贈呈式は東経大創設者である大倉喜八郎が作った帝国ホテルで3月20日に行われました。そこではじめて私も審査経緯を聞かされたのですが、このページにあるように、『ソーシャルメディア四半世紀』を書くにあたり私が意図していたことがいずれも高く評価されていて、大変嬉しい気持ちになりました。
その1つが大量のインタビューのコメント引用が「臨場感豊か」と良い意味で評価されたことです。これは読み物として飽きさせない工夫でしたが、学術的成果っぽくなく見えるという点を孕んでいました。本の表紙もド派手なピンクだったわけで。
けれどもそれは杞憂で、審査委員長からは「読み物としてもすごい引き込まれるんだけど、研究フレームと論理構成もしっかりしていて非常に優れていた」と褒めていただきました。
もう一点「インターネット空間の先を見通し、あえて立法や行政主導の規制の必要性にも触れているという点は類書にはない指摘」という評価があり、こちらは実は私には意外でした。
法学者の審査員の先生と話すと「役所の政策検討委員会では、市場に任せてイノベーション重視という考え方が圧倒的に強い。昨今は社会的リスクも踏まえ規制議論も高まっているが、その指摘を説得的に日本の書籍として盛り込んだものは少ない」とのことでした。
記念講演のようす |
さて、トケコム学生へのメッセージ。
拙著の「あとがき」ではトケコムの教員5名が登場します。北山聡さん、柴内康文さん、北村智さん、光岡寿郎さん、そして昨年度末に退職された西垣通さんです。この他の先生も含めて、トケコムのメディアコミュニケーション研究は非常に高いレベルにあります。まずそこはよく知った方が良いですよ。
さらに言うと、変化するメディア環境とコミュニケーションに敏感で、それが行動で示されているのがトケコム。授業科目も積極的に変えて現代的な教員を採用していますし、ゼミもどの学部より重視されています。卒業研究も当たり前に必修です。
そういう文化に惹かれて集ってきた優れた研究者と日常的に話をしていたことが、私の今回の受賞にもつながったわけで、だから、学生もそういった教員との「おしゃべり」を大事にするべき。
「おしゃべり」としたのは、目的ありきの「議論」ではないということ。実はそういう一見他愛のないやりとりに学生にとっての研究のタネが転がっているし、そういうタネを引き出せることがハイレベルのトケコム教員の条件になっています。知らなかったでしょ、そんなこと。
ということで、学生のみなさん、とにもかくにもまずは教員との「おしゃべり」を。
私の電気通信普及財団賞に関するブログポストもさすがにこれで終わりです。2度もありがとうございました。新学期からまた張り切ってやるつもりです。
【追伸】光岡先生も学部教育について良いこと書いているのでこちらも読むと良いでしょう。
「コミュニケーション学」の海へ漕ぎだすために
https://comtku.blogspot.com/2019/03/blog-post.html
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