆国、1999)
2. 戦場のピアニスト(フランス=ポーランド、2002)
3. 北京ヴァイオリン(中華人民共和国、2002)
4. ローマの休日(アメリカ合衆国、1953)
5. 機動警察パトレイバー 2(日本、1993)
6. 12人の優しい日本人(日本、1991)
7. ラストサムライ(アメリカ合衆国、2003)
8. ペーパームーン(アメリカ合衆国、1973)
9.カルメン(スペイン、1983)
10. 愛と哀しみのボレロ(フランス、1981)
11. インファナル・アフェア(香港、2002)
12. スミス都へ行く(アメリカ合衆国、1939)

2005年
1 スクール・オブ・ロック(アメリカ、2003年) 
2 スウィングガールズ(日本、2004年)   
3 冒険者たち(フランス、1967年)
4 砂の器(日本、1974年)         
5 ガタカ(アメリカ、1997年)          
6 風の谷のナウシカ(日本、1984年)
7 用心棒(日本、1961年)      
8 モーターサイクル・ダイアリーズ(アメリカ=イギリス、2003年) 
9 薔薇の名前(フランス・西ドイツ・イタリア、1986年)
10 お熱いのがお好き(アメリカ、1959年)   
11 大いなる西部(アメリカ、1958年)       
12 霧の中の風景(ギリシャ=フランス、1988年)

2007年
1 ニッポン無責任野郎(日本、1962)
2 時をかける少女(日本アニメ、2006)
3 炎のランナー(英国、1981)
4 父親たちの星条旗(米国、2006)
5 硫黄島からの手紙(米国、2006)
6 ゆれる(日本、2006)
7 太陽がいっぱい(フランス、1960)
8 青春デンデケデケデケ(日本、1992)
9 リトル・ダンサー(英国、2000)
10 ジャッカルの日(米国、1973)
11 ニュー・シネマ・パラダイス(イタリア、1989)
12 麦秋(日本、1951)

2008年
押井守の世界
1 「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」1984年
2 機動警察パトレイバー the Movie 1989年
3 機動警察パトレイバー  2  the Movie 1993年
4 攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL 1995年                                  
5 イノセンス INNOCENCE  2004年
6 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man 2005年                            
7 攻殻機動隊  STAND ALONE COMPLEX Individual Eleven    2006年 
8 人狼  JIN-ROH  2000年
9 アヴァロン  AVALON  2001年
10 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序』(庵野秀明監督、2007年)
11「鉄コン筋クリート」(マイケル・アリアス監督 原作:松本大洋、2006)

2009年
1 アフタースクール(日本、2008年)
2 それでもぼくはやってない(日本、2007年)
3 AKIRA(日本、1988年)
4 たそがれ清兵衛(日本、2002年)
5 少年時代(日本、1990年)
6 ハッピーフライト(日本、2008年)
7 がんばっていきまっしょい(日本、1998年)
8 のど自慢(日本、1998年)
9 キッズ・リターン(日本、1996年)
10 天空の城ラピュタ(日本、1986年)
11 雪に願うこと(日本、2006年)
12 ALWAYS 三丁目の夕日(日本、2005年)

2010年
1 新海誠の世界「ほしのこえ」(2002年)「秒速5センチメートル」(2007年)
2「ディア・ドクター」(日本、2009年) 
3「グッド・ウィル・ハンティング」(米国、1997年) 
4「ショーシャンクの空に」(米国、1994年)
5「サマーウォーズ」(日本アニメ、2009年)
6「北京ヴァイオリン」(中国、2002年)
7「グラン・トリノ」(米国、2008年)
8「ぼくらはみんな生きている」(日本、1992年)
9「遠い空の向こうに」(米国、1999年)
10「さよなら子供たち」(フランス、1987年)
11「コミットメンツ」(アイルランド・英国、1991年)
12「トキワ荘の青春」(日本、1996年)
13「遙《はる》かなる山の呼び声」(日本、1980年)

2011年
1960年代の映画を読み解く
1 A HARD DAY’S NIGHT(英国、1964年)
2 地下鉄のザジ(フランス、1960年)
3 乾いた花(日本、1964年)
4 メリー・ポピンズ(米国、1964年)
5 冒険者たち(フランス、1967年)
6 天国と地獄(日本、1963年)
7 卒業(米国、1967年)
8「男と女」(フランス、1966年)
9 砂の女(日本、1964年)
10 ロシュフォールの恋人たち(フランス、1967年)
11 明日に向って撃て(米国、1969年)
12 サウンド・オブ・ミュージック(米国、1965年)

2012年 
日本アニメ史の試み
1、『白蛇伝(はくじゃでん)』 (1958年)
2、『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)
3、『銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999)』(1979年)
4、『ルパン三世  カリオストロの城』(1979年)
5、『風の谷のナウシカ』(1984年)
6、『AKIRA』(1988年)
7、『機動警察パトレイバー2』(1993年)
8、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版・序』(2007年)
9、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009年)
10、『千年女優』(2002年)
11、『秒速5センチメートル』(2007年)
12、『時をかける少女』(2006年)
13、『東のエデン 総集編Air communication』(2009年)
14、『となりのトトロ』(1988年)

2013年
1. 塩田明彦「どこまでもいこう」(1999)   
2. 吉田大八「桐島、部活やめるってよ」(2012) スピンオフ短編「宮部実果」
3. 庵野秀明「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(2012) 「巨神兵、東京に現わる」   
4. 細田守「おおかみこどもの雨と雪」(2012)
5. ブライアン・ヘルゲランド「ロック・ユー! 」(2001) 米国            
6. ジャコ・ヴァン・ドルマル「トト・ザ・ヒーロー」(1991)ベルギー・仏・独合作
7. 山下敦弘「天然コケッコー」(2007)       
8. マイケル・アリアス 原作:松本大洋「鉄コン筋クリート」(2006)
9. エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ「最強のふたり」(2011)フランス     
10. ロマン・ポランスキー「ゴーストライター」(2010)、仏・独・英、合作
11. 新海誠「言の葉の庭」(2013)       
12. 沖浦啓之「人狼」(2000、原作・脚本:押井守)
13. 小津安二郎「東京物語(ニューデジタルリマスター版、2013)」(1953)        
14. ミロス・フォアマン「アマデウス(完全版)」(米国、1984、Blu-ray完全版/2013)

2014年
1.「SHORT PEACE」(日本、大友克洋ほか,2013)
2.「ミッドナイト・イン・パリ」(米国、2013)
3.「ミラーズ・クロッシング」(米国、1990年)      
4.「魔法少女まどか☆マギカ(前編)」(日本、2012年)
5.「魔法少女まどか☆マギカ(後編)」(日本、2012年) 
6.「魔法少女まどか☆マギカ 新編」(日本、2013年)
7.「ピンポン」(日本、2002年)    
8.「海の上のピアニスト」(イタリア、米国、1999年)   
9.「雨に唄えば」(60周年デジタルマスター版、米国、1952年)
10.「ダイ・ハード」(米国、1988年)  
11.「鍵泥棒のメソッド」(日本、2012年)   
12.「イル・ポスティーノ」(イタリア、1994年)

2014/07/24

TEDでメディア・コミュニケーションの理解を深める

 東経大コミ部の柴内です。

 TEDをご存じの方も多いと思います。

 もともと「テクノロジー」「エンターテインメント」「デザイン」の三分野での先端的なプレゼンテーションを行うイベントとしてアメリカで始まったものですが、いまではこれらの分野に限らない多彩な講演が世界中で行われると共に、オンラインでも見られるようになっています( http://www.ted.com/ )。NHK・Eテレの『スーパープレゼンテーション』という番組でも解説付きでTEDの講演が流されており、それを見たことのある人もいるかもしれません( http://www.nhk.or.jp/superpresentation/ )。一講演20分くらいの、それほど長いものではありませんが、深く考えさせられるものが多いです。
 これらの講演はコミュニケーション学部の学びと関係するものも多く、実際に(複数の大学での)私の授業やゼミで見せたこともあるのですが、その中で特にコミュニケーションやメディアの問題を考える上でヒントになるものを、過去5年間くらいの間の範囲で選びました(日本語字幕付きに限定)。
 以下、私の見立てで5つにジャンル分けをしたので、まずそれぞれについて解説していきましょう。

 「(1) コミュニケーションの変化がもたらす力とは?」は、インターネットやソーシャルメディアで人々の力が結集する結果、何が生み出されるのか、特にその肯定的な面を考える手がかりとなる講演を集めています。ここで取り上げた演者がクレイ・シャーキーです。彼には『みんな集まれ!ネットワークが世界を動かす』( http://www.amazon.co.jp/dp/4480863990 )という著作があります(東経大コミ部編『コミュニケーション学がわかるブックガイド』(NTT出版) http://www.amazon.co.jp/dp/4757103468 で、この本の解説を私が書きました)。でも、インターネットは人々をつなぎ、プラスをもたらすばかりなのでしょうか。ネットによる人々のつながりが、全面的によいものとは限りません。目立ちにくいその問題点をどうやって克服できるか、というテーマでまとめたのが「(2) デジタルでつながることが作り出す問題点とは?」です。(1)(2)は各一つずつでもよいので、あわせて見ると視野が広がります。ネットやソーシャルメディア、あるいは携帯電話は、人々をつなぐツールですが、このことは私たちの友人や家族をはじめとした人間関係そのものにどのような影響を与えたのでしょうか。「(3) オンライン時代の人間関係のあり方とは?」に取り上げた二つの講演は、異なった立場からそれを考えるもので、これは二つあわせて見たいところです。そして、つながり・ネットワークとはそもそも何か、その本質的な意味を考えるためには「(4) 「つながり」の持つ意味」が参考になります。ここまではインターネットとコミュニケーションそのものをめぐる考察が多かったのですが、それが生み出している新たな社会現象、といった側面からのいくつかの講演を「(5) オンライン化された社会で起こる変化」にまとめました。

 5年前より古い(!)などの理由で落とした、大事な議論もたくさんあるのですが、いつかまた紹介できればと思います。こうして集めていくと、ちょうど半年の授業回数くらいになります。毎回これらを見ながら考える講義・ゼミなどやってみても面白いですね。

 (1) コミュニケーションの変化がもたらす力とは?
 クレイ・シャーキー 「インターネットが (いつの日か) 政治を変える」(2012)
 クレイ・シャーキー 「思考の余剰が世界を変える」(2010)
 クレイ・シャーキー 「ソーシャルメディアはいかに歴史を作りうるか」(2009)

 (2) デジタルでつながることが作り出す問題点とは?
 イーライ・パリザー「危険なインターネット上の「フィルターに囲まれた世界」」(2011)
 ジェニファー・ゴルベック「カーリー・フライの謎解き : ソーシャルメディアでの「いいね!」があなたの秘密を明かす?」 (2013)
 イーサン・ザッカーマン「グローバル・ボイスに耳を傾ける」 (2010)

 (3) オンライン時代の人間関係のあり方とは?
 ステファーナ・ブロードベント「インターネットによる親密な人間関係の構築」(2009)
 シェリー・タークル 「つながっていても孤独?」(2012)

 (4) 「つながり」の持つ意味
 ニコラス・クリスタキス「社会的ネットワークの知られざる影響」 (2010)
 アーロン・コブリン「人間性を巧みに描く」 (2011)

 (5) オンライン化された社会で起こる変化
 ジョハナ・ブレクリー「ソーシャルメディアとジェンダーの終焉について」(2010)
 アダム・オストロー「生涯最後の近状報告をしたあと」 (2011)
 フアン・エンリケス「タトゥーのように残るあなたのオンラインライフ」 (2013)

2014/07/22

TKU CAREER NOTE

関沢先生が作りました!
「TKU CAREER NOTE」
高校生のためのキャリアガイド。

「売る」や「伝える」など、15個の動詞で、キャリア形成と職業を解説していきます。

オープンキャンパスでも配布します。詳しくはこちら

2014/07/13

オープンキャンパス・スケジュール

コミュニケーション学部オープンキャンパスの予定をお知らせします。

▼開催日時
7/27(日)  8/23(土) 8/24(日)
(9:30 受付開始)
10:00~15:00
▼会場
5号館2階 E202
▼プログラム
1. 総合ガイダンス(10:00〜10:40)
 各学部のセールスポイント、体験授業の見どころをお話しします。
 7/27は柴内康文先生、8/23、24は北山聡先生が担当します。

2. 学部説明会(11:00〜11:30)
 コミュニケーション学部の理念と特徴、来年度から始まる新しいカリキュラム、コミュニケーション学を学ぶ意義について、川浦康至(コミュニケーション学部長)が紹介します。

3. 体験授業(11:40〜12:20)
 7/27 本橋哲也*「歴史をグローバルに見直すと、世界はこう見えてくる」
 私たちが生きている時代はよく「グローバリゼーションの時代」と言われますが、「全球化」は近年に始まったことではなく、15世紀末からの「ヨーロッパ的近代」にその淵源の一つがあります。近代史をその視点から辿ると今の世界のあり方も違って見えてくることでしょう。

 8/23 関沢英彦**「コミュニケーションは楽しい−アイデア・発想・広告」
 私たちは、自分の頭の中で、言葉やイメージを使って、コミュニケーションをします。それが発想。そして、どうしたら人に伝わるかを考えます。広告をテーマに「コミュニケーションの楽しさ」を感じて下さい。社会でイキイキ活躍する実力がつくコミ部です。

 8/24 松永智子***「高校野球はいかにして『夏の風物詩』になったのか?:歴史から考えるメディア社会」
 「夏といえば高校野球」。私たちはいつからそうイメージするようになったのでしょう。新聞社が主催し、放送局によって中継される高校野球は、メディアの発展とともに社会に浸透していきました。その歴史を読み解くことで、メディアが作る「みんなの記憶」の仕組みに迫ります。

 みなさんの来場をお待ちしています。
 当日は暑くなるかもしれませんが、それに見合うだけの経験が得られるものと自負しています。ゼミ紹介冊子『119+3 Voices』もお配りします。

《講師紹介》
*本橋哲也(1955年、東京生まれ)
 専門分野はイギリス文学、カルチュラル・スタディーズ。東京都立大学人文学部を経て、東京経済大学コミュニケーション学部教授。主著に『本当はこわいシェイクスピア』講談社、『深読みミュージカル 歌う家族、愛する身体』青土社。

**関沢英彦(1946年、東京生まれ)
 「広告論」や「生活者発想とコミュニケーション」を担当。博報堂でコピーライターとして活躍、博報堂生活総合研究所を経て、東京経済大学コミュニケーション学部教授。博報堂生活総合研究所顧問・エグゼクティブフェロー、博報堂DYメディアパートナーズメディア環境研究所客員研究員。主著に、『生活という速度―歩く。見る。変わる。』新宿書房、『いまどきネットだけじゃ、隣と同じ! 「調べる力」』明日香出版社。

***松永智子(1985年 福岡県生まれ)
 専門分野はメディア論、国際コミュニケーション、言語政策。本年4月から東京経済大学コミュニケーション学部専任講師。「出版メディアにおける『武士道』と『1Q84』のあいだ」佐藤卓己ほか編『ソフト・パワーのメディア文化政策』新曜社、「『ニューズウィーク日本版』―論壇は国際化の夢を見る」佐藤卓己ほか編『日本の論壇雑誌: 教養メディアの盛衰』。

2014/07/12

出前から戻りました

国際展示場駅に着くと、ホームは高校生で占拠され、かれらの熱気で暑く感じるほどです。

開場の1時間前にもかかわらず、改札の外には会場に向かう長蛇の列ができています。みんな日陰を求めて歩くので、列がわかりやすいのです。

東経大コミュニケーション学部は「メディア学・情報学」ブースに出展しました。

11時から17時半の6時間半、ひっきりなしに高校生たちがやってきました。

テレビ局志望の高校生(なかでもドラマ志向)、キャッチフレーズを学びたいという高校生、ジャーナリスト志望の高校生たちが寄ってくれました。アナウンサー志望の人は実況中継する自分の声を録音してきて聞かせてくれました。これがすごい!

「夢がない」と話す高校生もいました。そうであっても大学では勉強できるし、むしろ勉強する価値がある。そのことを伝えると、ほっとした表情を見せてくれました。この高校生と話せただけでも来た甲斐がありました。

終了後は、有楽町で途中下車、打ち上げ。ビールで乾杯。月もよく見える屋外で。そう、今夜はスーパームーン

2014/07/11

コミ部の出前

7/12(土)、国分寺のコミュニケーション学部が有明に出前します。

夢ナビライブ2014

5名の教員▼が、コミュニケーションやメディア、広告・PR、情報。さらにはマーケティングや社会心理学、文化人類学の勉強の相談に乗ります。

寄ってくれた人にはコミュニケーション学部を受験してほしいと思っていますが、同時に、あるいはそれ以上に、一人でも多くの受験生がコミュニケーションに関心を持ってほしい。そういう気持ちでの参加です。

幸い,明日は天気もよさそうです。みなさんの来場をお待ちしています。

▲参加教員
  • 成分八女茶100%、前世はウグイス。それは松永智子(メディア文化論)
  • ヨガもすなる深山直子(文化人類学)
  • カメレオンメガネ男子と呼んでください。北山 聡(情報産業論)
  • いかようにも。佐々木裕一(インターネットマーケティング)
  • 寒いギャグおじさんこと川浦康至(社会心理学、コミュニケーション論)

2014/07/09

コミ部のポリポリ、もひとつポリ

東経大コミュニケーション学部は来年度、4専攻制から3コース制に変わります。

  • グローバルコース(異文化とことばを学ぶ)
  • メディアコース(メディアとコミュニケーションを学ぶ)
  • 企業コース(広告と広報を学ぶ)

それとともに、今回、学部の憲法とも言うべき、ポリシー類を見直しました。

  • アドミッションポリシー
  • カリキュラムポリシー
  • ディプロマポリシー

いずれもなじみのない言葉なので、多くの大学では日本語を併記しています。個人的にはどちらか一方でいいと思うのですが、こんな感じです。

  • アドミッションポリシー(入学者受入方針)
  • カリキュラムポリシー(教育課程編成実施方針)
  • ディプロマポリシー(学位授与方針)

3つのポリシーを今月中に公開すべく、学部間で調整中です。

ポリシーは、いわばコミュニケーション学部の理念。一人でも大勢の方に知っていただき、そのうえで入学されることを願っています。