2018年5月15日火曜日

【学問のミカタ】「好き」を仕事にするなら、回り道しよう



メディアコミュニケーション基礎、コミュニケーション心理学、社会調査入門担当の山下です。
GWも終わり、過ごしやすい季節になりました。4月からの新しい環境にも慣れ、ちょっと気が抜けちゃったかな、という方もいれば、リフレッシュしてますますやる気いっぱい、という方もいらっしゃることでしょう。私も、この4月からこのコミュニケーション学部に新人としてやってまいりました。校舎にあふれる新緑と、研究室から見える大好きな電車を眺めながら、新鮮な発見の日々を過ごしています。

私の専門は社会心理学です、特にメディアが若者の心理に及ぼす影響を研究しています。メディアコンテンツの内容分析を通じて、世の中がどのように描かれているのか、さらに、その描写が人々の社会認識にどのように影響を与えるのか、マンガやアニメなどを題材に研究をしています。




山下研究室の入り口付近の本棚。趣味と実益を兼ねてマンガ500冊以上が置いてあります。



私は幼少期からマンガやアニメが大好きで、大学生になっても少年ジャンプを毎週買って読んでいました。とはいえ、それが研究になるとは当時は夢にも思っていませんでした。そんな時、今でも有名なある凄惨な事件により、アニメやマンガを見る「オタク」=犯罪者予備軍、という批判が日本中に巻き起こりました。大好きなマンガやアニメが悪者にされるなんて、と、とても悲しい気持ちになり、アニメやマンガは本当に若者に悪影響があるかどうか研究して、(できれば)汚名をすすぎたい!という気持ちになりました。
とはいえ、最初は、どのように研究したらよいかわからず、マスコミの歴史や情報社会論の文献を読んだりして、「なんとなく」答えを探す日々でした。
その途中で、偶然、社会心理学という学問に出会いました。社会心理学は、人々の行動は、その人個人のせいだけでも、また、その人が置かれた環境のせいだけでもなく、その両方が相互作用することにより生み出される、と考える学問です。
 マンガやアニメの影響なら、ある特定の状況の下で、マンガやアニメに描かれている内容が、ある特定の性質を持った人に影響を及ぼしやすいと仮定して、調査や実験といった形で数量的なデータを取り、どのくらいそのような出来事が起きやすいか、いわば確率の形で示していきます。
アニメの悪影響論についてのテレビのコメントでは、「犯人がアニメを見ていたから、アニメを見る人はみんなおかしくなる」というように、1つの事例から因果関係を語ることが多く見られます。しかし、社会心理学の視点から行われた研究では、このような因果関係を支持する結果も、支持しない結果も両方見られています。また、このようなアニメやマンガの悪影響に関する実証的な研究は、青少年の凶悪犯罪が起こるたびに話題になるわりには、日本ではさほど多くありません。


因果関係を明らかにするための研究モデル。赤い線と青い線すべての関係性を検討し、赤い線が十分に強力であることが示されると、アニメ視聴が暴力行動の原因といえる。



私自身は、この学問との出会い、ものごとの因果関係を明らかにする「見方」を身に着けることで、結果的に「好きを仕事にする」ことに成功しました。受験生の皆さんも、今の「好き」は直接、将来の仕事に役立たないと考えるかもしれません。また、学んだことを仕事に直結させるために、大学選びの際には〇〇学部で××の資格を取る、ということにすぐに目が向くかもしれません。ですが、世の中の見方を教えてくれる学問は、すぐには効かないかもしれませんが、必ずや自分の好きを仕事にするための大きな武器になります。コミュニケーション学部は、そんな自分に合った武器を探しだし、実際に身に着けることができる学部だと思います。

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