身体表現ワークショップは毎年4コマ開講されています。今年度は、池宮先生の「Musicking」、中村先生の「杖道(じょうどう)とアート」、大榎先生の「ライブを作る」(後期開講)。そして、これからご紹介する「パントマイムことはじめ」です。
マイムを指導してくださっているのは「空間の詩人」こと清水きよしさん。昨年度のワークショップでも、最後の3回を担当いただきました。今年度は全回、マイム。
毎週火曜日午後、20名の受講生が2時限つづけて、身体と気持ちを動かしています。
「四季」を表現する課題のあとで、清水さんの講評を受ける学生たち(6月28日)
さて授業も残すところ、あと3回となりました。最終回は発表会が待っています。そんななか、清水さんに、授業の感想とメッセージをいただきました。ご紹介しましょう。
いつもは、主にパントマイム役者を目指す人や演劇関係の人たちに指導することがおおいので、今回のようにほとんどの人が演劇とは縁がなかった学生さんたちを対象とした講義は、何かと戸惑いながらの日々です。
どうすれば興味を持ってもらえるだろう、どういうことを伝えればいいだろう、専門的なことを言っても理解してもらうのは難しいだろうな……など、試行錯誤の日々ですが、反面これまでにできなかったことや新たに思いついたことを、受講してくれた学生さんたちと試すことができる貴重な時間でもあります。
パントマイムを演じることは、観客、スタッフ、共演者とのコミュニケーションそのものです。そしてそれぞれの間に「信頼」がなければ、気持ちや意志は通じ合わないと言っていいでしょう。
残りわずかとなりましたが、授業をとおして若い学生さんたちと〈信頼〉関係を結べることができればと願っています。
清水きよし
では、受講生は? 学生たちにも授業の感想を書いてもらいました。以下のように、それぞれ多様な経験をしています。マイム、そしてこの授業には、いろいろな顔がある、ことを再認識させられました。
・ふだんできない体験を授業として学ぶことができて、とても貴重な体験をできていると実感しています。(こいけ)
・その道のスペシャリストの人の話を聞くということにとても希少性を感じます。少人数の授業で、学生と先生の距離も近く、とても楽しく授業を受けています。(いちかわ)
・言葉を使わないで、身体のみで何かを伝えるということはすごく難しい。言葉を使わない伝言ゲームでは、自分の伝えたいことと相手の受け取ったことが食い違ってしまうことが多かった。私は、この授業を通して言葉というものの偉大さを実感した。(やまおか)
・これまで一切縁のなかったパントマイム。ふだんあまり動かさない身体の部分や筋肉を使って何かを表現するのは、奥深くて難しい。だが、それは楽しく、その魅力に引かれた。ちょうどいい運動にもなり、頭で考えながら身体運動ができる。(はぎわら)
・自分の身体は知っているようで知らないことばかり マイムはそれを知れる‼(かねこ)
・ふだん目にしているものや何気ない行動を、言葉や物を使わないで表現することは難しいですが、グループで話し合ってどう表現するのかを決めるのがとても楽しいです。授業の初めにゆっくり時間をかけてストレッチをするので、この授業の後は身体がほぐれて軽いです。(えがわ)
・私は、この授業がなかったらパントマイムについて学ぶ機会がなかったと思っています。身体のほぐし方や動かし方、パントマイムの技術の基礎、どのように見せたら人を魅了することができるのかなど、さまざまなことを学ぶことができました。パントマイムは言葉を一切使わずに身体だけで表現し、人に何かを伝えて行くもの。これが身体表現するということなのだなと思いました。(おくだ)人は身体あってこそ。その意識的経験をめざして、この授業を企画しました。学生たちの感想を見ると、いい線いっているようです。清水さんの協力あればこその授業。この場を借りて、お礼申し上げます。
ペアやグループの練習で人数が足りないときがあります。待ってました、と私の出番。
(川浦康至)
おしまいに、本授業のシラバスをご紹介します。
【授業内容】
パントマイムは古代ギリシャで生まれ、長い歴史のなかを経て現在に至ります。身振り表現は言葉と並んで、伝達の重要手段です。しかし、必ずしも重要視されてきたとは言えません。身体性を伴わない言葉は人に届くでしょうか。
マイムは言葉を伴いませんが、実は言葉と切っても切れない関係にあります。本ワークショップでは、身体を動かす中で、言葉が生まれます。身体訓練、空間意識の表現、動きのしくみを体験し、身体表現のおもしろさと可能性を探ります。
【授業計画】
パントマイムは古代ギリシャで生まれ、長い歴史のなかを経て現在に至ります。身振り表現は言葉と並んで、伝達の重要手段です。しかし、必ずしも重要視されてきたとは言えません。身体性を伴わない言葉は人に届くでしょうか。
マイムは言葉を伴いませんが、実は言葉と切っても切れない関係にあります。本ワークショップでは、身体を動かす中で、言葉が生まれます。身体訓練、空間意識の表現、動きのしくみを体験し、身体表現のおもしろさと可能性を探ります。
【授業計画】
1. 身体を知る
2. 五感を知る
3. 身体と心のつながりを体験する
4. 身体と心を解放する
5. イメージを動きにする
6. イメージを伝える
7. 言葉によらない表現を考える。
5. イメージを動きにする
6. イメージを伝える
7. 言葉によらない表現を考える。
8. パントマイムの基本動作 :「固定」と「移動」
9. パントマイムの基本動作 :「同化」と「力の運動」
10. 集中と解放を体験する。
11. 三つの「みる」:「見る」「観る」「看る」
12. 自然との対話
13. 物との対話
14. 作品を作る
15. 作品を発表する
9. パントマイムの基本動作 :「同化」と「力の運動」
10. 集中と解放を体験する。
11. 三つの「みる」:「見る」「観る」「看る」
12. 自然との対話
13. 物との対話
14. 作品を作る
15. 作品を発表する
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これまでの関連記事
・清水きよしさんの公演(2015年5月12日)
・阿佐ヶ谷でパントマイム(2014年11月29日)
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