もう一つのシェークスピア記事です(一部、前回記事と重なります)。
「ひとごろし(1564)、いろいろ(1616)」という語呂合わせで年を覚えても何の役にも立ちませんが、今年はシェイクスピア(1564-1616)の没後400年なので、世界中で記念行事やら記念公演、あるいは記念作品があふれています。
そこで、せっかくなので、この夏はシェイクスピアに触れてみてはどうでしょうか ?
とかく「難しそう」と思われがちですが、雑談のネタのひとつとして「知ったかぶりシェイクスピア」を目指して楽しんでみませんか。あくまで「知ったかぶり」ですから、あまり難しく考えないことが一番です。
1. シェイクスピアは読んではダメ?!
シェイクスピアはお芝居なので、戯曲を読み慣れていないと、登場人物の名前とセリフしかないので、「分からない!」と放り出したくなってもしかたがないのです。
我慢して読んでも楽しいはずがない。ということで、まずは、映画や舞台のDVDからシェイクスピアにアプローチします。近所のお店へDVDを借りに行きましょう。
2. 日本語か英語か、それは問題ではない?!
イギリスの大作家シェイクスピアなのだから……という発想は捨てましょう。
字幕を読むのに慣れていないなら、日本語の舞台のDVD、英語なら吹き替え版を探せばよいのです。
比較的手に入りやすいのが、最近亡くなった蜷川幸雄氏演出の「彩の国シェイクスピア・シリーズ」でしょう。シェイクスピアの有名な作品ならば、たいていDVDになっています。「ロミオとジュリエット」や「夏の夜の夢」、「マクベス」に「ハムレット』も、聞いたことある作品、気になっていた作品を、まずは一つ選んで観てみましょう。
「世界のニナガワ」と呼ばれた演出家の作品をちょっとでも観ておくのは、話のネタとしても意味があるはず。
ただし、何を観るか、作品だけで決めないで、だれが出ているのかも要チェックです。テレビでもよく見る俳優さん、ベテランからイケメン、素敵な人気女優さんまで、「こんな人も出てるんだ!」と驚くかもしれません。
「面白そう」を基準に選びましょう。
3. つまらないのは誰のせい??
どうしよう、始まって30分で眠くなってきた! でも大丈夫。ちゃんと面白そうなものを選んだのに、楽しめないことはよくあります。自分を責めず、作品も責めない。相性の問題かもしれません。あきらめず、別の作品を観てみて、楽しめればそれでよし。
「シェイクスピアって意外と面白い」と思えたら、ほかの作品も観てみる。あるいは、DVDで観た作品を、こんどは翻訳で読んでみてもよいでしょう。《もし、そんな風に思えない場合は、4は飛ばして5に進みましょう》
4. シェイクスピアがいっぱい?!
シェイクスピアを観たら面白かったから読んでみよう、と意気込んで本屋さんに行くと、シェイクスピアの同じ作品がいくつもあったりします。どれを読めば良い? と悩んでしまいます。そんな時は、DVDで観た舞台で使っていた翻訳で読むと、「あっ、このセリフ聞いたことがある」という楽しみ方もできます。
最近は河合祥一郎訳か松岡和子訳が多いようです。この二人には、翻訳以外に、シェイクスピアの面白さや裏話を読みやすく書いた本もありますので、少しレベルの高い「知ったかぶり」を目指すならばおすすめです(作品を読まなくても楽しめるところが、特にお薦めかもしれません)。
ちなみに、「マクベス」が一番短い作品です。魔女も出てくる「マクベス」は、シェイクスピア初心者には「夏の夜の夢」や「ロミオとジュリエット」とならんでお薦めです。
・松岡和子氏の翻訳とシェイクスピア本
『マクベス』(ちくま文庫)
『「もの」で読む 入門シェイクスピア』(ちくま文庫)
『深読みシェイクスピア』(新潮文庫/新潮選書)
・河合祥一郎氏の翻訳とシェイクスピア本
『新訳 夏の夜の夢』(角川文庫など)
『こんなに面白かったシェイクスピア』(PHP文庫)
『あらすじで読むシェイクスピア全作品』(祥伝社新書)
5. とにかくシェイクスピアで楽しみたい?!
没後400年だし、絶対シェイクスピアに触れてみたい、でも楽しめないかもしれないあなたに、ぜひともお薦めなのが、宮藤官九郎脚本のヘビメタ版「メタルマクベス」、すべてを女優が演じる劇団「柿食う客」の「女体シェイクスピア」シリーズ、そして、以前テレビで放送していたAAAの「未来世紀 シェイクスピア」シリーズです。
どれもDVDで観られます。今まで思っていたシェイクスピアのイメージを根底から変えてくれる魅力的作品ばかりです。
この8月には吉祥寺と大阪で、女体シェイクスピアの新作「艶情☆夏の夜の夢」が上演されます。これを機に、シェイクスピアの舞台に触れてみるのはどうでしょうか。ひょっとすると、あなたの運命を変える出会いが待っているかもしれません。
・「メタルマクベス」
・「悩殺ハムレット」
・「未来世紀 シェイクスピア」
(南 隆太)
0 件のコメント:
コメントを投稿