2015/11/09

地域について考えること、私たちの居場所に思いをはせること

コミュニケーション学部の光岡です。

トケコミの花形授業といえば、少人数で和気あいあいと進めるワークショップ授業ですが、今年度光岡の担当している「データ調査/分析ワークショップ」では、従来の学内を中心とした学びではなく、学外の施設とも連動しながら授業を進めています。今日はその一端として、10月後半に実施した小金井アートスポットシャトー2Fでの学外レクチャーを紹介します。

私たちは日頃何気なく自分の住む町を生きていますが、実際には私たちが日々過ごす地域には、住民、行政だけではなく数多くのアクターが参加しています。そのなかで1990年代以降、重要な役割を担っているのがNPO法人です。教育、福祉、子育て支援のNPOが数としては圧倒的に多い現状ですが、東経大が隣接する小金井市には「アート」を媒介に、地域、市民との協働を図るアートフル・アクションというNPOがあります。

今回は事前学習として、小金井市自体のありよう、小金井市で活動するNPOの現況、そしてアートフル・アクションについて調査し、情報を共有したうえでシャトーを訪問しました。そこでお話を伺ったのは、その創設時からかかわっている宮下美穂さん。宮下さんからは、アートフル・アクションのこれまでの経緯とともに、アートフル・アクションを通してご自身が考えていることを、映像を交えてご紹介頂きました。

宮下さんが日々の活動のなかで大切にされているのは(そして同様に私たちも一度立ち止まって考えるべきなのは)、地域を生きるなかで私たちがどこかで自明にしている「公私の線引き」を問い直すことです。例えば、道路は行政区画上「公的」な空間のはずです。しかし、一方で私たちの多くが、道路にローセキで絵を書いたり、向かいの家の壁を使って野球の練習をしたりした経験があるのではないでしょうか?つまり、そのとき道路は私的な空間として使われているのです。いや、むしろ公的な空間が前提とされているからこそ、私的な利用が可能になっているのです。

このような地域が共有すべき/してきた場の感覚を、宮下さんは郊外の耕作放棄地や小金井市内での児童施設との協働の事例を通して紹介してくれました。そこでは、受講者である私たち自身が、子供のころから現在に至るまで、自身の身の回りの空間をいかに「公/私」の空間として線引きしてきたのかを、具体的に手で起こし、共有する作業を授業での課題として提案されました。さあ、私たちはどのような形で宮下さんにこたえることができるでしょう?実は、このさじ加減が授業を担当する光岡にとっても悩みだったりするのですが…。また、この続きは今日もトケコミで。

なお、小金井アートスポットシャトー2Fには、展覧会が開催されるギャラリースペースだけではなく、気軽に立ち寄れるカフェも併設されています。地元のひとが憩い、それぞれ新しいコミュニティを組み上げていくきっかけを提供しています。東経大の皆さんも、ぜひ遊びに行ってみてください。


2015年度II期「データ調査/分析ワークショップ」は、東京経済大学の「進一層トライアル」に採用された教育プログラムです。

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