2020/05/15

トケコム就職状況 その1...「率」の話

コロナ禍終息にはまだ少し時間がかかりそうです。それでも大学では授業が始まり、みなさんは学生としての生活感覚が少し戻ってきたかもしれません。だったらもう少し先の話をしてみましょう。そう、学生の多くが近い将来に直面する就職の話。就職委員という立場で今回は佐々木が書きますね。

2019年度のデータが揃いました。大学全体での「卒業生」就職率は87.4%。これは就職決定者数を卒業生数で割った数字です。昨年と0.3ポイント減少とほとんどかわりません。これとは別に就職を希望した学生数で割った「希望者」就職率は96.7%でした。こちらは前年から0.8ポイント増。

ではトケコムはというと、
・卒業生就職率:86.4%
・希望者就職率:98.5%
大きな差はありませんが、希望者就職率は4学部で見ると最も高いのは事実。

男女で見ると、それぞれの就職率は
・男子 86.9%、98.9%
・女子 86.0%、98.0%
となりました。



では、この数字をどう解釈したら良いのでしょうか。ある人は「希望すれば100%近く就職できるのだな」と思うでしょう。それは正しい。

でも一言言いたいです。100%近く入れるのは「選り好みしなければ」ということです。

仮に希望者就職率が100%であっても一定数は「大して行きたくもない会社」に入ります。また本人の満足度が高かったとしても、すぐれたビジネス感覚のある大人がみれば「冴えない会社」に入る学生がいるのも事実です。そしてこれはトケコムや東経大に限った話ではありません。どんな大学に通っていても、無知で準備不足の学生はそのような良くない選択をするのです。

さてちょっと話題を変えてみましょう。

毎年発表される「東大合格者数ランキング」なるものがあります。このランキング、実は10年でけっこうな変化があります。なぜでしょうか。それは「東大合格者数ランキング」がわかりやすくてけっこう多くの人が関心を寄せる指標だからです。だから多くの高校は東大に合格させるためにあの手この手を考えます。そうして受験者と入学者を確保します。

わかりやすいのは「文武分担」と時に揶揄されるもの。スポーツで全国大会を目指す生徒と、東大合格をひたすら手伝う「特進クラス」の生徒を別にしてそれぞれで学校の知名度を上げようというケースです。

東大なんて関係ないよ、という読者もいるかもしれません。でも人びとのランキング好きという性質から、このようなランキングは東大以外にも、早慶、MARCH...と次々と増えていき、高校の先生たちの一定数はそれを意識せざるをえないわけです。

こういう非常にわかりやすい指標があると、10年でけっこうな変化が起きます。なぜならば人びとが対策をとり、行動レベルで変化するからです。でも高校のランクほど、大学のランクは短時間で変わらないですよね。それは「東大合格者数ランキング」と似たわかりやすい決定的なランキングが大学と就職の世界にはないからです。偏差値? それは大学に入る時点でのランキングです。東大入学は高校を出たあとの話ですから。

大学の出口である就職への強さに「××会社への就職数」という個別の会社への就職数はほとんど関係ない。出しても大して意味がないから話題にもなりません。会社はあまりに多様ですし、新陳代謝も激しいので。日本の大学数は700強しかありませんが、会社の数は400万!!以上あり、会社の寿命は平均24年ほどですから。だからどこの大学も「卒業生就職率」と「希望者就職率」しか出しようがないのです。

では就職「率」だけではなく就職「質」ということは考えられないのでしょうか? これはトケコムがどのくらい就職に強いのかを考えることでもあります。

次の記事ではそのことについて考えてみたいと思います。

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