2020/05/09

【ここまでコミするオンライン授業】第1回   A型:メディアコミュニケーション基礎


 こんにちは。コミュニケーション学部の山下玲子です。「ここまでコミするオンライン授業」シリーズの記念すべき(?)第1回を務めさせていただきます。

 私が担当しているコース必修の「メディアコミュニケーション基礎」は、A型で授業を進めています。A型の授業って、毎週資料を読んで課題を提出するだけなの?それって、手抜きじゃないの?と思われるかもしれません。いえ、そんなことはありません。毎回の授業は、文章が書かれた資料をmanaba(大学の学習支援システム)上にアップして、学生から課題が提出されるのを待っている、そんなのんきなものではないのです。

<読んでも聞いてもわかる資料をマルチデバイス対応で配信>
 私の授業の場合、本来の授業の時間割は金曜の1限です。学生にできる限り金曜日にしっかり勉強してもらえるよう、毎回の学習に使う資料は、水曜日にアップしています。資料は、もともと対面式の授業で使っていたパワーポイントに、音声を追加しています。パワーポイントは、かつて聴覚障害の学生が履修する中で授業を行った経験から、できる限り、読めばある程度わかるように作ってあります。さらに、学生に「生」の授業での学習を体験してもらいたい、という気持ちを込めて、音声はパワーポイントを操作しながら、パソコンに向かって「授業」をしたものを録音しています。

 資料は確実に学生に届くように、3つの形式で用意しています。1つは、パワーポイントを映像化しYouTubeにアップ。これは、授業をリアルタイム感覚で聞きたい学生用です。もう1つは、音声入りパワーポイントそのものをアップ。これは、Googleドライブを利用しており、じっくり見直ししながら勉強したい学生向けです。最後は、パワーポイントのPDFmanabaにアップです。これは、通信環境に困難のある学生、時間的余裕のない学生用。いずれかの形式を、自分の学習スタイルに合わせて、学生は選ぶことができます。

配布している資料の例。いつもよりやや文字は多めにしています。

<毎週、定時に授業をしている感覚で臨む>
 さらに、毎回の授業に時間割の感覚を持たせるために、課題の提出時間を金曜日の9時開始に設定しています。課題は、「重すぎず、軽すぎず」、「授業時間と同程度の学習時間内でほぼ完結する」ことを心がけています。これまでも、学生の集中力を持続させるために、授業内で1,2回、授業に関するアンケートをしたり、コメントを書いてもらったりする時間を作っていました。そして、回答は、まとめて必ず翌週の授業でコメントをしていました。それとほぼ同等のことができるよう、パワーポイントのスライドの途中に、2回程度、manabaのアンケートの形で回答する課題を入れ込んでいます。多くの学生が、金曜日の朝9時から作業を開始するので、私も同じく、金曜の9時からmanabaのコースをあけて、待機しています。アンケートの回答数を確認しつつ、学生からの質問が掲示板や個別指導コレクションにあがってこないか確認します。

 質問には、気づいたら、とにかくすぐに返事をします。複数から同じ質問が来た時には、その後、より多くの同じ質問が来ることを見越して、コースニュースに投稿をします。全体にかかわるような問題が指摘された場合にも、問題への対応についてコースニュースで告知します。学生の中には、抱えている問題を言語化するのが苦手な人もいますが、そういう学生ともやりとりを重ねることで何に躓いているか発見していきます。この時間帯に学生の動きを確認することで、たいていの問題を拾い上げることができています。

授業中はこんな感じ。パソコン、iPad、スマホを使って掲示板、メール、LINEと質問に回答しています。

 出席カードもアンケート機能を付与したうえで利用しています。たいてい、動画や別の資料へのリンクを貼り、それを閲覧したうえでの感想を書いてもらっています。授業への「出席」は、授業回の翌週の月曜日の夜までに、授業資料の閲覧、アンケート課題の提出、出席カードの提出、この3点セットがそろって認められる、と告知しています。「これだけやれば出席になる」と理解しているので、本来ならば、1限に起きられずに諦めてしまうような学生も、みな授業に「出席」してくれています。この授業の履修者は約150名ですが、初回の「出席」率は100%、2回目の授業も99%の出席率です。課題への回答も、例年の対面型の授業の時よりも、量、質ともに充実したものが多数提出されています。

<提出課題へのフィードバックで学生とコミュニケーション>
 課題に対するフィードバックも、翌週の木曜日までに、全体をまとめたものをアップしています。この一連のサイクルの間に、毎日、何度もmanabaのコースをチェックしています。課題アンケートに入力データがあるのに未提出のままの学生を見つけたら、提出ミスを疑い、メールで連絡をします。個別指導コレクションや掲示板に質問があがってないか確認したり、メールでの問い合わせに答えたり、出席カードの回答の中に質問や疑問の声がないか探して、共有すべきと思ったことは、コースニュースで告知しています。このような学生の不安に素早く対処することで、学生たちも、何か問題が生じたら、すぐに掲示板に書き込んだり、何等かの形で情報を提供してくれたりするようになっています。

 このように、コミュニケーション学部のA型の授業は、非同期型ではあるものの、学生とのコミュニケーションをオンライン上で密に取りながら授業を行っています。配信された資料に基づいて学習する「オンライン授業」のイメージ、少しは変わりましたでしょうか?




東京経済大学コミュニケーション学部
「ここまでコミするオンライン授業」シリーズ
TOKECOM note でもご覧ください)

  • 取り組みを紹介していきます
  • 第1回 A型 「メディアコミュニケーション基礎」(本記事)
  • 第2回 B型 「コンテンツ産業論」<近日公開予定>
  • 第3回 C型 「広告論」<近日公開予定>

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