今月、12日と26日に統一地方選挙があります。
選挙期間中は、候補者のポスターが張り出され、選挙カーが走り回ります。これらの選挙運動には、実は広告や宣伝と同じ心理学の法則がはたらいています。
その法則は現職にとっての追い風です。もちろん、それ以外の要因も関係していますが、その前に、現職は実際どのくらい有利なのか、見てみましょう。
下の表は、総務省「地方選挙結果調」にもとづいて、新人候補者と現職候補者の当選率をくらべたものです。作成者は渡部秀成さん(LLCつくばリスクマネジメント)。ただし、もとの表に一部、転記ミスがありましたので、修正しました(グラフは合っています)。
数値は、過去3年(2003年、2007年、2014年)の統一地方選挙における当選率(最小値-最大値)です。ご覧のように、「現職」の当選率は「新人」(<の左側数値)をすべて上回っています。
県議選 41-42%<86-88%
知事選 10-15%<100%
指定市議選 41-44%<87-90%
指定市長選 0-20%<0-100%
市議選 65-69%<87-93%
市長選 24-25%<82-86%
特別区議選 45-53%<90-91%
特別区長選 3-14%<100%
町村議選 80-83%<88-94%
町村長選 33-40%<84-90%
なぜなのでしょう。
日本の選挙運動は期間が短く、そのことが現職を有利にしています。ここでは、それを宣伝・広告テクニックに絞って考えてみます。
現職の首長や議員は、ふだんからテレビや新聞に名前や顔が出たり、市報や区報に挨拶文が載ったりします。行事や会合に出席する機会も多く、多くの人が接します。これらの活動はすべて選挙運動としての働きをもっています。こうした機会は、新人にはほとんどなく、知名度も低いままだからです。
同じ顔や名前に何度も接することは、一般に好意度を高める傾向があります。これを「単純接触効果」といいます。心理学の有名な法則です。
最初は好きでも嫌いでもなかったのに、それに何回もふれているうちに、好意度が増すというものです。選挙カーで名前を連呼するのも、この効果を期待しているからです。
この法則は、宣伝や広告の世界で頻繁に利用されています。商品CMを繰り返し流すとか、ポスターを長期間張っておくとか。それに何回も接することで、知名度が高まり、人は、お店の棚で、それを見かけると、つい手に取ってしまうのです。
「単純接触効果」は人間関係でも起きています。学校で毎日会っている人を好きになるとき、この法則が作用している可能性が十分あります。
いかがですか。このしくみを知ると、公約を確認することの大事さもわかっていただけると思います。
トケコミでは、広告や宣伝の心理学も学べます。
(川浦康至)
1 件のコメント:
渡辺さんから転記ミスを修正された旨の連絡がとどきました。
http://www.katsuseijika.com/blog/details.php?p=1170
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