2019/08/10

対外経済貿易大学に行ってきました(山田晴通)


トケコム教員の山田晴通先生より、中国は北京郊外の大学で開講された集中講義のレポートが届きましたので、ご紹介します!

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 学生の皆さん、夏休みですね。ダラダラ過ごす夏も貴重な経験ですが、皆さんの青春のひと夏が、充実した、有意義なものになることを願っています。

 さて、少し時間が経ってしまいましたが、7月前半の2週間、大学から派遣される形で訪中し、東経大の協定校のひとつで、北京市郊外にある、対外経済貿易大学(以下、対貿大)で授業をしてきました。


大学の正門と、実際に授業をした建物「寧遠楼」。
この建物の3階の教室で授業をしました。

 東経大と対貿大の学術交流には半世紀ほどの歴史があり、いろいろな形で教員が相互に派遣され、授業をしてきました。ところが、どういうわけか、これまでコミュニケーション学部の教員が対貿大で教えるという例は少なく、特にここ十数年間は、対貿大との交流にコミュニケーション学部が関わる機会はないも同然でした。今回、私が出かけた背景には、この空白を少しでも埋めたいという気持ちがありました。

 中国の学事暦は、欧米諸国と同じように9月始まり、7月に終わります。対貿大の「暑期国際学校」、つまりサマースクールは、7月で終わる学年の最後に設けられた集中講義期間で、欧米を中心に各国から招かれた(中国にとっての)外国人教員が90科目ほどを開講し、また講演会なども開かれます。授業は全て英語でおこなわれます。学生は卒業までに一定数の単位をサマースクールで取得することが義務付けられています。

 私が担当した「Geography and History of English-speaking People」という授業の内容は、コミュニケーション学部で後期に開講している特別講義「英語圏諸国の歴史と地理」の英語版でした。日本人の私が、中国人の学生に、英語圏世界の歴史や地理を英語で授業する訳ですから、結構シュールな構図です。

 53人が登録したクラスは月曜日から木曜日までの週4日、毎日午後に2コマ連続で授業し、16回の授業で半期科目相当の2単位を与えるという仕組みです。受講していた53人は、一人が初日を欠席した以外は、全員が全てのコマを皆勤でした。初日以外は、論述式の小テストを毎日課したのですが、毎回みんな一生懸命に答案を書いてくれました。もちろん、日本と中国の社会の違い、文化の違いもありますし、学生気質や教える側の指導方法も大きく異なりますから、一概に日本の学生がダメだとは思いませんが、勉強に取り組む真摯な姿勢に接し、教員として心地よい緊張感を覚えたことは確かです。


招聘教員の任命式(実際には、授業が始まって3日目の夜)。
招聘教員を代表してスピーチしている米国の大学の先生



 受講者の中には、漢民族ではない、中国各地の少数民族出身の学生が何人もいました。また、漢民族であっても、地方出身者にとっては、大学内で普段使っている中国語の標準語(普通話)も母語ではありません。結果的に、既にいくつもの言語の運用能力をもっている学生たちがたくさんいました。

 学生たちは、実家が北京市内にある者も含め、授業期間中は全員が大学内の寮で生活しています。もちろん彼らは勉強一辺倒の生活をしている訳でもありません。雑談になれば、ファッションや音楽、日本のサブカルの話も出ますし、キャンパス内でも公然とチャラチャラしている男女のカップルもいます。今時の若者であることに変わりはないということです。

 今回は、私にとって初めての北京滞在でしたが、北京の中心部で買い物をしたのは1日だけで、ほかに観光らしいこともせず、ずっと対貿大周辺の郊外の住宅地区で過ごしていました。それでも、私にとっては多くの学びがありました。もし、私と同じように、ごく短期間だけでも、例えば、サマースクールの2週間だけでも、東経大の学生が対貿大のプログラムに参加し、学生同士の交流が可能になるようなことがあれば、互いに良い刺激を与え合うことが、きっとできると思います。さて、どういう形でなら実現に近づけるでしょうか。

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