2017年1月23日月曜日

【学問のミカタ】冬とシェイクスピア

ミュニケーション学部の南隆太です。

正月だと思っていたら、あっという間に1月も後半になってしまいした。

学や高校入試の本番まで秒読みとなり、ニュースなどでも話題になることが増えてくると、受験生はもちろんですが、誰もがなんとなく落ち着かなくなるような気がします。

んなときに「シェイクスピア」でもないのかもしれませんが、むしろそんな時こそ気分転換に、難しいことは言わずに「シェイクスピア」でも楽しんでみてはどうでしょう。「冬」にこじつけて、今回はシェイクスピアの『冬物語』を簡単に紹介します(ちなみに、同名のビールもありますが、たぶん関係はないのでしょう)

 

▲ストラットフォード・アポン・エイヴォンのホーリー・トリニティ・チャーチにある、シェイクスピア像(左)と墓(右)

て、この『冬物語』、皆さんが想像する「シェイクスピア」とはちょっと違うかもしれません。シシリア王レオンティーズは、幼馴染みのボヘミア王ポリクシニーズと自分の妻ハーマイオニとの仲を突然疑うようになります。その異常なまでの嫉妬に駆られ、レオンティーズは、妻が無実だという神宣も受け入れることができなくなってしまい、妻と息子マミリアスを失うことになります。さらには妻が浮気をした結果できた子供だと思った娘も、どこか遠い荒野に捨ててくるように家臣に命じます。

の16年後、自分の過ちを悔いて贖罪の日々を送るレオンティーズは、娘パーディタとの再会、幼馴染であったボヘミア王ポリクシニーズの息子フロリゼルとパーディタとの結婚、そして妻ハーマイオニの復活と夫婦の和解でお芝居の幕を閉じます。

然、実際にはこんな単純な話ではなく、途中でいろいろなことが起こります。何よりもこのお芝居の見どころの一つは「死んだと思っていたハーマイオニが生きていた!」という最後の感動的な場面なのですが、それがどんなふうに明らかになるのか。それはぜひご自分で確かめてください。

のお芝居を観ていて、いつも私が面白いと思うのは、16年後に場面が変わる際に現れる「時」という名前の登場人物です。観客(読者)に向かって、自分は「時」であると名乗って、あれから16年が経ったと説明をするのです。「時」はこんなセリフを言います。「一気に飛び越す十六年、時が大きく隔てるうちに生じたことは、説明せずにおきますが、目にも留まらぬ一足飛びをお咎めなきよう願います (4幕1場)」。













▲松岡和子訳『冬物語』(ちくま文庫)

もそも「時」が人の姿で現れるというのも、十分おかしいと思われるかもしれません。さらに、ここで「時」は、一瞬のうちに16年も時間が経つのはおかしいと観客や読者が思うことは百も承知で、怒らないで受け入れてほしいと言い、それ以上細かい説明はしないのです。「その16年間に何があったんだ?」などという野暮なことは聞かないで、「こういうもんだ」と思って見てくれというのです。「あり得ない!」と興味を失いますか?ところが、この『冬物語』は、ここからの後半も目の離せない面白さで進み、最後には感動してしまうから不思議です。でもどうしてでしょう?

ポロの神託の話が出てきたり、熊に襲われたり、そして最後は16年前に死んだはずのハーマイオニが生き返る。まさに「荒唐無稽」という言葉がぴったりに思える『冬物語』を楽しめる主な理由は、たぶん「そんなバカな」ということを隠そうともしないからだろうと思います。「時」が出てくるのもそうですが、幼馴染と妻との浮気を疑うレオンティーズについても、「ありえないだろう?」と思えそうなことを、表面的な「本当らしさ」などみじんも気にしないで、どうどうと主張されると、気にならなくなるのです。特にそれが目の前で(そこそこの名優に)演じられると、大して疑問も感じないで、夢中になって楽しんでしまう。たぶん、そこにこのお芝居の一番の醍醐味があるのです。おそらくお芝居をはじめ、フィクションの面白さはそこにあるのでしょう。

ころで、以前は『冬物語』は『冬の夜ばなし』という翻訳されていました。どうして、「夜ばなし」だったのでしょうか?

2幕の前半で、母ハーマイオニに「ここに座って、さ、お話をしてちょうだい」と言われて、レオンティーズの幼い息子マミリアスは次のように答えます。「冬には恐い話がいいんだけどな。僕、妖精や鬼の出てくるお話知っているよ (A sad tale’s best for winter. I have one of sprites and goblins. 2.1. 25-26.)」。

ェイクスピアの『冬物語』の原題はThe Winter’s Taleなのですが、winter’s talesあるいはa winter’s taleというと、長くて退屈な冬の夜に、暖炉のそばなどで語って聞かせるオハナシのことなのです。日本語にも「話伽:面白い話をして夜のつれづれを慰めること(広辞苑)」という言葉がりますが、どちらかというと「御伽噺:非現実的な話、夢物語(広辞苑)」に近いかもしれません。

て、『冬物語』がちょうど1月21日から2月12日まで、7回だけですが、SPAC(静岡舞台芸術センター)で、宮城總の演出で上演されます。東京近郊に住んでいる方は、静岡?と思われるかもしれませんが、世界的に高い評価を受けている宮城氏と役者たちが創り上げるとても楽しい舞台に出会えるチャンスです。お芝居を観に静岡に行くこと自体が、『冬物語』体験の一部になるはずです。寒いこの冬だからこそ、冬物語を観に行きませんか?


「宮城總って誰?」と思った人には、最近出版された塚本知佳・本橋哲也『宮城總の演劇世界:孤独と向き合う力』(青弓社)▼がお薦めです。





2017年1月19日木曜日

2016年度卒業制作・卒業論文リスト

今年度の「卒業制作・卒業論文」リストが整いました(配列は先頭文字のJISコード順です)
http://www.tku.ac.jp/department/communication/com-theses/

2/3(金)午後、「優秀卒業制作・卒業論文発表会」(参加自由)を行います。

最優秀賞を、卒業式(3/22)のあと発表します。合わせて、表彰式も行ないます。

2017年1月17日火曜日

【18日19時まで】「わたしをメディアする」展

「ワークショップ中村座2016」作品展

期間:2017年1⽉13⽇(金)18⽇(水)
会場:634(むさし)展示室+国分寺くるみギャラリー

 国分寺駅に近い2つのギャラリー、「634展示室」と「くるみギャラリー」での連携展示(ギャラリーのはしご)もいよいよ18日までとなりました。

【展示】
第1会場 634展示室 12:00→19:00
http://634tenjishitsu.wixsite.com/artkokubunji
「カンブリアン・ゲーム-東経大記念セッション2016-」
 アーティスト目線をゲット!せよ(作品プリントと作品映像)
「シェエイクスピアズダイアログ2016」
 光る杖の軌跡:拡張する身体、外皮、バリア(作品プリントと作品映像)

第2会場 くるみギャラリー 12:0019:00
http://kurumi-kurumi.justhpbs.jp/
「未来美人-美人再構築2016-」(コラージュ作品、メーキング映像、未来美人の種プール)
 ここで作品がちらっと見られます

2017年1月9日月曜日

はじまらないシンポジウム



2017115日(日)午後2時頃~夕刻6時ごろ


 113日(金)、地元国分寺の二つのギャラリー連携企画展「わたしをメディアする」が始まります。

これの記念イベント「はじまらないシンポジウム」について、お誘いとお知らせいたします。

日時:115日(日)午後2時頃~夕刻6時ごろまで
(各人のご都合次第で参加時間、離脱時間、要相談)

場所:634展示室」(国分寺駅北口・歩5分 添付地図参照)

ざっくり内容:シンポジウムは控室での雑談に華があります。本番が予定調和の発表会で終わってしまうことも少なくありません。そこで今回は、控室のようなゆるやかな場で、どこまでいっても登壇しない参加者が短い話題をいくつか提供し、ブリコラージュとして⼈と⼈、話題と話題をつないでいきます。

登壇しない主要なメンバー:川浦康至(社会心理学)、松永智子(コミュニケーション史)、芳賀啓(地図研究家、エッセイスト)、安斎利洋(システムアーティスト)、中村理恵子(「ワークショップ中村座」、古武道研究・実践))

どうぞ、手ぶらで、ぶらっとお立ち寄りください。
祝!酉年 本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます!


2016年12月23日金曜日

【予告】 作品展「わたしをメディアする」



2017 1 13 (金)-18(水)12:0019:00



年明け早々の情報です!
DMをお届けします。年末の今、まさに準備佳境です!

地元国分寺の二つのギャラリーに連携いただき、展示とイベントをいます。

115日(日)午後からの、記念イベントには、川浦康至先生、松永智子先生、芳賀啓先生、安斎利洋さん(システムアーティスト)、東経卒+ムサビ卒アートユニットをお招きする予定です。

★詳細更新予定→http://rieko.jp/lab/



【DM制作秘話】
表の絵柄は、これ、実際に講義でつかってる「授業MAP」を素材にしてます。ここから生まれてくる作品や、人々の流れ、資料やメモなどが、日々動的に配され変化します。そんな一瞬をもうひとつのスタジオ風景としてデザインしました。







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わたしをメディアする

ワークショップ中村座 2016作品展-




わたしの体、わたしの身の回り、わたしの日日。ふだん意識されない基準点としてのわたしを変えるいくつかのワークショプを通して、散歩を冒険に変え、体の外を光でひろげ、今のおしゃれを未来美に再構築します。

期間:2017 1 月 13 日(金)~1月18 日(水)12:00-19:00
ギャラリー連携企画展 国分寺くるみギャラリー + 634展

(過日、「ギャラリー探訪」の様子 http://rieko.jp/lab/?p=11460


ワークショップ中村座は、毎週木曜の3限~5限、「身体表現ワークショップ・杖道とアート」、「メディア制作ワークショップ・わたしの時間を造形する」、「表現と批評・マジを起動するワークショップデザイン」など実験的なワークショップ型講義を開講しています。メンバーは古武道を習い、身体を動かし、スマホやデジタルカメラを使って作品制作します。そして、作品を公開することを通じて、多様なコミュニケーションを媒介する空間的なメディアとしてのギャラリーを体感します。



【展示】

会場①→634



「カンブリアン・ゲーム」
 -東経大記念セッション2016
アーティスト線をゲット!せよ
(作品プリント、作品映像)

「シェエイクスピアズダイアログ2016
光る杖の軌跡 拡張する体、外皮、バリア
(作品プリント、作品映像)


会場②→国分寺くるみギャラリー


「未来美人」-美人再構築2016
 (コラージュ作品、メーキング映像、未来美人の種プール)


【イベント】


20171日12日(木)17:00~ 内覧会/オープニングパーティ@634展示室

2017115日(日)午後 記念イベント「はじまらないシンポジウム 2016」@国分寺くるみギャラリー

川浦康至(社会心理学)、松永智子コミュニケーション史、芳賀啓(地図研究家、エッセイスト、安斎利洋(システムアーティスト)、東経大卒+ムサビ卒アートユニットほか、予定、調整中…